第4話
「えっと、それは……」
「事実です。重要な話はこれで終わりですか?」
「あ、いや、その……」
「先ほども言った通り僕への任務達成時の報酬はいりません。それで何か不都合が出るようなら生徒会や任務から外してください。それでは僕は授業があるので失礼します」
予想外の俺の返答で何を言って良いのかわからなくなっている生徒会連中へ、俺は言っておきたい事を言った後に席を立ち扉へ向かう。
生徒会の誰かに呼び止められたが、俺にとっては優先順位が低いため無視して部屋を出た。
「秋臣、落ち着け……」
奥底で眠っている秋臣の感情の乱れを鎮めようと何度も語りかけるが、秋臣には届いていない。
これは秋臣が落ち着くまで時間がかかると判断した俺は、教室に戻らず秋臣の好きな場所へと行く事にした。
◆◆◆◆◆
通常授業がある教室棟を抜け、化学実験室などが並ぶ専門棟の裏庭へとやって来て片隅にあるベンチに座る。
ここは秋臣が吾郷学園に入ってから一番長く過ごしたところで、めったに人が来ないため秋臣への余計な刺激を避けつつ秋臣を落ち着かせる場所としては最適だ。
俺と秋臣の一つの身体に二つの魂という不自然としか言えない状態は、バランスが崩れた時に何が起きてもおかしくない。
何としても俺よりも秋臣の魂を残すために、俺は目を閉じて奥底で眠る秋臣に集中する。
◆◆◆◆◆
ふと気づくと、俺は秋臣の眠っている空間に立っていた。
「よし、方法が合ってるかわからなかったが、この空間へ来れたが……フンッ‼︎」
秋臣の眠っている空間は前に来た時と様子が違い空間の暗さと粘度が上がっているようで、警戒していると周りから数本の黒い木刀のようなものが振り下ろされてきたから前へ跳んで避ける。
この空間も秋臣の一部のはずだから、さすがに切り捨てるのも叩き落とすのも今はなしだな。
「秋臣」
俺が名前を呼んだら、ある方向に大量の木刀を持った人影が現れた。
「そっちにいるんだな? 今行くから待ってろ」
そう言うと秋臣の拒絶の意思が形になったかのように人影の人数が数倍に増えるが問題はない。
俺が進み出した瞬間、木刀を持った人影が俺に襲いかかってきた。
◆◆◆◆◆
体感で一時間ほど人影が繰り出してくる木刀の全ての斬撃や突きを避けていたが、俺はある考えにたどり着く。
そこで、その結論が合っているのかどうか確かめるため、俺は人影の木刀を避けるのをやめると、人影の木刀は全て俺の身体に触れる寸前で止まった。
「…………やっぱり、そういう事か。おい、秋臣」
再び俺が秋臣に呼びかけると、今度は人影達がビクッと身体を震わせる。
「その程度じゃ俺は倒せないし、俺は秋臣のところに行くのを諦めんぞ。本当に、いやなら全力で止めてみろ‼︎」
俺は木刀を二本つかみ人影ごと振り回して、他の人影達を弾き飛ばす。
ほお、俺に弾き飛ばされた人影達が着地した後に陣形を取り出した。
どうやら秋臣も全力になったみたいだな。
ムシャクシャしてる時は、空っぽになるまで思いっきり動くのに限る。
最後まで付き合ってやるから全力で来い。
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