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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四十一章 すべては遅かったということ

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第170話 後手に回った手配

 水島のアパートまであと少しというところだった。信号待ちのためにカウラは車を止めた。


「おい、西園寺……何かあったのか?」 


 カウラは後ろの席のかなめに声をかけた。右足を車の後部座席に突っ込んだままかなめは右手を耳に当ててじっと動かないでいた。それは彼女の脳の中に埋め込まれた通信端末にアクセスしている時の彼女らしい態度だった。


「西園寺さん……」 


 心配して声を掛けた誠の顔面にかなめの右ストレートが炸裂した。そのまま誠の体はアメリアの頭のある助手席の背もたれに激突した。そしてすぐに苦々しげな笑みがかなめの顔に浮かんだ。


「どこかの馬鹿野郎が水島のアパートにカチコミをかけやがった。騒ぎを聞きつけて駆けつけた巡回の警官二名が重傷だ。どこかからラーナの情報が水漏れしてたみてえだ……漏れるとしたら県警か?県警内部にも外部と繋がってる犬が居るってことなんだな」


 かなめの言葉に誠は『自分は戦闘の役に立つ法術は持ってないっすから』と茜と『特殊な部隊』との連絡先を買って出て用具入れに残ったラーナの事を思い出していた。


「後手を踏んだか……で?そのあとは?」 


 いつもなら車が傷つくと文句を言うカウラだが冷静に後部座席のかなめに振り向いて尋ねる。隣ではアメリアがすでに端末を取り出して検索を掛けていた。


「出てきたのはダンビラ片手の大男だそうだ。防弾ベスト越しに二太刀浴びせた後は忽然と銀色の円盤の中に消えたそうだ……そりゃあ干渉空間だな。やられたよ」


 かなめはそう言うと制服のポケットに手を伸ばしてタバコを取り出したがさすがにそれを許すほどカウラは寛容ではなかった。睨み付けられるといつもの卑屈な笑みを浮かべてかなめはタバコを仕舞った。 


「警察も非常線を張ってるみたいだけど……空間跳躍をする相手に何をやっているのやら……。それにしても先を越されたわけね……どうするの?」 


 助手席で携帯端末の検索結果から視線を離したアメリアの目がカウラに向かった。誠はただ黙って指揮官の表情のカウラを眺めていた。


「西園寺。他に死者や怪我人は出ているのか?」


 カウラはより詳細な情報を得ようとかなめに尋ねた。 


「怪我したのは警官だけ。斬り付けられた時に悲鳴を上げてそれに驚いて飛び出した近くの住人がいるそうだが……顔とかを見る余裕も無かったらしい。単独犯かどうかも定かでは無いみたいだな」 


 現段階では分かるのはそれがすべて。かなめはそんな顔でそう言った。


「カウラちゃん。こうなったらいっそのことのんびりと怪我をしたおまわりさんの回復まで待ちましょうか?」 


 アメリアの笑み。明らかにカウラを挑発しているような雰囲気のその言葉がカウラに迅速な行動を強制していることだけは確かだった。誠はそんな彼女を一瞥した後あごに右手の親指を当てて考え込んでいるカウラに視線を移した。



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