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家を追放された魔法薬師は、薬獣や妖精に囲まれて秘密の薬草園で第二の人生を謳歌する(旧題:再婚したいと乞われましても困ります。どうか愛する人とお幸せに!)  作者: 江本マシメサ
二部・第三章 奇跡の力を揮う者?

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事情を聞きに

 シスターから得た情報と共に帰宅した私であったが、エルツ様は眉間に皺を寄せ腕を組み、非常に険しい表情でいた。

「えー、そのー、エルツ様。何か収穫はございましたか?」

「いいや、さんざんな目に遭っただけだった」

 なんでもエルツ様が向かった先は大聖堂だったらしい。そこで枢機卿と話をする予定だったのだが、あまりにも美しすぎるエルツ様を目にした信者の方々が、天使長の降臨だと言って詰めかけてきたそうだ。

「誰が天使長だ!」

 騒動の収拾がつかなくなったようで、枢機卿から大聖堂への出入り禁止を命じられてしまったという。

「一度、枢機卿が信者を落ち着かせようと説教を読んだようだが、誰も聞いていなかったようで、怒りに触れてしまったようだ」

「その矛先がエルツ様になる意味がわからないのですが」

「まあ、八つ当たりだろう」

 なんでもエルツ様は教会と聖女の関係について聞く予定だったとか。

「枢機卿に睨まれているとなると、関係者から話を聞くのは難しいな」

「そうですね……」

「せめて枢機卿以外の聖職者に知り合いでもいればよかったのだが」

 聖職者の知り合いと聞いて、ある人物について思い出す。

「あの、謝肉祭のときにお隣にお店を出していたウッドさんなら、会ってくれるかもしれません」

「ウッド?」

 教会に戻る、と言っていたので、大聖堂にお勤めになっている神父様だろう。

「これから大聖堂へ行って、ウッドさんと会えないか交渉してまいります」

「私も連れていってくれ」

「しかし――」

 出入り禁止では? と言ったものの、変装すれば問題ないと言っていた。

 エルツ様は天使長と崇められた美貌を頭巾で隠し、大聖堂へと向かう。

 王宮から少し外れた場所にある、美しくそびえる白亜の礼拝堂。

 そこは王族の冠婚葬祭のさいに利用される、歴史ある建築物だ。

 まず、大聖堂の窓口となっている建物に行き、私がイーゼンブルク公爵であると伝えた上で、ウッド氏に会えないかお願いしてみる。

 すると、たった五分ほど待機するだけで、ウッド氏が駆けつけてくれた。

 なんでもウッド氏は司祭と、教会の中でも高い地位にいるらしい。

 気さくなお方だったので、偉い神父様だったのだと聞いて驚いてしまった。

「いやはや、お待たせしました!」

「突然訪問してしまい、申し訳ありません」

「いえいえ、いつでも歓迎いたします」

 ひとまず客間へと通してもらい、人払いをしたのちに本題へと移る。

「その、お聞きしたいことがございまして」

「もしや、聖女とスズラン教会のことですか?」

「そうなんです」

 この件に関しては教会側も把握していたようだ。

 彼らもココロト商会の寄付を受け取った関係者なのだろうか。

 ハラハラしながら話に耳を傾ける。

「この問題については枢機卿も頭を悩ませておりまして」

「というと?」

「私共と聖女及びスズラン教会は、無関係なのです」

 ヒーディ扮する聖女は、ココロト商会が勝手に作り上げたものだったようだ。

「枢機卿は騎士隊に調査を依頼したようですが、異常は何もなかった、と言われるばかりでして」

「ココロト商会と騎士隊は寄付で繋がっていたそうです」

「そういうことになりますよね」

 ウッド氏はがっくり項垂れ、はーーーーーと長く深いため息を吐いていた。

「教会の聖騎士達は大聖堂の防衛のさいにしか使えず、どうしたものかと頭を抱えていたところなんです」

「その件について、私達に任せてくれないだろうか?」

 エルツ様が頭巾を外しつつ発言する。

「ヴィンダールスト大公!?」

「すまない。枢機卿から出入り禁止を命じられていたのだが、どうしても騒動についての話を聞きたいと思い、無理を言って連れてきてもらったのだ」

「いえ、構いません。枢機卿の決定は少々横暴と言いますが、その、ワガママみたいなものでしたので。それはそうと、この騒動について引き受けてくださるというのは本当ですか?」

「ああ。聖女とやらはイーゼンブルク公爵家の屋敷から盗み出したエリクシールを使い、奇跡を起こすとうそぶいているのだ。絶対に許すわけにはいかない」

「ありがとうございます! では、枢機卿にはイーゼンブルク公爵が引き受けてくださった、とお伝えしておきますね」

「あの、エルツ様のことは?」

「止めさせようと躍起になりそうなので、枢機卿に言わないほうがいいでしょう。イーゼンブルク公爵のお名前だけで十分かと思われます」

「そ、そうですね」

 そんなわけで、聖女とスズラン教会の件について私とエルツ様で引き受けることとなった。

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