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いざ道頓堀へ

「・・・ん・・・」


 真面目は目が覚める。 太陽が入らないようにかカーテンは締められているが、日差しは入っている。


「・・・まだ開けない方がいいかな。」


 両親が寝ていることを確認した上で時間を確認する。 時刻は午前5時。 流石に朝御飯もやっていないだろうし、温泉も開いていないことだろう。


 そう思った真面目は昇ってくる朝日と共に写し出される街並みを写真で撮った。 そしてMILEを送るのだった。


「みんなおはよう。 こちらの天気は快晴なり。 まだ流石に起きてないかな。 っと。」


 送信する前に昨日の反応を見てみると、「絵みたい」とか「美貌の成せる技」など感想が書かれていたのを確認した。


 そんな風に入力をしてから外に出る。 鍵はオートロックであるため、外に出る場合はカードキーが必要であるが、今起きているのは真面目だけなので、真面目が持っていっても問題はない。


 改めて外の様子をみつつ、昨日入った温泉の開放時刻も見ておく。 温泉は午前6時からの開放となるようだ。


「それまでは流石にやること無いなぁ・・・」


 そんなことを思っていると、入り口近くをゆっくりと歩いていた老婆を見かける。 杖などはついていないが、何かと不安になりそうな歩き方なので、一応声をかけようと思った。


「お婆さん、これからどちらに行かれるのですか?」

「あらまあ、随分と美人な子に声をかけられたものだねぇ。 大丈夫じゃよ。 ちょっと外に出て花を見たかっただけじゃから。」

「よろしかったら一緒に行きますよ。 危ないので。」

「あんがとうねぇ。」


 そうして一緒に出て近くに咲いている花を確認した。


「そういえばお嬢ちゃんはこれからどこに行くんかえ?」

「道頓堀へと足を運ぶつもりです。 食べ歩きが目的ですので。」

「そうかいそうかい。 気を付けていくんだよ。 お嬢ちゃんみたいな別嬪さんは、悪い輩から声をかけられやすいからねぇ。」

「家族旅行で来てはいますが・・・気を付けようと思います。」


 老婆の忠告を受けつつ、真面目は老婆と共にロビーに戻り、時計を見ると、6時になっていたので朝風呂を浴びようと温泉の暖簾をくぐると、他のお客さんも入っているのが見えた。 真面目のような若い人はいないようだった。


「うー・・・改めて人がいるところで服を脱ぐのはなぁ・・・しかも完全に裸になる場面だから・・・」


 自分が男ではないとはいえ、羞恥心は拭えないようだ。


「まあ、見られる人もそんなにいないからいいかな・・・」


 そんな納得をしつつ、温泉に入る。 女湯ということもあるが、女性の裸体を見る光景を、果たしてこの人生で見ることはあるのだろうか?

 そんなことを思いつつ、整った状態で部屋に戻ると、壱与と進が起きていた。


「おはよう真面目。 朝風呂は気持ち良かったかい?」

「うん。 凄く良かった。」

「進さん。 真面目も戻ってきたから朝御飯食べに行きましょ?」

「これから食べ歩きするんだからそんなに多くは食べられないよね。」

「なに言ってんの。 大阪は食い倒れの街よ? 食べるのだってとことん楽しまなきゃ。」


 そう言うものなのかと真面目は思ったものの、壱与のワクワク感は何だかんだで見ていて分かりやすかったので、それ以上はなにも言わないことにしたのだった。


 朝食はレストランの一角で行われて、それぞれが取れるビュッフェ式なので、周りの目を気にせずに食事が行えるのだ。


「とりあえずご飯と味噌汁にしてっと。」

「ええっと、これとこれと・・・」

「フム。 これを取ればバランスはよくなるな。」


 三者三様思い思いの朝食スタイルを確立させる。 全員ご飯に味噌汁という選択は同じものの、壱与は焼き鮭と冷奴、真面目はハムエッグに茄子の煮浸し、進はだし巻き玉子にホウレン草のごま和えという形になった。


「なんかそれぞれの好みが分かるような気がする。」

「食べる量もね。 真面目、それで足りる?」

「ビュッフェ式だからお代わり出来るけど、食べ歩きするなら少し抑えた方がいいでしょ。」


 実際にどのくらい食べるかはみんなのお腹の満たされ具合になるだろうが、いっぱい食べるのならば少しでもお腹は満たさない方が良いだろうという考えだ。


「どうせ歩くんだから、もうちょっと食べても良いんじゃない? 若いんだから。」

「その言い方なんか引っ掛かるんだけど。」


 とにもかくにも朝食を食べ終えた真面目達は、部屋に戻ってホテルを出る準備をして、フロントに行きチェックアウトを行う。 その時に真面目は後ろを見ると、朝見かけた老婆と目があったので、その老婆に真面目は手を振った。


「なに真面目。 あの人と知り合い?」

「今朝散歩してたらちょっとね。」


 そしてホテルを後にした真面目達であった。


「ここから道頓堀まではどうやって行くの?」

「道頓堀までバスが出ているみたいだから、それに乗っていこう。 この時間だと少し混むかもしれないがね。」

「そう言うのも旅の醍醐味でしょ。 まずは行きましょ?」


 真面目達は地図通りにホテルから停留所まで歩いていく。 さほど距離は感じないものの、結構な山道ということもあってか、道の凹凸は激しい。


「結構足に来るわね、この道。」

「昨日もこの道を歩いたって考えると、相当苦労したのかも。」

「それにバスに乗っても一本ではないから、乗り換えないと行けないようだしね。」


 進のその言葉に真面目も壱与もあまり良い表情はしなかった。


「次のバスは・・・20分後だね。」

「それまではここで待機ね。 ふぅ。」

「母さんそんなんで道頓堀歩けるの?」

「馬鹿仰い。 ケーキ作りのためにあちこち奔走したりしてるんだから、こんなことじゃ倒れないわよ。」

「いや、そっちの心配はしてないんだけど・・・」


 そしてバスが到着してそこから一度大阪駅に向かってから、別のバスで道頓堀へと向かおうと思ったら、そこにはかなりの乗客が列を成して待っていた。


「うわぁ・・・これ全員道頓堀に行く人たちかな?」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないね。」

「やっぱり考えることは同じなのね。 私達もだけど。」


 そうしてバスを待っていて、そのバスがあまり大きくなかったので、真面目達までは乗れないと判断し、ギリギリのところまで行って次のバスを待つことにした。


「仕方無いよね、人気の観光スポットだし。」

「次のバスも5分程で来るそうだ。 こういった状況を見越しての事だろう。」


 更に待つこと5分。 ようやくバスに乗って道頓堀までの道のりを走ってもらう。 そして目的地近くのバス停で降りて、少し歩けば


「着いたわ! 道頓堀!」


 食い倒れの街、大阪の有名観光スポット、道頓堀に到着するのだった。

今回は繋ぎのような話なので短めにしました。

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