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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第十三章 寮から始まるいつもの一日

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第66話 幼女からの伝言

 酷い部屋での散々な一日が過ぎた。杉田と言う得体のしれない刑事以外誰も訪れないこの部屋で誠達はすぐに自分達が捜査の蚊帳の外に置かれていることに気づいた。


 資料のほとんどは確かに見ることが出来た。茜から渡された同一犯と思われる事件資料の他にも県警が独自にまとめた目撃情報、被害者の共通点を調査した資料、発生時刻に近くを巡回していた警察官の氏名まですべて知ることが出来た。


 ただその結果分かったことは、『県警の資料では絶対に犯人にはたどり着かない』と言う確信と『別の資料を東都警察が県警と連携して誠達にその事実を隠して独自に捜査を始めている』と言う断片的な証拠だった。


 各資料を閲覧するには毎回違う暗証番号が自動的に振り出されることに気づいたカウラがかなめに探らせたところ、東都警察本庁の捜査一課と警備部のいくつかの端末から頻繁にデータベースへのアクセスが行われていることがわかった。


 県警は今度こそ司法局実働部隊を笑いものにする準備を整えている。帰りのカウラの『スカイラインGTR』の中でアメリアはきわめて雄弁だった。そのイライラを発散すべくかなめは危うくロッカールームで破壊活動に走るところだったと言う。アメリアはそれをどうやって自分が身を挺して抑え込んだかを切々と語る。誠はその苦笑いを引き摺ったまま寮につくとすぐに風呂に入り、眠り、目覚めてこうして朝の寮の食堂にたどり着いた。


「本当にこうしていていいんですか?」 


 次の日、朝食に七草粥を食べ終えた誠の言葉に同調するようにかなめもうなずいていた。勤務地が変わっても司法局実働部隊の寮の生活は変わらなかった。いつものように朝食を食べ、早出の技術部の隊員達がどたばたと階段を駆け下りるのをのんびり食堂で聞きながらお茶を飲んだ。


「警察も多少は経験を積んでるんだからね。しばらくは県警の面々の捜査を見守りましょう。多少はうまいこと調べてくれないと私達だって体は一つなんだから。それで最終的には私達がおいしいところをいただくと……所詮連中は法術に関しては素人よ。こちらには一日の長があるし、いざとなったらかえでちゃんや茜ちゃんみたいな一流の法術師を動員することもできる。まあ、その日が来るまで気長に待ちましょうよ」


 今日もまたアメリアは雄弁だった。


「まあ……そううまくいけばいいですけど。捕らぬ狸の皮算用と言う言葉もありますから」 


 余裕のアメリアを見ながら誠が苦し紛れにそう答える。


「なに?まるで私達の出向が無駄だったって一日で決め付けているみたいじゃない。でも実は茜お嬢様からの資料じゃ分からないデータも手に入ったわよ。かなり捜査自体は進んでるのよ。そんなせっかちなことばかり考えてるから誠ちゃんは何時まで経っても童貞なのよ」 


 アメリアはそう言うとおもむろに目の前のどんぶりを横にどけて腕の携帯端末の映像を拡大投影した。


「ずいぶんと細かい資料だな……なるほど。能力を乗っ取るのが得意な法術の種類か……こういう資料を作らせると警察は見事なものだな」 


 カウラは興味深げに画面を覗き込んだ。


「茜もまだまだだな。関与の疑いのある事例を検索にかければそれなりに資料としてまとまるじゃねえか。まああそこは資料の整理とかはラーナ一人でやってるからな。専属の資料整理の事務員でも雇う予算はねえのかね、法術特捜には」 


 カウラとかなめはアメリアの作った東都警察の違法法術能力発動事件に関わるデータを眺めて感心した。


「パイロキネシスが半数。空間干渉や空間制御が続いて……当たり前だけど体再生機能発動は無し。でもこれは事前に想定されていた範囲ね……もう少し詳しいデータはたぶん東都警察が独占してるんでしょうね。そちらを使って今度こそうちの鼻を明かそうという魂胆が見え見え。嫌になるわ」 


 アメリアは淡々とデータを読み上げていった。


「やっぱり他人の褌で法術事件を起こしてる犯人もきっと放火魔みたいな奴なんだろうな。火事はなんとなくすきっとするからな!パイロキネシストを利用したがる気持ちも分からねえでもない」


 不謹慎な発言でかなめは一同の空気を一気に下げた。 


「それはかなめちゃんの好きな法術の種類でしょ。もしかしてあなたが犯人なんじゃないの?」 


 アメリアは面白半分にかなめをそう弄ってみた。


「ちげえよ!なんでアタシがそんなちんけな犯罪をすると思うんだ?」


 かなめはムキになってそう反論した。


「そうよね、かなめちゃんならもっとすごい事件を……要人暗殺とか無差別爆弾テロとかそう言ったのがお好みだものね。能力としては干渉空間展開とか空間転移とか時間操作とかがお気に入りって感じ」


 皮肉を込めたアメリアの言葉にかなめがいつものようにキレた。


「もう一回言ってみろ……二度と飯が食えねえように顎を砕いてやる」 


 かなめが悪意に満ちた目付きでアメリアをにらみつける。誠が回りを見れば二人の人物が誠達の行動を監視していることに気がついた。


 一人はカウラのファンクラブ『ヒンヌー教』の教祖を名乗る菰田邦弘主計曹長。回りにアメリアから『キモイ』と呼ばれている隊員達を引き連れながら真剣に画面を見るカウラに萌えていた。そしてもう一人欲求不満を抱えている人物がいた。



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