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一度死んだ男は転生し、名門一族を追放された落ちこぼれの少年と共存する 〜俺はこいつが目覚める時まで守り抜くと決意する〜  作者: 白黒キリン
第2章 異世界の男は鎮圧する

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第17話

 数日が過ぎかなり動きの精度も上がったので、いつでも戦える状態になった。


 俺自身の準備はできたから、残る問題はあいつらが俺……というか秋臣(あきおみ)にいつ勝負を挑んでくるかだな。


 あいつらが秋臣(あきおみ)に何かをしようとしているというのは佐木疋(さきひき)の情報だけで確証はないが、鶴見(つるみ)家の下っ端に一度ケンカを売られた事を考えたらまだまだケンカを売られてもおかしくはない。


 まあ、いつを決めるのは襲う側だから、あいつらに襲われる側の俺は気長に待つとしよう。


 とりあえずの結論を出し落ち着いた俺は、昼食で相席になっている二人へ気になった事を聞いてみた。


「あの、システィーゾと(りん)先輩は何でそんなに殺気立ってるんですか?」

「あ? お前と戦うのも倒すのも俺が先約なのに、横槍を入れてくる身の程知らずを消し飛ばしたいからだ」

「私は余計な仕事が増える前に、さっさと倒したいからよ」

「……そうですか」


 システィーゾは置いておくとして、(りん) 麗華(れいか)は俺の監視という役目があるから俺が騒動の中心になった高確率で巻き込まれるのは気の毒だな。


 これはますます一人で動いた方が良いかもしれない。


鶴見(つるみ)君……」

「何でしょう」

「一応言っておくけれど、一人で動こうとしないでね?」

「……何の事でしょう?」

「お願いだから、一人で、動か、ない、でね?」

「…………努力します」

鶴見(つるみ)、そこははっきりと断言するところだろ」

「それなら、二人が僕の戦いを邪魔するなら叩きのめしてでも僕は戦います」

「そっちの断言はするのかよ……」


 システィーゾと(りん) 麗華(れいか)は俺の発言を聞いて呆れていたが、正直なところ秋臣(あきおみ)以外にどう思われようと俺には関係ないんだよな。


 俺は食事を終わらせ席を立つと、システィーゾが呼び止めてきた。


「おい、鶴見(つるみ)、これからどうするつもりだ? 出かけるのか?」

「ええ、そのつもりです。あいつらが襲ってきた時の事を考えると、僕は人の多いところにいない方が良いでしょうからね」

「「…………」」


 システィーゾと(りん) 麗華(れいか)は食べる速さを上げる。


 急ぐなら残すのも一つの方法だが、それをせずにきっちり食べ終えようとするのは良いところだな。


 まあ、急いでも何か変わるわけでもないし、ゆっくり歩くか。


◆◆◆◆◆


 中央食堂を出た俺達は、そのままバスに乗るため正門へ向かう。


鶴見(つるみ)、襲われるあてはあるのか?」

「どうなんでしょうね……。佐木疋(さきひき)さんの話が本当であれば、僕が人気のないような襲いやすい場所に行けばあの人達が現れそうな気がします」

「チッ……情報が足りねえ。おい、(りん) 麗華(れいか)、何か知っているなら情報をよこせ」

「それが人にものを頼む態度なのか小一時間身体と心に聞きたいところだけど、今回は教えてあげる。鶴見(つるみ)家関連の情報は何もないわ」

「という事は何も起きないのか?」

「いえ、逆ね。鶴見(つるみ)家関係者は必ず何かを起こすと断言できるわね」

「うん? 何でそうなる?」

「普段はしていない情報封鎖をして、自分達の情報がほんの少しも漏れないようにいるのよ? 何か計画していると宣言しているようなものね」

「……なるほどな。それなら何も問題ない」


 (りん) 麗華(れいか)の話を聞いたシスティーゾは納得したのか肉食獣のように歯をむき出しにして笑うと、身体からは火の粉が舞い散っていく。


 すぐ近くで浴びるはめになった(りん) 麗華(れいか)は迷惑そうに顔をしかめ、身体からは氷雪を放ちシスティーゾの火の粉を相殺する。


 …………(りん) 麗華(れいか)は迷惑そうにしていたが、俺にとっては火の粉と氷雪のどちらも迷惑だ。


 その証拠にすれ違う生徒や教員達が自分の能力で防御したり急いで離れていってる。


 あと俺を何とかしろという感じで見てくるのは意味がわからない。


 まあ、一応、言っておくか。


「二人とも、身体から火の粉と氷雪を出すのをやめてください」

「私はシスティーゾの火の粉を相殺してるだけよ。システィーゾが先なんだから私に言わないでちょうだい」

「…………これで良いだろ」


 さすがに自分の方が不利と理解したのか、イラつきながらも火の粉が舞うのを鎮めた。


「システィーゾ、最近身体から火の粉が出るのをよく見ますが、もしかしてですけど能力が強くなって制御に苦戦してます?」

「そうなの……?」

「すぐに慣れてみせる」


 どうやら俺の指摘は当たっていたようだ。


 精霊級(エレメンタル)のシスティーゾが、まだまだ成長途中なのはすごいな。


 これこそ底知れないという奴かと感心していたら、システィーゾは俺を鋭い目で見てくる。


「良いか、鶴見(つるみ)。俺は必ずお前に追いつき超えてやる。それまで誰にも負けるんじゃねえぞ」

「ええ、あなたより弱い相手には負けませんから安心してください」

「はははははははははっ‼︎ 鶴見(つるみ)家を追放された無能が大言を言うのは滑稽だなっ‼︎」


 俺達が学園の正門まできた時に突然聞こえた声の方を向くと、俺を、正確に言えば秋臣(あきおみ)を明らかに下に見ている男と、その後ろに控える数十人のもの達がいた。


 …………こいつ、秋臣(あきおみ)の記憶で見たな。


 意外と早く、あいつらと関わるこの時がきたと思いながら歩いていく。


「システィーゾ、(りん)先輩は手を出さないでくださいね」

「チッ……、さっさと済ませろ」

鶴見(つるみ)君がやり過ぎたら止めるから、そのつもりでいて」

「わかりました」

「おいっ‼︎ 囲め‼︎」


 男が叫ぶと男の後ろに控えていた奴らが俺を囲み、全員が能力を発現させた。


 ふむ、長くなるのか短く済むのかわからないが、あいつらとの戦いが始まったな。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。


また「面白かった!」、「続きが気になる、読みたい!」、「今後どうなるのっ……!」と思ったら後書きの下の方にある入力欄からの感想・★★★★★評価・イチオシレビューもお待ちしています。

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