夏休みの予定はパズルのように
「ふあぁぁ・・・やりすぎた・・・」
翌日眠たそうに欠伸をしながら通学路を歩く真面目。 あのあと結局完全に防具を揃えるまで戦いが終わらなかったため、予定の睡眠時間よりも削られてしまった。
「まあまだ一週間は夏休みまで期間はあるし、出来なかった分は今週の三連休を使ってでも進めないとなぁ。」
ふぅ、とため息をついていると、そこで岬と裏道から鉢合わせる。
「眠たそうだね。 一ノ瀬君。」
「あ、おはよう浅倉さん。 週末だからって夜更かししちゃってさ。 反省しないと。」
「あと一週間で夏休みなのに、そんな体たらくじゃ、2学期が辛くなると思うよ?」
「そうだねぇ。 もっと時間を有効的に使わないと・・・ふぁぁぁ。」
喋りながら再び大きな欠伸をする真面目。 昨日の夜更かしは相当答えているようだ。
「授業中に寝ないでね?」
「流石にそこまでは・・・気を付ける。」
今の自分を思い返して、完全に否定が出来なかった真面目は、岬から目をそらすことしか出来なかった。
「ねぇねぇ。 夏休みはどこか遠出してみない?」
お昼時になり真面目達はいつもの場所で昼食を取っていると、得流がそんな風に語り始めた。
「遠出って・・・私達はそんなことを出来るお金はないよ?」
最初に突っ込みを入れたのは岬だったが、想いはみんな一緒だった。 遠出するにも限度があるだろうし、そもそも金銭的問題で不可能にも近いだろう。 そんな考えが渦巻いているが、そんな中で得流は人差し指を横に振った。
「ちっちっちっ。 そう言われるのはあたいだって想定内。 でもこれを見てら、同じことは言えないよ!」
そう言って得流が手に見せたのはとあるチケットだった。
「ええっとなになに? 「大型プール入場券付き 1泊2日家族様宿泊引換券」? 色々と言いたいことがあるが、まずどうしたんだこれ?」
隆起が得流の手にあるものを読み上げると、得流は誇らしげな表情をした。
「実はあたいのママがスーパーの福引きで当ててきたんだよ! それで、注目するべき点はここ!」
そういって得流は小さく書かれている場所を指差した。
「こちらの券はご家族も含めて親戚もしくはご友人5名様までご利用頂けます?」
「つ、つまり、それって・・・」
「そうです! ここにいるみんなで、私達の家族と一緒に行きませんか!?」
得流の元気な声に、最初に反応したのは当然と言わんばかりの隆起だった。
「いいじゃねぇか! 行こうぜ! 夏の思い出に!」
「それに、よく見ると、この場所って、予約殺到中の旅館ですよ。」
「確かにテレビで見たことある、かも。」
みんなが盛り上がっているなかで、真面目と岬はそんな様子を外から見ていた。
「2人はどうする!?」
得流に質問を投げられて互いの顔を見合った後に、答えたのは真面目だった。
「折角だから僕は行こうと思ってるけれど、浅倉さんは?」
「・・・そんな風に言われて、行かないなんて言えないじゃん。」
「決定ー! それじゃああたいは後でママ達に連絡取るから、予定はまた後で教えるね。」
そうしてお昼が過ぎたところで、みんなが解散して授業を受けて、真面目は生徒会の仕事を終わらせた後に水泳部へと向かった。 理由は地方大会が近いからだ。
「夏休みが始まり、8月を迎える前に、地方での大会が予定されている。 我々はそれに向けて、今日まで練習をしてきた! 成果を見せる時は近い! 最後まで全力で行くぞ!」
「おー!」
そう声をあげる後ろ手、真面目と目黒は会話をしていた。
「君の場合は地方大会で終わりだから、2学期まではサポーターとして何日かは部活に来て欲しいかな。」
「そういうことなら。」
「よし! それでは校舎周りを2周走るぞ! 俺についてこい!」
そうして部活が始まり、気がつけば最終下校時刻になっていた。
「とりあえず7月は水泳部だとして・・・」
予定を組み立てていると携帯が鳴っていた。 中身を確認すると両親からの帰りは遅くなるメッセージ。 となればと真面目はあの店に足を運ぶ。
「いらっしゃいませ! あらぁ、この前の!」
「こんばんは。 例のアルバイトのことを知りたくて来ました。 あ、今日はお好み焼き豚肉で頂きたいです。」
「あいよ! 旨いの用意してやるから待ってな!」
声と共に鉄板を焼く大将とは逆に、女将に前に話していたバイトについて聞こうと思ったのだ。
「それでどこで何日やるんですか?」
「ここなんだけどね。 日付がお彼岸終わりからだから、お客が来るか心配で。」
地図を持ってきてくれて、指された場所は確かに浜辺ではあるものの、日程を考えると、少し不安になりやすい。
「何より私達の屋台出店をどのようにするか、まだ固まってなくてさ。 あの人が料理をして、私が残りをやるのは間違いないんだけど、方針がねぇ。」
「それなら僕もアイデアを考えますよ。 夏休みにも入りますし、日程が合えば、相談に乗らせてください。 助っ人もこっちから用意しますから。」
「なんかごめんなさいね。 アルバイトを頼んだのに、こういった所は疎くて。」
「初めての事なのですからしょうがないですよ。 上手くいようにサポートはしますので。」
「いいこと言うじゃねえか。 ほれ、お好み焼きだ。 ご飯と味噌汁も置いておくからな。」
そうしてやり取りと夕飯を終えて、家に帰る前のところで、掲示板らしきものに、ここからの最寄り駅で祭りをやるとポスターが張られていた。 期間は夏休みの終盤。 真面目の夏休みカレンダーの枠がどんどん埋まっていく。
「あとはあの位置が決まれば・・・」
そう言いながら家へと到着して、シャワーを浴びた後に自分の部屋に戻ると、携帯のランプが光っているのが確認できた。 開いてみると、通知が来ていることが伺えた。 グループでの通知で発言者は得流だった。
『ママ達に話をして、お盆前に行く事になったから、日程と集合場所を先に書いておくね。』
そう言って詳しい日程と集合場所が送られてきた。
「あ、この日って・・・」
改めて日程を確認して、自分にとって特別な日の前日までとなっていた。 これで色々な予定が盛り沢山の夏休みになりそうだと思った真面目。
「また詳しい話は学校で聞くとして・・・改めて日程を確認してみようっと。」
真面目はスマホの中のメモ用紙を取り出して、今後の予定をパチパチと書いていく。 すると夏休みはほとんどの予定で埋まっていることが分かった。
8月前 水泳部の地方大会参加
8月上旬 プールとお泊まり
8月中旬 お盆休み
8月下旬 お店のアルバイト
8月末 駅前でのお祭り
一週間単位で書いてはいるものの、こうして埋まった姿のカレンダーを見ると、凄く感動ものに見えた。
「そんな中でも色々と準備とかが必要だけどね・・・身体も壊さないようにしないとね。 さてと、明日から一応3連休だし、ビーハンの事もあるけれど、下見くらいはしに行こうかな。」
そう言いながら真面目はビーステットハンティングの入ったゲーム機に手を伸ばして、昨日の続きを楽しんで夜を更かすのだった。




