第七話:エレナの苛立ち
「みんな、どうしたんだ?」
エレナは疑問をぶつけるとヴィザードクラスの一人の女の子が口を慄かせながら開いた。
「エ、エレナ様、彼とはどうゆう関係ですか?」
「………うん?」
予想外の言葉にエレナは思わず聞き返す。
「エレナ様の守護隊長である私が申し上げますが、この男は女好きで有名で なのでエレナ様が近寄らない方がいいと思います」
(守護隊長とはなんだ……? というよりも)
「女好き、そうなのか?」
エレナに話を振られたリントは苦笑した。
「えっとまあ、女好きというより女の子は可愛いと思うのは別におかしいことじゃないだろう……?」
首を傾げて平然というリントに対し、守護隊長の女の子は声を上げる。
「そんなこと言って騙されませんから?! 私知っているんですから 何人ものの女の子が餌食になったのか……?!」
女の子の荒げた声にエレナは訝しむ。
「どういうことだ?」
「はい、エレナ様 女子達はリントの甘い言葉で何度も唆されたと噂が絶えず」
「え〜、でもそれって」
「ほう〜」
リントは誤解のないように弁解したかったのだが、エレナの低い声音にドキリとした。
「それは初めて聞くな まさかそのような男だったとは…(少しは見直したと思っていたが)どうやら私の思い過ごしだったようだ」
なんだか不味い空気だなと読んだリントは話しかける。
「お〜い、俺の話聞いてくれ」
エレナに話しかけてもそっぽを向く一方で、何かの逆鱗に触れたかのようである。何度話そうとしても収拾がつかなくなったその時だった。
パチパチとする拍手の音に耳を澄ますと二人の先生がいた。
「皆さん、これから説明を受けるのに喧嘩をしている場合ではありませんよ」
そこにはヴィザードクラス担当のルイズ・フィズカルトがいた。そしてもう一人はナイトクラスの先生である。
「そうよ〜喧嘩なんてしている暇なんてないぐらい忙しくなるわよ」
可愛らしい声から毒舌を放つ彼女にティルはリオに聞いた。
「彼女はテレサ・リスティリア、ナイトクラスの担当の方です」
リオと同じくらいの体格の先生がもう一人いるとは思ってなかったのでティルは驚いた。
「あ、リオちゃんも先生だからこっちにおいでよ〜」
テレサがリオを「ちゃん」付けで呼んだ瞬間、ルイズは口元を慄かせた。
(私なんてまだ名字でしか呼んだことがないのに、名前で呼んでしかもちゃん付けなんて〜〜!!ーー別に羨ましくないんだから)
「リスティリア先生、ちゃん付けはあまりに失礼では?」
「うん?それじゃあ、あなたもちゃん付けで言ったらいいんじゃない」
テレサの挑発にルイズは思いの外口ごもる。
「え、そそれは」
一瞬リオの方を見たが、そっぽを向いた。
「何を言っているんですか、子供じゃあるまいし」
ルイズはハッとしたがもうすでに遅い。子供という単語にリオは落ち込んでいた。
「えっと、今のは言葉の間違いで」
「いえ、別にいいんですよ……本当のことなので」
うっすらと涙目にどう弁解しようかと動揺していたときだった。
「コホン、お前さんら いつから説明会が始まるのかの?」
いつの間にか学園長のルーカス・マルドォークが座っていた。
「学園長!」
皆が一同に驚きの声をあげた。先生達も目を見開いてみる。
「どうして、こちらに」
最もな疑問にルイズは声を上げ、驚かせたことに満面の笑みを浮かべながらコクリとうなづいた。
「いや〜忘れていたことがあっての」
壇上に移動した学園長は口を開く。
「今日の3クラスに集まってもらったのはある調査をしてもらうためである フィズカルト先生 地図を出してくれるかね」
「はい」
ルイズは気持ちを切り替えて生徒全体に見えるように世界地図をスクリーンを反映した。それはつい先日ティル達も見たものだった。
「今回、ギルドから依頼があったのは同盟を組んでいるモルジア諸島の首長からである」
どうしてエレナが苛立っていたのか第四章の方で判明します(´∀`*)
第四章の下書きは順調に進んでいます・:*+.\(( °ω° ))/.:+
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