第八話:島に行く前の準備
「事の八反は島の見回りから帰ってこない二人が心配で他の見回りに探しに行かせた事から始まる。
気を失っていた二人が目覚め、聴取をした所「化け物をみた」というだけ。調査させようとしても二人の尋常じゃない様子に他の者達にも動揺が広がり二の足を踏んでいる。
このままでは安心して漁業や島の暮らしが成り立たないから、調査して欲しいとのことじゃ……いなければ越したことにならないのじゃがくれぐれも用心するように」
「さて、こんな所じゃな、あとはよろしく頼みます フィズカルト先生、リスティリア先生、フィンナッシュ先生」
「はい」
学園長は立ち去り、ルイズ、テレサ、リオは教壇に立った。
「それでは日程を配りますので、そこに必要な持ち物を書いています 明日は準備をするための1日で明後日に出発となります」
「出欠の可否は出発前日まで受付します 体調が優れない時は早めにお願いします」
「質問はありますでしょうか?」
「一つ質問よろしいですか?」
一人のナイトクラスが声を上げた。
「はい、何でしょう」
「何もなければ海で遊べるってことですか?」
この時、ナイトクラスとヴィザードクラスの男子達は目を輝かせた。
「何もなければ……ですが」
「別にいいんじゃない」
釘を打とうとしたルイズだが、隣にいたテレサが邪魔をする。その言葉を聞いて学生達は歓声を上げる。
「それじゃあ、一応水着とかも持って行こうかな」
「私も」
生徒達の浮かれる言葉にルイズはため息をつく。
「水着を持ってくるのは各々の自由です それでは合同説明会を終わります ーー解散」
それからティル達はひとまず冒険科のクラスに戻った。
「明後日は出発日になってしまいましたが、都合が悪い人はいませんか?」
三人は同じように首をふった。
「今日はもう授業はないので準備に備えてゆっくりしてください」
ノアは気になったことを聞いた。
「水着って洋服屋とかにあるのかな?」
「そうですね、南街にあると思います」
「それじゃあ、ティル、明日水着買いに行こう」
「うん、そうだね」
遊びではないのだが、彼女のはしゃぐ様子を見てティルも嬉しく思い、どんなところかワクワクしていた。
翌日になりティルとノアは必要なものや彼女が欲しいと言っていた水着を買いに出掛けた。
南街で買い物する前にリオが地図をもらっていたので、余程入りくんだところに行かなければ迷う心配はない。
南街には日用品などを売る商店や卸売など雑貨屋や洋服などを売っている店舗が軒を連ねており、行き交う人々をいい匂いでお客を捕まえる屋台を構えているお店もある。
そんな作戦にまんまと引っ掛かったのがここにも一人いた。
「ノア、 さっきご飯を食べたばっかりでしょ?」
ティルとは一緒に並んで歩いていたのだが、一足早く異変に気づき早めに釘を刺した。
「う、分かっているわよ」
と言いながらも目線は肉の串焼きから目を離さない。
「それじゃ、買い物が終わったら後で」
「うん」
後で帰るのならとノアは従うのが早かった。
それから必要なものを買っていき、大きな店に入ると老舗な感じはあるが、若者が着るような服も多く、品揃えも豊富で歩き回っているとノアが欲しがっていた、水着のコーナーがあった。
そこに向かおうとした時だった。ノアと同じタイミングで歩いていたものとぶつかってしまう。
「った?!」
「……っ」
ノアは尻餅をついたが、周りを見ていなかった自分も悪い。謝ろうとぶつかってしまった相手の顔を見てノアは驚く。
「…ミルカさん?」
「ティルさん、どうしてこちらに」
「えっと、明日からモルジア諸島に調査に行く予定なので、せっかくだから水着を買って行こうかと」
「モルジアになるほど……」
ミルカはギルド連合は受付嬢なので状況などを知っているのか、説明が省けた。
「確か3クラスでしたね」
「はい、ヴィザードクラスとナイトクラスと冒険科」
「ティルさんは冒険科です」
「冒険科に」
ふとティルに疑問を思った。
「そういえばミルカさんって何のクラスだったんですか?」
「私はナイトクラスに入っていました 体術を学びたくて……」
「ミルカさんらしいですね」
二人の和気藹々と話しているとブスくれた声を出した。
「ちょっと二人とも、私もいるんだけど」
ティルとミルカは同じ方向を見るとノアは頬を膨らませていた。
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