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文化祭の催し物で

 月曜日になり真面目は登校していて学校に着くまでに違和感があった。 ありつつも普通に登校をしていって、教室に行く前に声をかけられる。


「おーっす、真面目。」

「あ、おはよう隆起君。」


 同じ様に登校してきた隆起に声をかけられて挨拶を交わす真面目。 そこに隆起が周りをキョロキョロと見始める。


「どうかした?」

「おう、いや、お前がこの時間に登校するのも珍しいが・・・浅倉はどうした? 一緒に登校してなかったのか?」

「え?」


 真面目は慌てて周りを見てみる。 時計の針は8時を回るか回らないかの所にあり、そして岬の姿は確かに無かった。 トイレに行ったりしているわけではない。 本当に今日は真面目も見かけていないのだ。


「・・・あれ? なんでだろ?」

「どうした? 気分が悪いのか?」


 まじめがなにか不安がり始めたので、隆起は声をかける。 隆起にとっても真面目がここまで狼狽している姿は初めてだったからだ。


「あ、えーっと。 実はさ・・・」


 そこで隆起に軽くことの顛末を話す真面目。 話を聞いた隆起は頷いていた。


「それはあれだ。 慣れないことをしたことで、自分の中のルーティングがが崩れたんだろ。」

「それだけで?」

「意外だろ? 俺もこの身体になって色んなものが変わっちまってな。 今までやっていたことが出来なくなったり、逆にやってみたかったことをやってみたりな。 んで、その反動として自分にとって不思議なことが起きる。 今のお前みたいにな。」


 そう言われて真面目は完全に忘れていた岬の存在と、通学路で待っているのではないかと不安に駆られていた。


「もしかして僕とんでもないことをやらかした?」

「その辺は心配ないだろ。 別に約束してるわけじゃないんだろ? 通学路で一緒に行くってのは。」

「うん・・・うん。」

「なんだ? 歯切れが悪いじゃないか。」

「いや、何て言うか・・・」


 今真面目が即答したにも関わらず疑問がよぎったのには真面目も良く分からなかった。 彼女とは約束していないのだから、こうして一緒に登校しないことはある。 だがなにか引っ掛かるような気持ちになったのは真面目にとっても不思議になっていた。


「まあとりあえず教室行けよ。 ここで突っ立ってても邪魔になるだろうしよ。」


 隆起の提案で真面目は教室へと向かう。 中に入っても岬の姿はない。


「やっぱり置いてきぼりにしてきたんだなぁ・・・」


 罪悪感が渦を巻いてくる。 それよりもここに来るまでに岬が隣にいないことを感じられなかった自分も悪いと、皿に悪い方向へと進み始めてしまっている自分を嗜める。


「・・・気持ちの整理が出来ていないかも。」

「ハーイマジメ。 ゲンキガナイケドドウカシタンデスカ?」


 そんな暗くなりそうな所へネビュラがやってくる。 みんなへの挨拶は概ね済ませているようだった。


「おはようネビュラ。 大したことじゃないから心配しなくていいよ。」

「ソンナヒョウジョウヲシテイテ、「キニスルナ」トイウノハムリガアリマス。 マジメハウソヲツクノガニガテナノデスネ。」


 ネビュラに言われて本当に気にしなくてもいいのにと思った真面目であったが、心配してくれている相手をこれ以上無下には出来ないと思い、ため息混じりになりつつも話そうとした時に


「おはよう・・・一ノ瀬君。」


 少し言い淀んではいたものの、岬が登校してきたようで、すぐに真面目の席に現れた。


「おはようみ・・・浅倉さん。 今日はごめんね? 待ってたんじゃない?」

「気にしてない。 こういう日もある。」


 その言葉に真面目はホッとし、チャイムがなったので、そのまま自分達の席へと戻った。


 今日分の授業も滞りなく進み、午後の授業も終わったところで担任が入ってくる。


「皆さんにはこれから文化祭の催し物について考えて貰いたいと思っています。 ここで書いたとしても最終決定ではありませんが、ある程度現実的に考えて貰いたいです。」


 その担任の言葉に重みを感じた。 おそらく過去に現実的ではないなにかを突き付けられた事があるのだろう。 クラス全員がほんのりと圧を感じたのだった。


 そして配られた紙を見ながら真面目はどうするかを考えていた。 性別が転換して、そして高校生になって初めての文化祭である。 失敗や自分が納得いかないようなものを提案はしたくはない。


「文化祭だとなにが定番だろうなぁ。」


 真面目は思考を巡らせる。 個人的に催し物として出したいものもある。 だが文化祭とは1人の意見で作られるものでもない。 独りよがりにならないように注意をしなければと真面目は考えていた。


「ここで書いて貰っても構わないけれど、誰かに見られたくなったり、考えがまとまらない人は持ち帰って考えていいからな。」


 その一言でクラスメイトは「なんだー」と安堵の声をあげていた。 どうやらこの場で考えなければ帰れないと思っていたらしい。

 それが分かればと言わんばかりにクラスメイトは散り散りになっていった。


「そうだ。 生徒会で去年までの文化祭の出し物を聞いて、それを参考にしてみよっと。」


 あれこれと考えてもしょうがないと思った真面目は、一番身近で文化祭を運営することになるであろう生徒会に答えを聞いてみることにした。 というよりもそろそろ生徒会の仕事なので、文化祭の話をなんとか「ついでに」済ませたかった。


「今年もこの時が決めしたねぇ。」


 生徒会室に入れば、珍しくもなく水上がニコニコと穏やかな表情を見せていた。


「そんなに楽しみなんですか?」

「同然よぉ。 何て言ったってみんなが楽しくなる行事だからぁ。 楽しまなきゃ損でしょ?」

「一応言っておくが我々は文化祭を支える立場だと言うことを忘れるんじゃないぞ。」


 水上がこれ以上有頂天になる前に芽を摘んでおく花井。 やっぱり忙しくなることには変わり無さそうだと真面目が思っていると、真面目の前で会計処理をしていた金田が手を横に振った。


「大丈夫だよ一ノ瀬君。 僕達だって生徒会である前に生徒だからね。 時間は他の人よりも少ないかもしれないけど、ちゃんと楽しめるだけの時間は用意するから。」

「あぁ・・・そこの心配は実はしてなかったりしてたんですが・・・」

「誤解を生んでいそうだったからね。 先に言わせて貰ったよ。 それで君はなにをしてみたいと考えているのかな?」


 金田の質問に真面目は考えた。 確かに色々とやってみたい気持ちもあるが、クラス全員で行う作業と言うこともあり、答えは見出だせていなかった。


「答えを出すのは明日だろう? まだ考える時間があるのなら、最後まで悩み抜け。 半端な意見では迷惑になるだけだ。」

「相変わらず冷たーい。 後輩にはもっと優しくしてくださいよぉ。」

「ふん。 我々も文化祭が終われば生徒会を去る。 半年近くしか一緒にいなかった人間同士、今さら馴れ合いも必要ないだろう?」

「そこが冷たいって言ってるんですよぉ花井先輩。」


 水上花井のやり取りを見て、真面目はそうかとも考える。 会長と副会長は共に3年生。 次代に引き継ぐために生徒会を退任するのだ。 それは時の流れゆえである。


「こちらの事は気にせずに考えてみればいい。 我々はそれを否定はしないのだからな。」


 仕事をしながらも銘は真面目達の会話を聞いていたようで、真面目にアドバイスを行った。


「なにか参考になるものあったっけなぁ?」


 生徒会からの仕事を終えて真面目は帰路を歩く。 なにか無いかと考えながら、どうやってクラスメイトとやっていこうかと思いながら家まで帰り、寝るまで色々と候補を出しながら夜を明かすのだった。

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