負けたままでは、いられません。
お化け屋敷を出て二人で遅いごはんを食べれば・・・次は決まってる。
腹ごなしはボーリングだ!もちろん負けた方のおごりで。
「なんで・・・ダブル取ったのに・・・」
「お前、相変わらず前半ダメダメじゃんか」
孝之は本当に嬉しそうに買ってきたジュースを飲みながらその場の片付けを率先して始めた。
「昔は私の半分も取れなかったガーターのプロの癖にっ!」
中学時代は、私の方が上手かったボウリング。今では、いい勝負が出来るようになっていた。
「ほら行くぞっ!」
「分かってる。いいもん、ごはん分浮いてたから・・・」
お昼は付き合わせたからと奢ってくれたのでこれでチャラだ。
「お前運動不足なんじゃないか。腕ボール投げたあと揺れてたぞ。」
「なっ!うるさいわね・・・」
気になるところをしっかり指摘するところは、変わらない。デリカシーはレベルが上がらないのか。
お会計を済まして帰路に着く。
友達以上恋人未満?いいえ違います。友達以上で好敵手です。
ーーーー
「デートの報告かっ!このリア充めっ!」
お昼ご飯は、大学の購買で買った割引シール付のあんパンとメロンパン。
いつもならもうちょっといいものを食べてる私に友人から理由を聞かれて正直に答えればそう返された。
「どこが?」
「いや、どこからどう見てもだよ。梨桜」
「なんでですか、由香ちゃん」
私の前でおいしそうな弁当をぱくぱくと食べているのは、神崎由香。
リア充と叫んだのは、竹下 あん。
同じ学部で入学当初から仲良くなった彼女たちには、私と幼馴染の関係はおかしく感じるらしい。
「天然って自覚ないの?」
「ないっ!」
「ないってリア充・・・・」
「梨桜です。名前を改名するなっ!」
「天然って自覚がないから天然なの」
「そうですね、ただお化け屋敷に入って、落ち武者に会ってボーリングしただけで、なんでリア充呼ばわりなのかわからないです。しかも勝負に負けて金欠な友に慰めの言葉もないのかっ!」
「ない、なんでそれで付き合ってないのっ」
あんは、何時もそう聞く。
「ライバルだから?」
「なんでそこでそうなるの、いい加減かわいそうだよ。その幼馴染」
「孝之が?まさか・・・あれは、私にボーリングで勝ってご満悦だったけどね。次こそは私が勝つ!そして今度はジュースも奢らせるんだからっ」
「はいはい」「がんばれー」
「おう!そのために今週末練習付き合ってね」
「えーーーー」「いやなんで?」
「負けたまんまじゃ女が廃る!勝つまでは諦めません!」
メロンパンを口いっぱいに詰め込んだ私を彼女たちは呆れたという風に見てため息を吐いた。
「ため息吐かない、そしてまるで私が悪いみたいに見ないでよっ!私が悪いんじゃないのっ!」




