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家を追放された魔法薬師は、薬獣や妖精に囲まれて秘密の薬草園で第二の人生を謳歌する(旧題:再婚したいと乞われましても困ります。どうか愛する人とお幸せに!)  作者: 江本マシメサ
二部・第三章 奇跡の力を揮う者?

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これからすべきことについて

 どうやって聖女とスズラン教会の不正を暴くのか。研究室に戻り、作戦についてエルツ様と話し合う。

「まあ、聖女については放っておいても勝手にボロを出すに違いない。問題はココロト商会のほうだ」

 なんでもココロト商会というのはヒーディの父親からの出資で作られたようだ。

 叔父である商会長はヒーディの父親である兄に逆らうことなどできないようで、何があっても聖女のことは守るだろう、とエルツ様は推測する。

「では、ココロト商会さえどうにかすれば、この一件は解決する、というわけですね」

「そうだ」

 打倒ココロト商会を目指すためには、二つの材料が必要だという。

「一つはココロト商会の悪事を暴くこと」

 ココロト商会を滅亡へ追い込めるような、とっておきの悪事を摘発する必要があるという。

「ビー、もう一つはなんだと思う?」

「謝肉祭の病気を完治させる魔法薬、ですか?」

「惜しいが、まあ、正解としよう」

 ココロト商会を追い詰めるもう一つの材料は、完成した魔法薬を無償配布する聖女の存在だという。

「目には目を歯には歯を、という異国の格言があるように、聖女には聖女を立てる必要があるのだ」

 大衆はまったく聞く耳を持たないでいる。そんな人々に魔法薬を信用させるためには、聖女が必要だという。

「後出しの聖女というのは通用するものなのでしょうか?」

「通用するに決まっているだろう。スズラン教会に押しかけた者の中には、怒って引き返す者達がいた。奴らは奇跡にお金がかかることを怒っていたのだ」

 魔法薬を無償で配ったら、彼らはあっさり寝返るだろう、とエルツ様は確信しているようだ。

「魔法薬については心配はいらない。すでに国の予算で支払うことを約束させている」

「国の予算で? 大丈夫なのですか?」

「問題ない。おそらくココロト商会を訴えて、あとから回収できるだろうから」

「な、なるほど。そういう算段だったのですね」

 これからすべきことが固まったというわけだ。

「検体の解析はもう少々時間がかかるゆえ、先にココロト商会の悪事を暴こうではないか」

「わかりました」

 ただ、調査するまでもないという。もうすでにヒーディがいくつか口を滑らせている。

「引っかかったのは、ヒーディが言っていた口封じについて、ですね」

「ああ。エリクシールを飲ませた者をどう扱っているのか、調べたらボロが出るだろう」

 スズラン教会への潜入をしたほうがいいのだが、思いのほかヒーディの護衛の数が多い。

 どうしたものか、と考えていると、窓がコツコツ叩かれる。

 エルツ様が窓を開くと、使い魔である白カラスが入ってきた。

 嘴には木の欠片、足には何か握っており、二つともエルツ様の手のひらに落とされる。

「よくやった」

 白カラスが運んできたのは、ヒーディや法衣の男達が飲んでいた紫色の魔法薬と、香炉で炊いた香木のようだ。

 すでにエルツ様はスズラン教会に白カラスを潜入させ、怪しいアイテムを持ってくるよう命じていたらしい。

「これは解析器にかけるまでもないな」

 鑑定魔法でことたりるようで、すぐに魔法が発動させる。

「ふむ。薬のほうはビーが言っていた通り、意識を明瞭にさせる目覚まし薬だな。香木のほうは最悪と言っても過言ではない。これは香りをかいだ者の意識を長期間において朦朧とさせるものだ」

 香木はゾッとするような恐ろしい物だったようだ。

「おそらく奇跡の力とやらをふるって、この香木の香りをかがせ、意識が確かでないまま家に帰し、治ったと錯覚させるつもりだったのだろう」

 この香木は依存性があり、効果が切れそうになると飢餓状態のようになるという。

「再びスズラン教会に押し寄せ、寄付と引き換えに奇跡を望む――そういう仕組みを作るつもりなのだろう」

「なんて恐ろしいことを考えるのでしょうか」

「ああ、まったくだ」

 まさか謝肉祭で流行した病気も、ココロト商会が仕掛けたものではないのか。

 そんな疑いが浮上したものの、エルツ様はその可能性が低いという。

「逆に、謝肉祭での騒動を自分達のせいだと思わせないように、このような浅薄な行為をやりはじめたような気がする」

 もしも狙って病気を流行らせたとしたら、ココロト商会は魔法薬を高額で販売しているだろうから、とエルツ様は彼らがしていたであろう行動について語っていた。

 現在、聖女とスズラン教会を使った作戦は大成功としか言えないような結果を残している。

 ココロト商会の人達は笑いが止まらないような状況だろう。

「しかし、これだけでは証拠としては弱いな。もっと愚かな行為を働いているだろうから、もっと詳しく調査する必要がある――モモ!」

 突然、床に召喚魔法が展開され、モモがやってくる。

「何か発見したのか?」

『はい、こちらでちゅう』

 くるくる巻きにした紙は、スズラン教会の求人について書かれたものだった。

「急募、シスター及びブラザー募集、か」

「ヒーディの取り巻きを募集したいのでしょうね」

「ああ」

 詐欺の片棒を担ぐ人を募集するなんて、採用された人達が気の毒でしょうがない。

 なんて考えていたら、エルツ様がとんでもないことを口にした。

「ビー、私達も面接に行くぞ!」

「え!?」

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