表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/68

ライバルらしく

大学3年生に無事・・・なんとか成れました。

だれかーーー褒めてーーー。

そう思う今日この頃。


「・・・ねぇ、梨桜・・結局彼氏とはどうなった?」


昨年、私を見捨てた友人たちは、私をなま温かい目で迎えてくれた。私は無事Vサインをして見せてやった。


「だめだ・・・こいつを落とすには、押し倒すしかないぞ、幼馴染くん」


「えーーゴウカンはダメ、絶対」


「こらこら、大切な薬物の標語をそんなとこに引用するなよ」


ここまでのセリフでお分かりだろうと思うが、私の味方はここにはいなかった。


「ねぇ、なんでそこまであいつの肩を持つかな?」


そう私が言えば、ものすっごい批難の視線が私を貫いた。

それこそ今すぐのの字を地面に書きたいぐらいにキツイ視線だ。


私ってなんなの。

君たちは私の友人じゃなかったのか。1年の頃のあのふんわか、ゆったり、きゃっきゃうふふはどうしたとここで言い返したい。


「あんたはバカなの?」「りーおーーあんた、やっぱ悪魔だわ」「いやどっちかというと天使じゃん?」


そういって彼女たちは大きなため息を示し合せたかのように同時に吐いた。

どうしてかしら。

私が悪い気がしてくる。


「酒飲んで、そのままゴールインだと思ってた」


「いや、そこはベットインでしょ」


「赤飯なら、家で炊いてあげようと思ってた」


ヒドイ。でも最後の農家の跡取り娘さんの言葉には惹かれてしまった。

だって新米のもち米の御赤飯なんて食べたことない。食べてみたい。

ダメだ、炊き立ての御赤飯と私の貞操。

天秤にかけてはいけない。


「ひどいよーー」


「酷いのはあんただよ、もう付き合ってから半年以上経ってんだぞ。それでも食われないあんたってなに?」


「えーーーー」


そう、未だに私は、あいつに食われていない。

なぜって・・もし体の関係を持ってしまったら、もう二度と何があっても好敵手には戻れないからだ。

でもキスは、諦めた。

本当は、キスだってするつもりは、なかったが。


「えーーじゃないよ。浮気されるよ?」


「浮気・・・」


「そうそう、浮気。男って下半身で動くものだよ。夢見すぎだよ」


さて、皆様。

最近の女子大生は、とても辛辣です。そしてわかってる。


「いいもん・・う・・うわきぐらい」


「おーいカタコトだぞ。」


そう、まったくと言っていいほどその可能性を考えていなかったわけじゃない。

あいつも成人男性で、それなりだと。

歴代の彼女を知ってるし・・・それになりより、ここ最近妙に怖いと感じる瞬間が多い。

逃げたくはないが逃げないと。

俗にいうハブとマングース状況だ。

もちろん私がマングースであってほしいが多分ハブなんだよなぁ。


「ちゅーじゃダメかな?」


「マジ、どこまで純情?」


「じゅ・・少女マンガより少年漫画派ですがなにか?」


「そうだよ・・そうだったよ。」


なんでだろうか3人それぞれから責められた私は静かに椅子に座った。


「ねぇ・・・本気じゃないなら、振ってやんなよ」


「うっ」


「そうだよ、ちゅーだけじゃ男は繋ぎ止められん」


「えーーー」


「大人の階段は降りれないの」


女の子は完璧なリアリストだ。夢見る世の男どもよ・・・期待するなかれ。


「・・・別れるよ・・多分」


そう言った後、私はそっと椅子に凭れかかった。

そりゃあね、私もわかってる。あいつが浮気をしていても何もいえない。

そう、仕向けてるもん。


それでいいもん。

ちょっとだけ・・・心が痛いだけ。

ちょっとだから・・・。


「ほんと梨桜ってわかんない・・そんな顔してるのに」


「どんな顔?」


「寂しいっ・・・早く会いたいって顔」


してません。絶対に。

言っておくけど酷い時は2カ月は音信不通だぞ。

あいつと私の中で互いが互いのことを把握しないことなんてざらだ。

高校、大学と違うからかそれがあたり前でもし今私が実家を出る事になれば、あいつとの接点はほぼ皆無になるぐらいだ。


「・・あのね、あいつとは」


「ライバルってさ、遠くに居てもライバルだよ。」


そう言われた時、浮かんだのは、この間のピアノだった。

そのまま手を見る。

ピアノを忘れられない自身の指が、だんだんと動かなくなっていく。

まるで棒だ。この指を失うことが、ライバルから恋人になった代償だった。


「う・・ん、そうだよね」


「あんたの子供っぽい所もわかってくれる人で良かったね」


「酷い・・」


「酷いは、あんた。絶対泣くなよ、振っても振られてもね」


本当に最近の友人はどうなってるのかしら。


「泣かないよ・・・あいつがライバルに戻るの、待ってるから」


「そうかい・・まぁ、たまにはコレでも行って来たら?」


友人が持っていたのは、割引券。

ボーリングのだ。


「いくの?」


「うちらは行かない、この日はサークルあるから」


「えーーー」


「わたしたちから、彼氏さんに応援。後この時に着て行く服は必ずスカートね。誘惑してきな」


「おい。」


まぁ、なんだかわかりませんが、リベンジの時です。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ