第十二話:ミクロ島の調査
冒険科のティル達は渡し船でミクロ島に向かう。船に乗ったノアは景色を楽しみながら海の透明度に目をキラキラと輝かせていた。
「すごく綺麗だね、お魚がいっぱいいるよ」
「そうだね」
嬉しそうに笑うノアにティルは自然と顔が綻ぶ。ミクロ島に着き、本島とはまた違った趣のある感じだった。
「なんか結構活気ある気があるっていうかお店が開いているわね」
「ええ、本島の方はあまり活気がなかったけど」
ミクロ島は九つの島のうち一つの小島である。モルジア諸島の中でも人口が一番多く繁華街として栄えている。
「う〜ん、ここの人たちは特に怖がってなさそうですね」
リオは辺りの人たちを見ながら地元の人たちに失礼のないように観察する。その様子にリントは同意する。
「そうだな、普通に生活しているっぽいし」
現地の人に聞いてみた。
「それは、この島の村長のおかげかね」
「村長さんですか?」
「あんた達はこの島は初めてのようだね」
「はい」
「この村が栄えているのは村長のロッシュ・モーガン様のおかげね」
「ロッシュ・モーガン」
自慢げにいう様子によほど信頼されているのだとリオは思った。それと調査のための話をした。
「それと海で魔物が出るって本当ですか?」
それを聞いた地元の人におかしそうに吹き出す。
「はは?! お前さん達それを信じているのかい、そんなものあいるわけないだろ」
笑われる始末でとりつく島もなく地元の人は笑いながらにいう姿を見送りながらティル達は呆然とする。
「なんか信じてなさそうだったな」
リントは呆気にとられリオも同じ心境だった。
「そうですね…一体何のために来たのか分からなくなりますね ですが、まだ来たばかりですし まずはこの村の村長に挨拶しにいきましょ」
「はい」
ティル達は地元の人たちに聞きながら村長宅にたどり着いた。本島の方が質素と思えるよりほどま豪華な門構えとティルは思った。
まずは警備している人は話をして執事のような人がやってきた。
「本島の方から話を伺っております 中にどうぞ」
「ありがとうございます」
ティル達は見晴らしのいい部屋に案内されて待っていると身なりのいい男性が入ってきた。
「ようこそ、いらっしゃいませ お話は首長から聞いております わざわざきていただいてありがとうございます」
頭を下げたロッシュにリオは慌てて立ち上がり頭を下げた。
「いえ、これも仕事ですので」
ロッシュは少し困った顔をした。
「来て頂いたところ悪いのですが、私は魔物の話を信じていないんですすよ」
「…え、そうなんですか?」
住民と同じ心境だということにリオは驚く。
「首長は慎重なので信じているようですが、それで困ったことに観光客が来なくなっていますし、店の方もお客さんが少なくなってしまって利益が出ませんし」
この村長は海の魔物よりも客足が途絶えることを危惧しているらしい。島での総意も一つではないかとティルは感じた。
それからお暇したティル達はミクロ島の探索に入り、まずは街の方を歩くことにした。
30分、しばらく歩いた時だった。本通りとは違う別の道に差し掛かろうとした時だった。
「きゃああ!?」
そこは裏路地で人気がないような場所から女の人の叫び声が聞こえた。切迫する声にリントは焦った。
「ちょっと、先を見てくる!」
「はいっ、分かりました」
リオの返事にリントは加速させて瞬く間に消えていった。
「はあ〜、すごいですね」
圧巻の早さにリオは呆然としながら駆け出した。
「僕たちもを急ぎましょ!」
それにティルとノアもうなづき応えた。
「はい!」
「うん」




