きっと言います。
熱・・・風邪とは恐ろしいものでした。
自分、いくらなんでも風邪で弱っていたとはいえ・・・なにしてんだっ!!
薬と睡眠がよく効いたらしい私は、現在自室のベットで悶えてます。
あれから一晩、奴は異常なまでに紳士でした。
いや、熱でむくんだぶっさいくな顔の女をどうにかする程バカじゃなかったんですよ。
さすが将来のお医者様だ。
なんとか正常な脳に戻った私は昨日の失敗を猛省中です。
どうした自分っ!正気を失ってたとしか言えないぞ。未だだるい体を引きずりながら、周囲を伺う。
だって・・・今、好敵手に会って普通に出来るかといえば否だから・・・でも水は欲しい。枕元にあったあいつが買ってくれたスポーツドリンクは既に空で、喉の痛みがひどいしね。
「・・・い・な・い・・よね?」
朝というよりか昼の時間にあいつが居るとはかぎらない。
自宅で抜き足差し足ってなんだコレ。
なんとかリビングにこれた私は、テーブルの上に置かれた一枚の紙を見つけた。
そこには、買ったばかりのスポーツドリンクとゼリーが置いてあって、紙には見慣れた字で書かれている。
「なにこれ・・・ムカつく・・」
ーまぬけ面彼女へ
なんか気持ちよく寝てるし、俺今日は午後までバイトだから。
ちゃんと寝てろよ。バカ。
後な・・・昨日のは結構きたわ。
お前も女だってわかった(笑)
出来る彼氏様よりー
「殴りたいっ・・・今すぐに」
誰が出来る彼氏だ?間抜けで悪かったな。そして昨日の自分よコレを読めっ!!
全てが夢であったならよかったが、何故かしら記憶がそれなりにしっかりしてるところがまた苛立ちを助長する。
怒りのままにビリビリと思いっきりメモを破く。
「マジでない・・・コレが彼氏?」
ないな。
寝てる女子の顔を見たって事だよね?
竹刀をどこに仕舞ったか記憶を探りながら、苛立ちを何とか収める。
やっぱりこいつはライバルでいい。
「しっかりしろっ!」
頬を自身に気合と思いっきり叩く。
あまりの痛みに視界が滲む。
後少し・・・後4か月で私はあいつとお別れだ。
好きってなんだ。
こんな奴、好敵手で十分。
恋は・・・落ちるもの。だけどお前だけには落ちない。
そう決めた。
恋人としてじゃない、ライバルとしてのお別れをする。
私はもう、そう決めてる。
そしてライバルとしてなら、・・・きっとまた、もう一度会えるから。
「ほんと・・・バカだなぁ」
たった一人の好敵手。
それだけでも特別だった。
負けたくない、譲れない。
絶対勝ってやる。
その気持ちをくれる人。
だから、君は・・・私を愛さないで。
好きなんてそんなのウソにして、冗談にしてもいいから。
何時の間にか頬をつたうものがあった。
「ばいばい・・」
言えるよ。
大丈夫。
だから今日だけ・・・好きを涙に溶かさせて。




