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一度死んだ男は転生し、名門一族を追放された落ちこぼれの少年と共存する 〜俺はこいつが目覚める時まで守り抜くと決意する〜  作者: 白黒キリン
第5章 異世界の男は斬る

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第17話

 俺は木刀を叩き込んだ五人のいた位置と離れた場所に浮かぶ上がってきた五人を交互に見た後、木刀を打ち込んだ時の感触を思い出す。


 …………瞬間的な接触ではあったが特におかしなものではなかったとなれば、俺がここにあの五人がいると誤認しあの五人を木刀で叩きのめしたと錯覚していたとしか思えない。


 とりあえずの結論を出した俺は異能力図鑑を見て確認を取る。


「隠蔽の異能力とは別に、他人へ幻覚を見せるような異能力も使ったみたいですね」

「うむ、それも正解だ。君の移動とこちらの戦力を倒す速さから考えると、どうやら君には隠蔽を破る術を持っているらしいとわかったのでね。ひと工夫加えさせてもらった。それでは今度はこちらから質問をさせてもらおう」

「付き合う義理はありませんが、まあ良いですよ。何ですか?」

「我輩が別々の異能力を同時に発動させた事に驚きはないのかな?」

「別にどうでも良い事で驚く必要があります?」

「未知なものをどうでも良いと切り捨てるとは……。何と嘆かわしい……」


 異能力図鑑は空を見上げながらぶ厚い本……もう図鑑で良いか。


 図鑑を持っていない方の手で顔を覆ったのを見て何とも激しい感情を持っているんだなと思いつつ他の四人へ目を向けると、その顔はまたかというような表情になっていた。


 …………こいつらの関係性がいまいちよくわからないな。


「それほどの判断力や分析力を持ちながら未知に興味を持たず腐らせる事が、どれほど罪深い事かをなぜ理解しない⁉︎」

「何か誤解しているようですが、ちゃんと僕にも興味を持っている事はあります。ただあなた達にそこまで興味がないだけですよ。なぜかと言えば……」

「言えば?」

「そこの紋綴り(もんつづり)にも言いましたが斬り捨てればそれで終わりなの、で」


 言いながら加速し言い終わると同時に五人へ木刀を叩き込んだが今回も五人の姿は溶けるように消えてしまい、どこかから異能力図鑑の声が聞こえてくる。


「おやおや、やはりその速さは警戒に値する。そしてループを斬り裂いた君の斬撃は絶対に受けるわけにはいかないから身を隠していて正解だったよ」


 まあ、こういう理屈っぽい奴は自分の有利性を捨てるわけがないからわかっていた事。


 今の状況で考えなければならないのは、こいつらがこの後どうするか。


 パッと思いつくのは、一つ実体を隠したまま学園へ近づく、二つ逆に体制を整えるため実体を隠したまま撤退する、三つこの場に残って俺を倒すなり拘束を狙うの三パターンだな。


 この中でこいつらが選ぶとすれば、おそらく学園へ近づくか俺を倒そうとするかのどちらかだろう。


 なぜ三つ目の撤退の可能性を排除したかと言えば、こいつらが俺にごっそり味方を削られた時という絶対的な撤退のタイミングで逃げていないからだ。


 もとから俺が倒した奴らを戦力として数えてなかったというのも考えられなくもないものの、これ以上考え出すとキリがないから割り切る。


 さて次に俺が判断しなければならないのは、こいつらは学園へ近づき目的達成へ走るのと、その目的達成をするために大きな障害となっている俺の排除、どっちを選ぶのかだ。


 俺の予想では、あの異能力図鑑の性格から九割以上の確率で俺を排除しようとしてくると思っているが、一応確認するか。


「それで、あなた達はこれからどうするつもりなんです? 身を隠したまま撤退するんですか?」

「おやおや挑発のつもりかな?」

「いえ、単なる確認です」

「ならばわかりやすい答えを示そう‼︎」


 俺の前方に異能力図鑑が現れ開いた図鑑に手をかざすと図鑑が光り、異能力図鑑達が俺を囲むように出現した。


 ただし、それぞれが五人ずつ増えているため、俺を囲んでいる人数は二十五人になっている。


「へえ、人数を増やして見せられるんですね」

「「「「「木を隠すなら森の中と同じだ‼︎ 隠蔽の異能力で気配すらも隠された状態で本体を見つけられる可能性は皆無だよ‼︎」」」」」

「…………それで、この状況のどこがわかりやすい答えなんです?」

「「「「「何?」」」」」

「あなたの言った通り僕に本体を見つけられる可能性が無いなら、あなたは僕をここに釘付けにして学園へ向かう事も撤退する事もあり得ますよね? 隠れて誤魔化すがあなたの答えで良いんですか?」

「「「「「我輩への侮辱は許さんぞ‼︎」」」」」

「僕は見たままの状況を言っただけなんですが……。あなたの言うわかりやすい答えをというのは何なんです?」

「「「「「それは、これだ‼︎」」」」」


 五人に増えた異能力図鑑が図鑑を持っていない方の手を俺へ向けると俺の中に嫌な予感が生まれたため、すばやく嫌な予感がしない方へ動いた。


 そうした次の瞬間五人の異能力図鑑の掌が光り、掌と同じ太さの光線が放たれ五人に増えた異能力図鑑それぞれと対面している建物を貫通する。


 あれは頭か身体に直撃したら即死で、手足なら使い物にならなくなるな。


「その学園長の影や夜と対になるような光の異能力、僕に虚像を見せているのもそれみたいですが誰から奪ったんです?」

「「「「「奪うだと? バカを言うな‼︎ この光の異能力は我輩の図鑑に始めから記録されていたものだ‼︎」」」」」

「…………本当ですか?」


 秋臣(あきおみ)の記憶や吾郷(ごきょう)学園の授業で異能力について学んでいたが、異能力に異能力が組み込まれているという事例を聞いた事がないため思わず紋綴り(もんつづり)を見て聞いてしまった。


「「「「「少なくとも俺が、こいつと行動するようになった時点では使えていた」」」」」

「なるほど異能力を奪えて使えるのが特殊系なら、生まれつき複数の異能力持ちも特殊系。奇跡的な存在と言って良いですね」

「「「「「そう‼︎ 神というものがいるなら我輩は間違いなく神に選ばれたもの‼︎ 我輩の使命を果たさなければならないのだ‼︎」」」」」

「使命ですか……。今更ですけど、あなたは何のためにいろいろ騒ぎを起こしているんです?」

「「「「「そんなものは決まっている価値のある全ての異能力を我輩の図鑑に記録させるためだ‼︎」」」」」

「…………それをして何か意味があるのですか?」

「「「「「やはりお前もくだらぬもの達と同類か。何が起こるかわからないからこそやる価値があると知れ‼︎」」」」」


 こだわりが強すぎて理解できないなと思ったが、俺も秋臣(あきおみ)を傷つけられたら怒り狂ってるし方向性の違いだなって納得しておく。


 あとここで話してても特に事態が好転するわけでもないから、そろそろ攻撃を再開するか。


 まだ何かを叫ぼうとしている異能力図鑑を無視して、俺は最速を出せるように脱力する。


 そして異能力図鑑達が俺に何かをしようとした瞬間、音と色のない世界へ入り二十五人全員に五回ずつ木刀を叩き込み元の位置に戻った。


 結果は、もちろん異能力図鑑達の姿が消えるだけで数秒後には新たな二十五人が現れる。


「まあ、やっぱり僕にあなた達の本体が見えるようにはしてませんよね。隠れるのがうまいのは良い事だと思います」

「「「「「ふ、ふん、いくら攻撃が速かろうとも当てられなければ意味はない‼︎」」」」」

「スー……、ハー……、スー……、ハー……」

「「「「「はははははははっ‼︎ 何のつもりだ⁉︎ まさか、感覚を研ぎ澄ませれば我輩の光を見破れるとでも思っているのか⁉︎ 浅はかを通り越して哀れだな‼︎」」」」」

「「「「「異能力図鑑、そいつを甘くみ、うぐっ」」」」」


 紋綴り(もんつづり)が異能力図鑑へ警告している途中で、俺が辺り一帯を全て斬り刻むという意志を込めて全力の殺気を放つと俺の見ている景色に斬撃痕が走りバラバラと崩れていく。


 たぶんこの場所に来た時から異能力図鑑の偽の景色を見せる光の異能力にはまってたんだなと感心しつつ見回すと、俺からそこそこ離れた場所でうずくまっている五人の姿を発見した。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。


また「面白かった!」、「続きが気になる、読みたい!」、「今後どうなるのっ……!」と思ったら後書きの下の方にある入力欄からのいいね・感想・★での評価・イチオシレビューもお待ちしています。

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