家族で回る大阪の街
道頓堀へと繋がる橋の上を行き来する人達でいっぱいの風景を見て、テレビなどでよく見る光景だと改めて感じた真面目は、すぐに自分の携帯のカメラでその風景を撮す。 もちろん例の看板も添えてだ。 そしてMILEに写真を送る。
「道頓堀に着きました。 これから家族で食べ歩きをしてきます ってね。」
「真面目、置いていくわよ?」
「はーい。」
そうして真面目達の道頓堀観光が始まったのだった。
まず目についたのはでかでかと出されている看板の数々。 どれもこれも色んな食べ物がところ狭しとあるが、それでも目移りしてしまうほどに目立っている。
「凄い主張の数々だね。」
「この中で自分の食べたいものを見つけるのは、砂漠に1つのダイヤモンドを探すことに近そうだね。」
「そんなに誇張しなくても良いんじゃない?」
真面目と進が話している最中にも壱与は右に左に顔がキョロキョロとしている。
「母さんってそんなに大阪に来たかったの?」
「そう言ったわけではないよ。 ただこうして来たことに関しては、かなりワクワクしていたみたいだけどね。」
自分の息子よりもワクワクしてるって事なんだと真面目は思いながら、携帯が鳴るのを確認した。
『道頓堀なら蟹の看板がすぐに目に入る。 それも有名。』
岬からそんな言葉を貰った。 確かにでかい蟹の看板があったのを思い出す。
『大阪って言ったら粉もんの聖地だから、たこ焼きは食っておかないと損するぜ!』
今度は隆起からだ。 確かに昨日食べた串カツも良かったが、大阪と言えばたこ焼きというイメージも頷ける。
『どこかに食い倒れ人形って飾られてたよね? それ写真で撮ってきてほしいな!』
得流からそんなお願いをされる。 昔は置かれていたらしいが、今ではどこかに飾られているらしい。
「友達からかい?」
「うん。 みんな色々と言ってきてさ。」
「進さん! 真面目! こっちに来て一緒に並びましょ!」
壱与の呼び掛けに真面目も進もすぐにそこに出向くのだった。
そしてそこからはとにかく道頓堀を楽しんだ。 本場のたこ焼きやお好み焼きを食べたり、壱与がお店のスイーツの品定めをしたり、真面目が調べて一緒に食い倒れ人形と写真を撮ったりなど道頓堀の観光らしい過ごし方をした。
そして真面目達は今大阪日本橋の電気街を歩いていた。
「父さん、こんなところ歩いてどうしたのさ。」
「真面目、大阪と言えば後は何を思い浮かべる?」
「え? ええっと、大阪万博の太陽の塔・・・」
「あんたなんでそっちの方が思い浮かぶのよ。 というか既に見えてるでしょ。」
そう言って壱与は指を指す。 その先にあったのは
「あ、通天閣。」
「そうよ。 道頓堀に来たなら通天閣も見ておかなきゃ。」
真面目にとっても完全に盲点だったその名所に、ちょっとワクワクする真面目であった。
「さ、通天閣だ。」
「おー、やっぱり間近で見るとまた違うものなんだね。」
「今やスカイツリーが有名だけど、元々は東京タワーと並ぶほどの観光スポットだったんだから。」
昔ほどではないにしても観光客は多いようで、ちらほらと写真を撮っている人達がいる。
「私達も通天閣に登ろうか。」
「そうね。 大阪の街を上から見渡せるなんて最高じゃない?」
通天閣の真下からエレベーターに乗り、展望台へと上がっていき、そして通天閣からの眺めを見る。
「ひゃー! 爽快ね!」
「あれだけ賑わっていた街並みが小さく見えるよ。」
「2人が気に入ってくれたのなら私は満足だよ。」
「何を言ってるのよ。 進さんもいたから、でしょ?」
壱与は家族3人でこうして旅行できることは滅多に無い為、なおのこと嬉しいようだ。 それは真面目も進も同じ想いであった。
そして真面目は写真を撮って、MILEでみんなに送信をする。
「通天閣からの大阪の眺め。 まだ昼だから明るいけれど、それでも賑やかな街だったよ。」
そう送ってから真面目達は通天閣を降りて、大阪駅へのバスを待つことにしたのだった。
「さてと、これから大阪から離れるわけだけど、お土産を買うならここで済ませておこう。」
「それがいいわね。 と言うわけでこれ、真面目の分。 足りなくなったら言ってちょうだい。」
そう言って真面目の手に一万円が手に握られていて、進も壱与もそれぞれのお土産コーナーへと歩いていった。
「僕はどうしようかな・・・」
真面目もお土産を見てみるが、そもそも何が良いのか分からないので、とりあえず時間が許す限りで見てみることにする。
「うーん。 折角通天閣に行ったから、通天閣ストラップ・・・いや、ストラップなら種類のある方がいいし・・・食べ物系は部活の方がいいかな。 数があるのは・・・これかな。 日本舞踊クラブの方は・・・これにしよっと。」
そう言いながら真面目はお土産用のお菓子を見繕うが、ストラップ系だけはまだ持ってはいなかった。
「同じものにするよりは、少しくらい差別化できてもいいし・・・」
そう言いながら目に止まったのは、大阪にある駅が書かれたキーホルダーだった。 これなら種類も豊富でどれを選んでも文句は言われないだろうと考えた真面目は、別々の駅を6つ選んでお菓子のお土産と一緒に買ったのだった。
そして改めて一ノ瀬家が集合し、そのままの流れで改札機へと歩いていく。 その様子を写真で撮って真面目はMILEでメールを送る。
「ほら、真面目の分。」
「ありがとう母さん。」
そしてホームへと向かい、新幹線を待っていると真面目の携帯が鳴る。
『大阪旅行お疲れ様』
『大阪の話、聞かせてよ!』
『お土産楽しみにしてっからな!』
そんなやり取りを見て、もう少しちゃんとしたのを買えば良かったかなと、苦笑しながら思った真面目だったのだが、新幹線に乗った途端に眠ってしまった。
「おやおや、よっぽど疲れていたのかな。」
「この子、今年は良く出掛けてたもの。 いつもと違うことをしたから、余計に疲れちゃったんじゃない?」
「その身体になって不便そうだと思っていたが・・・むしろ楽しめているのかもね。」
真面目の寝顔を見ながら、そんなことを語る両親だった。
そして家について3人がまずやったのは明日の準備。 明日からはまた通常の1日となるので、改めて気を引き締め直すのだ。 そして大阪でかなり食べてきたため、夕飯は軽く済ませて、それぞれの部屋に行く。
そして真面目は準備が終わった後で、1つの考えを思い出す。
「生徒会の件、どうしようかな・・・」
真面目は生徒会長である高柳から推薦を受けてはいるものの、自分が生徒会の一員になることを想像していない。 確かに生徒会に入れば今後の利点にはなるだろうが、果たして自分に勤まるのかと自問自答を繰り返していた。
「断るべき・・・? いやでも理由もなく生徒会に入るよりは・・・」
そうして自問自答を繰り返してもしょうがないと感じたのか、少しだけ外の風を浴びに外に出るのだった。
「生徒会の立候補はまだ少し先らしいけど、それまでに生徒会に入る理由が作れれば、それだけでも拍車はかけられるんだけどなぁ。」
5月のまだ涼しい夜風に当たりながら真面目は、自分の身に起こる何かに戸惑いを感じつつも、それ以上のことはなるようになるしかないと考えて、部屋に戻って明日に備えて眠りにつくのだった。
当面の目標だったゴールデンウィークまで書き続ける事が出来ました。
そして少しだけ生活環境が変わるので、投稿が不定期になるかもしれません。
なるべく途切れないようには書いていくつもりですが、ご理解よろしくお願いいたします。




