第2話
窃盗団の引き渡しも終わり俺達は学園に帰ってきて生徒会室に集まっていた。
どうやら生徒会室で反省会のようなものをするらしい。
「鶴見君、初任務の達成おめでとう。桜から聞いたよ。逃げてきた窃盗団の一人を気絶させスムーズに拘束したみたいだね」
「ありがとうございます」
「それで初任務の感想はどうだった?」
「えっと、正直なところ、いろいろ急すぎて実感がないです」
俺が言うと生徒会長の龍造寺を始めとした役員全員が俺から目をそらした。
やはり俺の動向を監視するにしても、呼び出しから現場での役割分担までいろいろ不自然だったとは思っているらしい。
「あー……、それはそうだね。おっと、そうだ。重要な事で説明してないものがあったんだった」
かなり露骨に話の流れを変えてきたが、その重要な事にも興味があるから不自然さには突っ込まないでおこう。
「重要な事ですか。何でしょう?」
「任務の報酬についてだよ」
「報酬……? 学生の僕達にもあるんですか?」
「生徒会に回されてくるのは危険度の低いものだけど、不測の事態が起きる可能性のある現場に出るんだ。当然あるさ。斗々皿」
「はいよ。鶴君、これを見ておくれ」
龍造寺の呼びかけに答えて役員の一人が俺に書類を渡してきた。
確かこいつは生徒会会計の斗々皿 詩縞だったな。
制服は着崩しているし金髪で耳にピアスがいくつもある。
およそ生徒会や会計の役職にふさわしい服装とは思えない。
しかし、龍造寺達がこの斗々皿の外見を許しているという事は、それを差し引いても有能な男なんだろう。
学園上層部からも黙認されているとすれば、もしかしたら生徒会長の龍造寺に匹敵するのかもな。
「うん? 鶴君、どうした? 俺の顔に何かついてる?」
「いえ、すみません」
「あー、わかったぞ。俺の見た目が生徒会らしくないって思ってるんだろ?」
斗々皿はヘラヘラと笑いながら俺の考えを読んでくる。
だが、そんな事よりも俺の頭の中にはっきりと浮かんできた事があり、それを自覚した瞬間、俺は斗々皿の近くから壁際まで飛び退き木刀を出現させ構えた。
「あれあれ? 俺は何もしてないのにどうしたの?」
間違いなく、こいつは毒だ。
斗々皿の目線・声・仕草・その他全ての要素が俺に全力の警戒をさせる。
あと一つ何か不穏なものが増えたら斗々皿を斬ると本気で考えたけれど、俺が木刀の斬撃を斗々皿に放つ事はなかった。
なぜなら……。
「グベッ……」
突然、斗々皿が別の役員に殴り飛ばされ、窓から外へと落ちたからだ。
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