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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第二十九章 被疑者の心情

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第128話 監視される者の気持ち

 監視されている。水島はこの二日三日でそう思うことが多くなった。


 豊川市の中央図書館。ようやく住民登録も済ませて利用のパスを手に入れた彼だが明らかに視線のようなものを感じていた。


 視線だけではない。明らかに自分の力に何かが反応しているのが感じられた。


 その感覚は突然彼を襲った。頭の奥をくすぐるような微かでいてそれでいて確実な感触。最初は歩いていて驚いて立ち止まるほどだった。通り過ぎたパトロールカー。運転席にも助手席の警察官にも力は感じない。それでも明らかに自分の中の力、脳はそのパトロールカーに何かを感じていた。


 それからは何度となく同じ感覚に襲われることがあった。昨日は夜中に三度目が覚めた。脳に残る確かな接触の感覚が残った。


『誰も知らないはず……俺はただの一般市民。そうとしか見えないはずだ』 


 結局は昨日の不眠が祟って睡魔に襲われ続けて勉強どころではない。それでも日常に変化を付けること自体が何かに負けたような気がした。水島は休憩室の周りの無神経な高校生達の場違いな声に苦虫を噛み潰しながらそのまま奥の自習室へと向かった。社会人失格の烙印を押された自分が彼等を注意することなどできない。


 そう思いつつ周りに法術師を探している自分がいた。いらだちはいつものように紛らわせばいい。だがそうだろうか?水島は自問する自分と向き合った。


『今、あまり力は使うべきじゃないな』


 先日の能力の暴走と死を知って少しばかり臆病になっている自分を思い出して苦笑いが自然と湧き出てきた。


 ここ数日のパトロールカーの巡回ルートがおかしい事は水島も気づいていた。明らかに何かを掴んでいる。水島はそう確信するとその確信は恐怖に変わった。


「警察は何を掴んだのか……まさか俺の能力のことを?あのアメリカ軍の少年も俺の能力に気付いたのは偶然じゃないか。だったらそんなことは有り得ない」


 ただ水島はそんな独り言を言うことだけで自分を慰めることにしていた。



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