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サペリアーズ-空想科学怪奇冒険譚-  作者: 才 希
第2章「お化け屋敷での新生活」(シーズン壱)
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第3話「壱発屋」(3)

 千里の言葉に光太は驚いて、この屋敷の主の足元でこちら見ている黒猫を再度まじまじと見つめた。 


「何をそんなに驚くんだい?」

「その黒猫も超能力が使える!?」


 「化猫」・・・光太の頭の中にそんな単語が浮かんだ。彼にはさっきまで可愛かった黒猫が急に得体の知れないバケモノに見えてきた・・・・・。ビビって、少し後ずさりまでしてしまった。


「怖がることはない。テレパシーなんて能力持っていても、九十九はただの老猫だ・・・・以前、僕のじいちゃんから聞いた話では、僕が生まれるはるか昔から生きているって噂だが」

「はるか昔って・・・・」


 彼の祖母の家で昔飼っていた三毛猫は・・・光太が中学生の時に17歳の年齢で亡くなった。確かそれでも猫の中では長寿の方という話だったはずだ。それよりもはるか上ということは相当な長生きだ。


(もしかして首輪の「99」 の数字は99歳って意味みもあるんじゃないよな!?)


 光太は自分でも「そんな馬鹿な」と思うような事を考えてしまった。99歳なんて言ったら人間でも相当な長生きだ。いくら少子高齢化社会だとか言われていても、そんなご長寿な老人はレアな部類だ。まして、猫が99歳も生きるなんてことはありえないはずだ。


『オイオイ・・・考え方が安直すぎるだろ・・・坊主。ワシから言わせてもらえば99歳なんて人間でいえばようやくアソコの毛が生え揃うか、生え揃わないかぐらいのレベルだぞ!』

「ええ!?もっとはるか上かよ!?一体いくつだよ!?」


 黒猫は光太の考えを読んだのかテレパシーとやらで、またも渋い声で今度は衝撃的なこと伝えてきた。光太は衝撃で悲鳴のような言葉を出した。

 猫は長く生き続けると化猫になる・・・小学校の頃読んだ絵本のそんな内容が光太の頭に過ぎった。

(やっぱり本当に化猫なのか!?)


「へぇ・・・光太にも聞こえるんだ・・・じいさんの声。普通の人には滅多に聞こえないんだけどね」


 千里が混乱している光太の様子を見て、九十九を撫でながらそんなことを言った。


「え?そうなんですか!?」

「ああそうだよ。僕みたいに変な能力がある人間にはじいさんの声は聞こえるけど、普通の人には聞こえないはずだよ。もしかし、光太にも僕と同類なのか?」

「え・・・・?」

 

 千里と自分が同類・・・確かに同居はしているがそんな風に変人と同類扱いは勘弁して欲しかった。そんな事を考えてもみなかった。


「いやいや・・・俺にはそんなあなたみたいな・・・変な・・・というか・・いわゆる超能力という物はないですよ。」


 光太は「あんたと俺は決して同類ではない!」という意味合いも込めてそう否定した。


「そうかな?もしかして自分で気づいていないだけかもしれないよ?」

「いやいや・・・ないでしょう・・・。」


 再度、光太は否定した。考えてみても生まれてこの方、千里のように過去の出来事が見えたり、お化けが見えたなんてこともなかったはずだ。たった今、黒猫が発したテレパシーを受信出来てしまったようだが・・・そう自分にそんな能力はないはずだ。テレパシー受信は何かの間違い・・・偶然起きてしまった出来事のはずだ。


「ふーん。そうか・・・あ、そういえば何しにこの部屋に来んだい?」


 千里に問われてようやく光太はここに来た目的を思い出した。


「あ!そうだ。昼飯のラーメンを作ろうと思ってですね・・・千里さん味は何にします?」

「坦々麺!」

「え?」


 思わず光太は聞き返してしまった。千里は再度力強く自分が食べたい物を言った。


「だから、坦々麺!!」

「あの・・・・坦々麺はないです!とんこつか醤油か味噌でお願いします。」

「えー坦々麺ないの?じゃあとんこつで」

 

 千里は坦々麺がないとわかり、落ち込みながら妥協して選んだ味を光太に伝えた。


「わかりました・・・・そうだ・・・あと千里さん・・・・」

「だから、その千里さんって「さん」付け止めようよ。「千里」って呼び捨てでもいいんだよ。・・・まぁいいや、なんだい?」

「・・・・いや・・・だからさぁ、寝るときはせめてパンツ履いてよ!」


 またも千里は全裸で寝ていた。


「ごめん、ごめん!」


 そう言って千里は慌てて服を着る為に部屋を出て行った。部屋に残された光太は、もう1度黒猫を見た。


「こいつが化猫でテレパシー使える・・・・・・マジか!?」

『マジだぜ!ピュアボーイ!』


 今度も聞こえてきた・・・というよりは、今度は声が脳内に響いたような感じがした。どうやら本当のようだ・・・・光太はそんな化猫と一緒にいるのが怖くなって慌てて部屋を出た。


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