第18話
クレープを食べ終えた俺は、紙の器をゴミ箱に捨て次に何をしようか考える。
……甘さ控えめでも1つ食べきると、やはり喉が渇いてきた。
そこで次は飲み物でも買ってみるという目的を決め俺は学生通りの散策を再開する。
◆◆◆◆◆
10分ほど歩き、お茶の専門店を見つけて入りアイスティーを買った。
そしてアイスティーをストローで飲むと、口の中にさっぱりとした味が広がり鼻に茶葉の香りが抜ける。
こういう自分の口に合う美味いものを飲み食いしながら歩くのは気分が良い。
この食べ歩きを、今後の趣味にするのも良いな。
俺が前世で1度も無かった平穏な日常の幸福感や充実感を感じれば、俺の気持ちが秋臣へ通じて少しは精神的な傷の癒しになるかもしれない。
そんな良い感じの時間が少しでも続けば良いと思いながら歩いていたが、次の瞬間破られる。
ガシャーン!!
何かの壊れる音の聞こえてきた方を見たら、俺がさっきクレープを買った屋台を壊そうとしている男3人と、それを必死に止めようとしている女性の店員がいた。
「や、やめてください!!」
「うるせえ!! この店がここにある方が悪いんだよ!!」
「警察を呼びますよ!!」
「警察? 呼んでみろ。まあ、俺達精霊級を警察如きがどうにかできると思えねえがな!?」
「精霊級……!?」
事態を見ていた周りの奴は、男3人が精霊級だと知ると後退り始める。
女性店員も青い顔になったが、気力を振り絞って屋台を壊されないよう男3人の前に立っていた。
「ぎゃはははっ!! 震えながら頑張って健気だなあ、おい。だがな、てめえ如きが精霊級の俺達に逆らってんじゃねえ!!」
……典型的な選民思想の奴らか。
まさか、世界が変わっても、この目で見る事になるとは思わなかったな。
俺が呆れていると、男の1人が女性店員へ異能力を使おうとしたので、俺は持っているアイスティーのカップを投げつけた。
まだアイスティーを飲み切ってなくてもったいないしお茶の専門店の人には悪いが、非常事態と言う事で勘弁してもらおう。
カッ……、バシャ。
俺の投げたアイスティーのカップは男の頭に当たり蓋が外れ、男にアイスティーがかかる。
ふー、物を投げて何かに当てるのは得意じゃなかったが、今回は当たって良かった。
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