表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一度死んだ男は転生し、名門一族を追放された落ちこぼれの少年と共存する 〜俺はこいつが目覚める時まで守り抜くと決意する〜  作者: 白黒キリン
第5章 異世界の男は斬る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/129

第15話

 吾郷(ごきょう)学園周辺の気配の感知に一時間ほど集中していたが、結局新たな襲撃は起きなかった。


 敵が撤退したためなのか、それとも隠れているためなのかわからないから、これはさらに集中力を高めて気配を探っておくべきだなと判断して実行しようとしたが、その前にシスティーゾと(りん) 麗華(れいか)が俺を呼びにきたため時間切れとなる。


 とりあえず何が起きても、すぐ動けるよう緊張感を保ちながら学園長室へ向かった。


◆◆◆◆◆


 俺を呼びにきたという事は、尋問によってあの老人から聞き出した情報が聞けるんだと思い学園長室の扉を開けて入ろうとしたが、俺は反射的に扉を閉じる。


 なぜなら学園長室の扉を開けた瞬間、香仙(かせん)が床に倒れている老人の顔を踏みつけていて、その踏まれているはずの老人の顔がニチャアと笑っていたからだ。


 俺の行動を見たシスティーゾと(りん) 麗華(れいか)から、そうなるのはしょうがないみたいな視線を感じるため俺の見間違いという線はない。


 しかし、どう考えても秋臣(あきおみ)への悪影響にしかならない光景だったため、その記憶を意識から排除した。


 一息つき冷静なった俺は改めて学園長室の扉を開けて中へ入る。


 そしてできるだけ忌まわしい記憶のもととなる対象を見ないようにしつつ黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)に近づいていった。


「知りたい情報はわかったのか?」

「え、ええ、そうね」

「それで異能力に干渉できる奴は何人いるんだ?」

「私達の知り得た情報に正しいという保証はないっていう前提で聞いてちょうだい。吾郷(ごきょう)学園を襲撃してきたもの達の中で、異能力へ干渉できるものは三人よ。一人目は鶴見(つるみ)君が戦った異能力を強化できる力招く筆の紋綴り。二人目は私達の予想していた異能力を奪い取る通称異能力図鑑。そして最後の三人目が異能力を弱体化させているだろう才歪(さいびつ)

「異能力図鑑に才歪(さいびつ)か……。そいつらの異能力の詳細は?」

「そこは、お互いに秘密にしているみたい」

「…………それならこの学園を襲撃した目的は何だったんだ?」

「学園内にいる私を始めとした強力な異能力を手に入れる事らしいわ」

「なるほどな」


 詳しい相手の異能力はわからず、それでいて目的は黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)達の異能力か。


 俺は少し考えて、これしかないだろうという結論を出す。


黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)

「何かしら?」

「学外での敵の迎撃は俺だけでする。お前らは専守防衛に専念してくれ」


 はっきりと俺が結論を伝えると学園長室内にいたほとんどの奴が殺気立ったが、これはお前らは足手まといだと言ったに等しいからしょうがない。


「…………理由を聞かせてくれる?」

「理由は三つあって、まず一つ目は敵の目的と思われる強力な異能力を持っているお前らと、敵の接近を避けるためだ。わざわざ敵の目的達成の成功率を上げる必要はないだろう?」

「そうね。二つ目の理由は?」

「一つ目と絡んでくるが、異能力図鑑と才歪(さいびつ)の異能力への干渉方法がわからない点だな。不確定な状態で戦ったあげく異能力に干渉されて、こちらの戦力が削られる危険性は避けたい」

「理解したわ。それじゃあ最後の三つ目の理由を聞かせて」

「ああ、三つ目は一番単純で、お前らが異能力を奪われたり弱体化されたら戦えないからだ」


 三つ目の理由を言った瞬間、学園長室内の空気がビシッと凍りつく。


「攻めに徹してたらかなりの数の不利を跳ね返す自信はあるが、そこに戦えなくなった奴らの護衛や退避まで加わると、どうしても攻めの効率は落ちる」

鶴見(つるみ)君の意見は全て正当性があるわ」

「それなら俺一人で戦わせてもらうぞ。俺が敵の数をできるだけ減らすまでは待機しててくれ」

「…………わかったわ」

「学園長‼︎」

風夏(ふうか)、ここが分水嶺なのは理解できているはず。これ以上、後手の回るわけにはいかないのよ」

「く……、貴様、無様な戦いをしたら殺すぞ」

「誰に言ってやがる。俺は外で警戒してるから学内の迎撃体制を任せるぞ」


 入羽(いりはね) 風夏(ふうか)の他にも納得できてない奴らはいるが現状だと言い合う時間がもったいないため、俺は無視をして絶対に香仙(かせん)と老人を視界に入れないよう細心の注意を払いつつ学園長室へを出て屋上へ戻った。


◆◆◆◆◆


 屋上での気配感知を再開してから三十分ほど経過したわけだが、おそらく今のところは異常なしだ。


 いつもなら相当集中して探っていれば言い切れるのに、おそらくとかたぶんとしか言えないのは歯がゆいな。


 攻められる側の俺達が敵の出方を待たねばならない不利な立場のはわかりきっていても、前の世界の俺なら不眠不休でもある程度は問題なかったが、今の俺は秋臣(あきおみ)の身体を借りている状態なので無茶な身体の酷使は避けるべき。


 さすがに水分と軽食ぐらいは持ってくるべきだったと思い、トイレ休憩がてら調達しようと腰を上げかけたら屋上の扉を開ける音がした。


 この気配は…………龍造寺(りゅうぞうじ)


 意外な人物の登場に驚きながら視線を向けると、そこには売店の袋を持った龍造寺(りゅうぞうじ)が歩いてきていた。


「生徒会長のお前が一人とは珍しいな」

鶴見(つるみ)君と話したい事があったから差し入れついでにね。はい、これ僕の好みで悪いけど飲み物とパンを買ってきたよ」


 龍造寺(りゅうぞうじ)から渡された売店の袋の中を見ると、お茶と水のペットボトルが各一本に菓子パンと惣菜パンが二つずつ入っていた。


「悪い。ちょうど調達しようと思っていたところだ。いくら払えば良い?」

「僕のおごりさ。前衛を張る人への支援物資とでも思ってくれ」

「そういう事なら、ありがたくもらっておく」


 俺は袋からお茶と惣菜パンを取り出しそれぞれ口をつけ飲み込んだ後、龍造寺(りゅうぞうじ)へ話しかける。


「食べながらで悪いが俺に話とは?」

「ああ、うん、そうだね……」

「なんだ。そんなに話しづらい事なのか?」

「そういうわけじゃないんだけど……、いや、でも、いつ襲撃されるかわからない状況でグズグズ引き伸ばしてる場合じゃないか」

「それで?」

「コホン、鶴見(つるみ)君、単刀直入に聞かせてもらうよ。君は敵方の異能力に干渉できるものという発言を聞いた時、僕を疑わなかったのかな?」

「…………質問に質問を返して悪いが、なぜ、そんな事を気にする?」

鶴見(つるみ)君は秋臣(あきおみ)君を守る事を最重要視しているだろ。そんな鶴見(つるみ)君が敵方の言う条件に当てはまる怪しい僕を排除しない理由を聞いておきたいんだ」


 龍造寺(りゅうぞうじ)の顔は真剣そのもので、本当に聞きたい事みたいだな。


「さすがに学内の事なら黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)が見逃さないだろうと言えばわかりやすいか?」

「なるほど学園長が問題ないと判断しているから、僕を敵方じゃないって思ってるのか。ちなみ他の理由もあるのかな?」

「他にか? 強いて言うなら俺の感知範囲内で龍造寺(りゅうぞうじ)がごく普通の生活をしているからだな」

「逆に言えば、鶴見(つるみ)君の感知範囲で怪しい行動をとったら排除されるんだね」

「それは俺にも当てはまる事だ」

「あ、確かにこの学園を大事にしている学園長ならやるね」

「だろ? だから、お互い守りたいものがあって味方だと思って奴から排除されたくないなら、まじめに、真剣に、本気でやるべき事をやるだけだ」

「あはは、僕の疑問は気にするだけ損する奴だったのか」

「そういうこ……」

鶴見(つるみ)君?」


 俺は龍造寺(りゅうぞうじ)と話しながらも続けていた感知に微かな違和感を感じたため、俺の影を叩いた。


黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)、学内にいる全員へ伝えろ。たぶん来るぞ」

『…………私の影には何も反応はないけれど、鶴見(つるみ)君が言うなら来るみたいね。すぐに迎撃体制に移るわ。(たける)も戻ってきて』

「わかりました。鶴見(つるみ)君、武運を祈っているよ」

「おう」


 俺は龍造寺(りゅうぞうじ)を見送った後、食べかけのパンを口に詰め込みお茶で流し込んでから立ち上がる。


 そして木刀を出現させながら屋上から飛び降りた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。


また「面白かった!」、「続きが気になる、読みたい!」、「今後どうなるのっ……!」と思ったら後書きの下の方にある入力欄からのいいね・感想・★での評価・イチオシレビューもお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ