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突然でも出来らぁ!

『なんで教えてくれなかったんだよ真面目! 俺達の仲だろ!?』


 真面目が起きたその日、すぐにMILEからの通知で目が覚める。 唐突ではあるものの、今日が真面目がなんの日なのか知っていた。 知っていたがゆえの反応なのは仕方の無いことであろうと、眠気眼ながらに思っていた。


『いやぁ、特にお祝いされる言われもないから別にいいかなって。』


 真面目は本心をそのまま語った。 するとMILEの通知が一斉に届いた,


『寂しいことを、言わないで、下さい。 一ノ瀬さん。』

『そうだよぉ。 夏休みに祝ってもらうなんて滅多に出来ないんだし。』

『それは祝ってあげないと一ノ瀬君にも失礼だろうしね。』

『楽しんで損はないと思う。』

『よし! それなら俺達なりにお前を祝ってやる! 真面目は夜は家にいろよな! 絶対だぞ!』


 そうしてMILEの通知が途絶えた。 真面目はこんなにも事が大きくなるとは思っても見なかっただけに、複雑な気分を味わっていた。 しかしそれもこれも自分のためだと思えば、少しだけ照れるものがあった。


「押し寄せてくるかな・・・」


 そう思った真面目は、平日で()()()()両親に話をしなければと思い、リビングに降りていくのだった。


「おはよう真面目。 まだ朝御飯出来てないからちょっと待ってて。」

「いいよ、作りながら聞いてくれれば。」


 リビングでこれから朝食を作ろうとしていた壱与と、既に出勤準備を完了してテレビを見ている進を見ながら、真面目は食卓に座った。


「母さん、父さん。 今日の夜、もしかしたら友達が訪問してくるかもしれない。」

「あら、 自分で呼んだんじゃないの?」

「呼ぶ必要がないかなって思って言わなかったんだけど、一言僕が話したらみんなで盛り上がっちゃって。」

「なるほど、料理が足りなくなるかもという事だな。」


 進は既に納得したように答えている。 真面目としてはそのような答えを求めていたわけではなかったが、2人の頭の中ではもう大人数が来ることを想定しているかもしれないと真面目は思った。 だからこそもうひとつの事を伝えたかった。


「本当にいいの? 明日と明後日はどっちもお休みだからそれに合わせてお墓参りに行くんだよね?」

「それがなにさ? 前日なのはいつもの事だし、そんなことであんたの友達を追い出したりすると思う?」


 反論は受け付けていないようだ。 もう真面目は受け入れるのは確定したのだった。


「・・・分かった。 いつ来るかまでは聞いてはないけど、もしかしたら先に友達が来るかもしれない。」

「その時は待っていればいいのよ。 それも含めてのってことでさ。」


 壱与の言っていることもあながち間違いでもないなと思ったので、そのまま朝食を待つ前に、シャワーを浴びに行くことにした真面目であった。


 そしてその日の夜。 まだ日は完全に沈むことがなく、既に両親が帰って来ている一ノ瀬家に、インターホンの音が鳴り響き、その集団を真面目が家に招く。 そしてリビングに入った瞬間に


『誕生日おめでとう! 一ノ瀬君!』


 クラッカーの音がリビングに鳴り響いた。 音だけで紙吹雪等が出ないタイプのクラッカーなので、硝煙の臭いはするが床は汚れない。


「今日が誕生日だって土曜日に聞いた時は焦ったぜ? お前がなにも言わないからプレゼントもかなり絞ったんだぞ?」


 隆起が真面目の腰に手をやって引き寄せる。


 そう、みなが躍起になっていた理由は、この日が真面目の16歳の誕生日なのだ。 去年は夏休みで呼ぶ友人はいなかった真面目にとって、今のこの状況は想定外の出来事だった。


「みんな今日はありがとうね。 この子が急に言ったんだと思うから、準備なんてほとんど出来なかったでしょ?」

「いえ、こう言ったものはみんなで楽しむのが一番ですから、急でもプレゼントは用意できます。」


 今日来ているのは隆起達5人だけでなく、刃真里と下も一緒に来ていて、一ノ瀬家のリビングは一気に賑やかになった。


「でもこうしてきてくれたからには、こっちもそれに答えないとね。 人が来るって言うから、追加で買ってきたのよ。」

「すみません、突然来てしまったのに。」

「いいのいいの。 元々小規模でやる予定だったのが大きくなっただけだし、メインは既にあるから。」

「あ! もしかして誕生日ケーキって・・・!」


 そんなこんなで壱与がみんなとわいわいしているのを、まるで当事者でないかのように真面目は外野から見ていた。


「なんだか去年では絶対にあり得ない光景が目の前に広がっているわけだけど・・・その辺りはどう思う? 真面目本人としては。」


 そんな様子が気になった進は真面目に聞いてみる。 真面目は少しだけ考えて、こう口に出した。


「戸惑ってる部分もあるのかもしれないけど、やっぱり嬉しいのかも。 これはもちろんみんなが来てくれたことだよ? 自分の誕生日の事までは考えなかったもの。」

「ほら、進さんも真面目もこっちに入ってきなさいよ。 一番の主役がいなくてどうするのよ。」


 壱与に呼び出されて、真面目と進はその場所に混じるのだった。


 料理自体は壱与が用意したものではなく、帰りに買ってきた惣菜やオードブルではあるものの、それでも岬達は文句は言わずに、真面目を祝っていた。

 そして料理自体もほとほと無くなってきた頃。


「よっしゃ、そろそろ真面目にプレゼントでもあげようぜ。」


 隆起の言葉を筆頭に、皆が包装されている箱を取り出すその大きさは人によって様々だ。


「ほらよ真面目。 俺達なりに考えたお前へのプレゼントだ。」


 最初に渡してきたのは隆起。 自分が用意したプレゼントと言うには妙に小さく軽かった。


「中身はイヤホンだぜ。 お前の好みとか分からなかったから、とりあえずは実用性のあるものの方が言いと思ってな。 お前も音楽は聴くだろ?」

「いや、十分嬉しいよ。 ありがとう。」

「次は私。」


 そうして岬が出してきたのもそこまで大きくないものであった。


「私は眼鏡にした。 眼鏡ケースも一緒に入ってる。」

「僕は目悪くないよ?」

「ブルーライトカットメガネだから、一ノ瀬君でも使えるでしょ? これでメガネ男子の仲間入り。」

「今の僕は女子だよ朝倉さん。」

「おっと、失礼。」


 でも嬉しいことには変わり無いので、そのまま受け取った。 その後も色々と実用的なものが真面目の手に渡っていく。


「良かったじゃない真面目。 今年はこんなにも祝ってくれる子達がいてさ。」


 そう言いながら壱与は2つのケーキを持ってくる。 ひとつは焼き目が綺麗なベイクドチーズケーキ。 もうひとつは夏みかんで彩られたショートケーキだ。 どちらもホールで用意されていた。


「うわぁ凄ぉい! 撮ってもいいですか!? めちゃくちゃ映えるケーキですね!」

「ありがとう。 下君、だったかしら? 本物の女の子みたいね。」

「はい。 前の姿でもこう言った装飾が好きなものでしたから。」

「好きなものに一直線に進めるのは良いことよ。 全力で貫き通しなさい。」

「・・・! ありがとうございます!」


 誉められたのがよっぽど嬉しかったのだろう。下は直角にお辞儀をしていた。


 そして壱与特性のケーキを堪能して、真面目のサプライズにも近い誕生日会はお開きとなった。


「みんな今日はありがとうね。 まさかここまで祝ってもらえるとは思っても見なかったよ。」

「はん。 ちゃんと話を通せば出来るってことよ。 まだ夏休みは半ばだぜ。 まだまだ楽しもうぜ。」

「そうだね。 それじゃあまた。」


 そうしてみんなが帰った後に、真面目はふぅと息をついた。 唐突な催しに疲れが出たようだ。


「みんな良い友達じゃないの。 高校生になって、その姿になって、良いこと尽くしじゃない?」

「明日は少し遅めに出ようか。 色々と見てみるといいさ。」

「そうだね。 僕も片付けを手伝うよ。 お皿片付けるね。」


 そう言って家族総出で掃除を行い、そして真面目は自分の部屋に入り、着替えてからみんなのもらったプレゼントを1つずつ確認して、楽しみの余韻を残しながら眠りに付いたのだった。

というわけで真面目の誕生日回をお送りしました。


実際の誕生日を決定してしまうと小説内のカレンダーが崩れてしまいそうだったので、あえて細かい日程は書いておりません。


いつか書く織りが付けば書こうとは思っておりますが。


因みにサブタイトルは隆起の叫びとなっております

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