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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四十章 『廃帝』の動き

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第169話 巨大組織の助け

『おじさん……ピンチなの』 


 頭の中でクリタ少年の声が響いた。


「なんでだ!話が違うぞ!いきなり私服の男が刀を持って現れた!こいつ等本当に警察官なのか?」


 思わず水島は口に出してそう叫んでいた。 


「話が違う?なにも俺は話してないですけど……」 


 革ジャンの男の言葉に水島は我に返った。


「北川。たぶんこいつはどっかの勢力に買われたんだろ。そいつからの思念通話だ。なら仕事を急がないといけないな」 


 落ち着いて分析してみせる刀を手にした桐野の死んだような表情に水島は死を直感した。ゆっくりと刀が振り上げられる。


「飼い主が決まるまで静かにしていれば良かったのにねえ……それともたった今落札されたところかな?だとしたら運が悪かったね。しかも今日の旦那は人が斬りたくて仕方がないみたいだ。いつもは奇麗な女を斬ってから犯すのがお好みだが、今日は男でも良いらしいや」 


 北川と呼ばれた革ジャンの男の笑みがうかんだ。自分が斬り殺されるのを覚悟しながら恐怖に震えるしかない自分に呆れながら水島は考えていた。


『助けてくれ!俺は契約を結んだんだ!約束は守れよ!』 


 次の瞬間、振り下ろされた桐野の刀は何も無い畳に突き立てられた。桐野はその独特の感覚から一瞬だけ干渉空間が目の前に展開されたことを悟った。すぐに備前忠正の刃に目をやる。


「刃こぼれは無いか……」


 水島を斬ることが出来なかったことへの不満から桐野の表情は曇った。


「何言ってるんですか?旦那。逃げられちゃったじゃないですか!それにいきなり斬るなってアンタには何度言えば分かるんですか!」 


 北川はそう言うと水島が消えた畳を丁寧にさすった。


「いい飼い主が見つかったようだな。他にも空間制御系の能力者、しかも有力な奴を飼っている。なかなか面白い展開だ」 


 暗がりの中に光る刃をじっくりと眺めた後、桐野は静かに鞘に収めた。その不満そうな表情を見ると北川はいかにも滑稽なものを見たというように爆笑を始めた。


「何がおかしい」 


 戸惑ったような表情で桐野は北川に尋ねた。


「旦那……せっかくの獲物に逃げられて無様に刀を納めるなんて……獲物に逃げられた人斬りほど哀れなものは無いですね」


 そう言って北川はなんとか笑いを堪えようと腹を抑えた。 


「そういうオマエは手ぶらで帰るつもりか?」 


 不愉快そうにつぶやく桐野に笑みを浮かべると北川は長身の桐野の耳元に背伸びをしてつぶやいた。


「なあに、相手の法術師はやり手みたいですが……詰めが甘いですね。飛んだ先も俺のテリトリーの中ですよ。場所は割れてます。行きましょう」 


 そう言うとそのまま部屋を出て行く北川。彼の背中を見ながら桐野は剣を手に古いアパートの壁をさすりながら用がなくなった部屋を後にした。



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