波乱の旅行
もうそろそろ事件を起こしたいこの頃です。
更新が遅くてすみません、近頃忙しくてなかなかPCを開けないので。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
ゴールデンな・・・ウィークである筈でした。
結局は、断る事も出来ずに現在私は、自宅のマンション地下駐車場にいる。
・・・逃げられなかった。
せめて仮病でもと思っていたが、それができなかったのだ。
だから、嫌なのだ。同じマンションに彼氏がいるって、逃げ場はないし面倒だし、恥ずかしいし。
荷物はそれなりに多い。温泉なんて久しぶりで両親と以外には行った事がないから、なにが必要なのかわからずにとにかく思いつく限りに詰め込んだ。
「おそい」
「ごめん・・」
最後の最後の抵抗をしようとした私を送り出す母は、複雑そうにしていたし、今朝は父からなにかあったらすぐに帰って来いとまで言われているのだ。
いたたまれないのだ。
「ほら、乗れよ」
「はーい」
待ち合わせの時間から10分過ぎても待っていた相手に逆らえる程私は図太くないのだ。荷物を持って指差された助手席に座る。あの悪夢のクリスマス以来の事だがまぁ、問題ないだろう。
今日の服装は、ちょっとだけ背伸びした感じの紺色のワンピだ。小花柄の今年流行のものだ。
「急がないと渋滞に捕まるぞ」
「了解」
さて、波乱の旅行の始まりです。
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旅行先は、某有名温泉地で車で3時間程かかったがそれなりにいい旅館だった。
クーポンやらなにやらで、お手頃価格だった事と、どうも伝手があったらしく私たちはそれなり良い部屋に泊まる事になったのだ。
「どうぞ、こちらへ。お荷物はお預かりしますね」
「ありがとうございます」「すいません」
旅館には綺麗な着物の女将さんと仲居さんたちがいて迎えてくれた。
名前をいえば何故かすごい勢いで番頭さんや他の人達までいらしてくれたので、どんな伝手を使ったのか怖くて聞けなかった。
とにかく部屋についた私たちは思っていたよりもずっと豪華な部屋に圧倒されていたのだ。
いろんな説明をしてくれている仲居さんの言葉が耳を通りぬけて行くぐらいに驚きながら、私は出されたお茶を飲んでぼんやりと部屋を確認して・・いつの間にか二人になっていた。
「ではごゆっくり」
を最後に仲居さんが出て行って数秒の沈黙の後、私は目の前の好敵手を真剣に見つめた。
「タカッどうすんのよ!こんな立派で・・学生には荷が重過ぎよ」
「・・まぁ、俺もちょっとそれは思った」
「あんた、どんなコネを使ったの?」
そう聞いたのは、こんな所に泊まるような知り合いが私にはいないからだ。
「別に・・ただ俺のゼミの先生がさ・・研究資料を編集するのを手伝った礼だって言ってくれて・・予約の時に先生の名前を言ったんだ。そしたらこうなった」
「流石医大の大教授様っ!っていうか怖い・・マジで怖いよ。ほんとに大丈夫?今から私お金下ろしてこようか?」
そうまず値段が違うとそう感じたのだ。
部屋の感じとサービスがヤバすぎる。これはもう学生が来るところじゃないと肌で感じるのだ。立派過ぎる部屋もさることながら、出された煎茶も茶菓子も一流なのだ。
私はバイトはほとんどしてない。数年前から発表会前にピアノの臨時講師として先生にバイトとして雇われていたぐらいだ。
やばい・・ほんと。それでもなんとか少ない貯金をと思っていたら、何故か好敵手は首を振った。
「多分大丈夫だと思う。・・とにかくあんまり嵌め外すなよ?」
「外せないっ・・こんな所で」
「だよなぁ・・」
結局は、二人ともが恐縮しすぎてすぐに観光に行くことになった。
その際にはワンピースではなくもう少し動きやすい服に着替えた。なぜなら近くのテニスコートに行く事になっていたからだ。
さて・・勝負の時ですよ。好敵手。
と息巻いていたのもつかの間・・着替えた筈のテニスウェアに事件が起きていました。
だってアンダースコートを持ってきてなかったからスパッツを履いたら異様に浮くんです。この場所に。
しかも孝之もまたテニス用のジャージなのだ。いやぁ・・異様に浮くんですよね。この旅館っていう空間に。
「お前・・・さっきのに着替え直せよ」
「あんたも・・そのジャージわやめたら」
「これ以外のジャージねぇし」
「私だって・・」
結局逃げるように旅館を出たのは私と好敵手の旅の恥となったのだった。
しばらく二人で逃げるように走った後についたテニスコートは結構な広さがあった。6面あるコートの内の4つは他のお客さんで埋まっているし、そのラインナップが面白かった。
一つ目は多分大学のサークルだろう人達が和気藹々とやっているしもう一つには楽しそにご家族でテニスをしている、もう一つは美しいロマンスグレーの髪をたなびかせるプロ並みの腕前の老夫婦が楽しげにテニスをしてて、最後の所に多分テニス初心者たちによるテニス講座がやっていた。
「ほらっ・・見ろよ。ああいうの着てこいよな、」
最後のテニス講座の所にいる女子大生?の集まりを見てそう言う好敵手に私のテニスラケットが当たるまで2秒の事だった。
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