第五話:妹想いの兄
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表情は笑っているが、ゾッとさせるものに二人は硬直した。ジョンは小声で話しかけてきた。
『どうしてあんなに怒っているんだ?!』
『僕も分かんないですよ』
ティルもどうしたものかとあたふたした。理由が分からないので聞いてみることにした。
「あの、ミルカさんどうしました?」
「……いえ、どうもしてませんよ ただ仲がいいのはいいことですし」
その答えにティルは普通に返事をした。
「はい、知り合いが増えてよかったです」
ティルは今の彼女にとって「知り合い」という言葉が禁句だということを分からなかった。
ミルカの反応に何かを察し順応性が高いリントはそれを聞いてあちゃ〜と頭を抱えながら吐露する。
「おいおい、マジで言ってんのかよ」
「いえ、あれは本当ね」
苦笑するリントにノアは肯定する。ジョンがティルに危害を加えるなら反撃しようと思ったが、約束のこともあるのでギリギリまで傍観することにした。
そしてティルの言葉により衝撃を受けたミルカの心情を憂いた。ミルカは冷淡な声で話す。
「お二人が仲が良くなったのはいいことですが、エバンズさん、あなた私の仕事場でデュエルをしたいと言ってましたよね」
「えっと……はい」
あの時は感情的だったと言い訳をしようと思ったが、ミルカの凍りつくような表情に一気に下がる。
「もし、また同じことをすれば出禁にしますので」
「〜〜〜〜!!!?」
ギルドに入れなくなることを突きつけられたジョンは衝撃で抜け殻と化し、あまりのショックでパタリと気を失った。
そのことを見ていた一同は驚愕し、駆けつける。
「おい! ジョン 死ぬな!!」
「しっかりしろ!」
『騎士の鉄拳』は気を失ったジョンを連れ帰ることになり、ジョンのことを心配したティル達だがクラリッサからは心配しなくても明日になれば大抵けろっとしているのでと言われて少し安心し、予定通り簡単な依頼を受けに向かった。
ーー時刻は17時前
ミルカは朝から夕方までの勤務なのでファイルの整理などをして後片付けをしていた時、兄のカルアから話しかけられる。
「今日のあれはちょっといいすぎじゃない? ミルカちゃん?」
「……何のこと?」
今はもう時間外のためいつものようにため口で話した。
「あんなこと言われてジョンちゃん、気を失うってよっぽどだと思うわよ」
「…あれは、ギルド連合の中でルール違反をした罰です」
その一言にカルアはあることが引っかかり疑問をぶつける。
「えっと、この前あなたとノアちゃんがやってたのは勝負ことじゃないのかしら」
「あれは……私が冷静でなかっただけで」
困らせたかったわけではないが段々と沈んでいく表情の妹にカルアは何かおかしいことに気づいた。
「もしかして、あなた気づいていないの?」
「え……? 何を」
「どうしてノアちゃんと勝負しようと思ったのかを」
そのことにミルカは説明する。
「私が勝負しようと思ったのは……ティルさんのパートナーがどういう人なのか気になって、それですごくモヤモヤして」
「そう……」
それが何の気持ちなのかカルアは経験しているため分かっていたがあえて言わなかった。
(出会ったときにはもう失恋なんて私よりもひどいじゃないのよ)
考えに没頭していたカルアは思わず手元に力が入りミシミシと音が鳴るのに気づかなかった。
「兄さん、それ以上力を入れたらモップが使えなくなるから」
「あら、やだ」
見るとモップの柄に指の跡がついてしまった。
「そうね、道具は大切にしないとね 今日の夕飯は何にしようかしら」
「私は何でもいいけど、兄さんが作るものなら」
「ふふ、よりをかけて作るわ」
カルアは少しでもミルカの心をほぐそうと腕によりをかけて料理を振るった。
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