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サペリアーズ-空想科学怪奇冒険譚-  作者: 才 希
第2章「お化け屋敷での新生活」(シーズン壱)
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第2話「転居」(3)

 荷物が部屋に全て運びこまれた。それもやはりサミュエルが一人でやり、数十分で終わった。光太はダンボールの開封作業を開始した。


「エロ本とかAVとかないのかい?」

「おお!天野の性癖とかすごく興味があるぞ!真面目そうな顔して熟女趣味かも!」

「ロリ巨乳物とか持ってそう」

「残念ですけど!持ってきていませんから!」


 千里と涼の野次を即座に否定しながら作業を続けた。


「なるほど、パソコンの中だな・・・動画とかエロ画像がHDDに山放題だな」

「よし、僕の能力でパソコンのパスワードを・・・」

 

 荷物の中にあったノートパソコンを涼たちが見つけ、起動させようとしていた。


「二人とも!邪魔するなら部屋を出ていってください!」


 光太はノートパソコンを取り上げ、二人の暴挙を阻止した。


「冗談だよ」

「そうそう冗談冗談」

(本当かな・・・・)

「手伝ってくれるなら、ベッドの組立とかをやってください」


 光太はバラバラにしてあるベッドの部品が入っているダンボールを指さした。


「OK!OK!じゃあ、千里やるか」

「ああ!」


 ふたりはダンボールを開けて、部品を取り出していた。


 4人がかりで行う引越し作業は順調に進められていった。そして数時間後・・・


「あ、もうこんな時間か・・・」


 既に組立たれたベッドは部屋の東に設置してあった。そのベッドには枕元に棚があり、そこに目覚まし時計があった。その時計を見て涼が呟いた。時間は既に夜8時になっていた。


「ほんとだ」

「あらまぁもうそんなに経っていたのか」


 光太と千里も時計を見てそう言った。その時だ。部屋から姿を消していたサミュエルがコンビニの袋を持って部屋に入ってきた。


「ミナサン、オナカヘッタト思ッテ、ゴハンカッテキマシタ」


 そう言って袋を開けた。中にはいくつかおにぎりやお茶のペットボトルが入っていた。


「おう!姿が見えないと思ったら気が利くじゃねーか」


 涼がサミュエルを褒める。すると彼は「へへへ」と照れていた。

 みんなでそれを食べた。お腹が満腹になると疲れが出てきたのか光太は眠くなってきた。


「すいません、なんか疲れてきました。」

「腹一杯になって眠くなったのか?仕方がないな続きは明日やるか。まぁどうせ連休で明日も休みだし。引っ越しってあとどのぐらいだ?」

 

 涼が光太に確認した。


「あと、テレビとかBDレコーダーをセットするぐらいですかね」

「よし、じゃあ、続き明日か」


 涼の「明日も手伝う」との言葉を聞いて、光太は


「先輩達、今日は手伝ってくれてありがとうございました。でももう残りは一人でも出来ますよ」


と返した。


「まぁそうかもしれないけどさぁ引っ越していえばあれやらなきゃ」

「あれとは?」

 

 光太は首を傾げた。

 

「あれっていえば「引越しそば」を食うだろ!明日昼に引越しそばパーティーやるぞ!いいな!サミュエル、今日は帰るぞ」

「ワカリマシター。アマノサン、オヤスミナサイ。」


 そう一方的に言って涼とサミュエルは早先見家を後にした。


「じゃあ、僕も少し早いけど寝るとするか。風呂は入る?」


 千里は光太に聞いた。光太は、今日はもうこのまま寝ようと考えていた。その旨を千里に伝えた。


「わかった。じゃあ」

「・・・・あのこの屋敷のお風呂場にもお化けはいるんですか?」

「いないよ」

(よかった)

 

 光太は安堵した。しかし、千里はこうも言った。


「でもなめくじとか虫はでるよ。古いから仕方がないね」

(ええ・・・)

「おやすみ」


 千里は部屋を出て行った。「おやすみなさい」それを見て光太もそう言って、部屋の照明を消し、組み立てられたベッドに横になり、瞼を閉じた。光太は深い眠りに入った。この屋敷に引っ越して初めての夜だ。

 千里の言ったとおり、ポルターガイストやラップ音なども発生しない。金縛りなどにも合うこともなく、平穏な夜だった。


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