第六話:3クラス合同の説明会
〇〇(リント視点)
時は少し遡る。
ティル達は依頼の「薬草集め」を選び、都市の外れにある小さな森に向かった。
ギルドには戦闘向けや危険度の高い依頼は犠牲者を出さないためにランクに見合った者ではないと、依頼は受理されない仕組みになっている。
ティル達は道中でこんなことを話した。
「ティルって結構モテるんだな〜」
「へ、いきなりどうしたんですか? 僕はモテないですよ」
予想外の言葉にティルは困惑するのを見たリントは嘆息する。
(こりゃ〜本当に気がついていないんだな)
鈍感な友人にリントは心配になった。
「今までに告白されたことってないのか」
「告白ですか……う〜ん 周りの幼なじみはよく告白されていましたけど」
「ほう〜、それはすごいな」
「はい、幼なじみのみんなはカッコよくてクラスの人気者でしたので」
「………でお前は告白されなかったと?」
「う〜ん そうですね あまりなかったような」
「ようなってどうしてあやふやなんだ?」
ティルの釈然としない答えにリントは訝しむ。
「みんなと一緒にいることが多かったですし、学校からの帰りもそうですし」
「……ということはちゃんと告白されたことはないってことか?」
「そうなりますね」
気の無い返事に無防備というかふわふわとした感じが出来上がったのはその幼なじみの過保護っぷりが原因ではないのだろうかとリントは思った。
(まあ〜別にそれがいいんだろうけど なんか放ってほけないし)
ティルの幼なじみもこんな気持ちになったのだろうかとリントはまだ見ぬものに思いを馳せた。
そしてティル達は薬草集めの依頼を終えて学園に帰り着いた。帰るホームルームの前の一人の教師がやってきた。
「すみません、フィンナッシュ先生 少し話が」
「はい、何でしょう?」
リオは近寄り、小声で話しかけたそしていくつかやりとりをしてうなづき、男性は去っていった。
「えっと、一つ大事なお知らせがあります 明日も今日のように授業をする予定でしたが、3クラスの合同の説明会があります」
「3クラス?」
「はい、ヴィザードクラス、ナイトクラス、そして私たち冒険科の一期生です」
3クラスともなれば五十人くらいかとリントはざっと計算した。
「そんな大人数で何の説明会だ?」
「それは明日の説明会でわかるみたいでホールに朝の9時に集合みたいです」
「分かりました」
翌日の朝になりリオはティル達を迎えに行きホールに向かった。そこは広々としていて五十人くらいいてもまだ座る席が空いていた。
9時になる10分前に中に入ったティル達は時間まで大人しく待っていたが、元々仲の悪い二クラスが一緒の空間にいるので、すでに勃発していた。
「ったく何でこんな奴らと一緒にいないといけないんだよ?!」
ナイトクラスの男子の声に共感するように
「そうだよな」
「早く終わらせてこんなところでたいわ」
「もうイライラするわね」
言われたまま黙っているわけがないヴィザードクラスも口撃を開始する。
「それはこっちのセリフよ」
「何であんた達と一緒にいけないのよ」
「同じ空気を吸いたくないってのに、筋肉バカがうつるじゃない」
両者一緒に譲らずの光景にそれを見たリントはポツリと呟く。
「いや〜、今日もすごいな」
「相変わらず仲が悪いですね」
ほとほとと諦めを含んだ声でリオは呟いた。
「そうですね」
ティルがうなづいたときに、鶴の一声が室内に響き渡る。
「両クラス、静かにできないのなら今すぐ部屋に戻りなさい」
ティル達は聞き覚えのある声に視線を傾けるとその人物がいた。
声をあげたエレナ・マリオットは周囲を見回した。ナイトクラスは彼女の威圧に震え、怒られたヴィザードクラスも同様である。
誰もが萎縮し沈黙する中、楽観とした声を出した。
「あれ、マリオットさん 久しぶりだね いや、この前ぶりか」
リントはエレナに声をかけて近寄った。エレナはリントの存在に気がついた。
「お前はあの時の」
「よっ、俺のこと思い出してくれたか?」
「ああ、何度か見かけたがもう怪我は大丈夫そうだな」
「おう、どこも異常はないって」
「そうか、よかったな…」
「うん?」
「お前がいないことを心配してくれる友人がいて」
「ああ、それもあるんだけど、マリオットも力を貸してくれてありがとな」
「いや、私は当然のことをしたまででーー」
そして周りが異常に静かなことに気づき見渡すと凝視されていることに驚く。
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