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かっこいいとは思いません。

バレンタインが終わりました。

そんな私たちを待っていたのは最終考査・・・ほんとマジで死ぬかと思いましたよ。


毎日レポートとテストに追われ続けた私たちが、なんとか無事に春休みを手に入れたのは3月のはじめだった。

だけど・・・現在私は、死にかけてます。

最終考査最終日に、思いっきり体調を崩して、なんとか乗り越えた私は、現在風邪ッぴき中です。

熱は39℃超えで笑えるぐらいに世界が回ってます。

朝から喉の痛みと頭痛でもう起き上がれない。


でもそんな時に限って、母も父もこの家には居なかった。

春休みに入った娘を置いて、夫婦で房総半島へのバスの旅だ。2箔です。


もう立派な大人なので、雪合戦はしたけど。

一人でも大丈夫と言った今朝の自分カムバック。冷静な判断を下して、病院に行く決意をして・・1時間。

未だにベッドか起き上がれない。

でも・・・やるきゃないですよね。行きつけの病院は徒歩30分、車なら10分。

タクシーへの連絡を考えてたら、まっさかのタイミングでメールが届いた。


≪sub:今から行く。以上≫


いやいやいや、全く意味のわからんメール来ました。

しかもなんでか拒否も出来ないらしい。

数秒も経たずにインターホンがなった。無視を決め込む事はできない。

3回目のインターホンが鳴り終わる前に玄関を開けた私の前には、マスクをつけた幼馴染がコンビニの袋を手に立っていた。


「・・・・なんで?」


「おばさんから、救援要請でメール来た。お前が心配だからってな。」


お母様、なんでそこまでこいつを信じてるの・・・風邪の娘を任せる程の信頼関係を何時の間にっ!!

怖い、マジで。

外堀がバッチリ埋められている気がひしひしとする。


「熱、どうなの?」


腕を組んで、こちらを覗き込むのは、こいつの癖だ。

手にあるコンビニの袋ががさりと音をたてた。すっぴんで熱で、むくんで・・ボロボロの顔を凝視されてます。


「・・・ある」


「何℃?」


「・・・・ひ、み、つ」


女の子らしく言ってみました。・・・ものすっごい目でにらまれました。


「・・・・39℃は超えてます」


「ばッっ!!」


耐えきれず話せば、思いっきり腕が伸びてきて首に冷たい手が触れた。

きゃー変態。とふざけたかったがそれも出来ない本気のこいつに私は黙ったままでおいた。


「・・・あっついな。脈も速い・・・インフルって可能性は?お前のまわりで罹ってたやつ居たか?」


「いません。・・節々は痛むのかもわからない。」


「了解、保険証はもってんの?」


病院連行が決まりました。有罪判決です。


「う・・・」


「おふくろの病院でいい?これからだと行って2時間は内科で待たされるし受付だけしておくか?」


的確な判断がどんどんと下されて、これからの動きが決まっていく。でも2時間も待合室で待たされるなら病院よりも家で大人しく寝てた方がいいかも。

そう考えて口に出せば、言い終わる前に幼馴染は遮る。


「いき・・たく」


「わがまま言ったら、お前の行きつけの呼吸器内科に連れて行く」


おっと・・・一番こわーい先生を指名かっ。

恐ろしい奴め。小さい頃から通っている呼吸器内科には私を思いっきり叱って下さる医師がいる。

無理や無茶をすればたまに拳骨さえ貰える、やさしい先生だ。


「・・・いきます。・・・サンキュ」


車の鍵をポケットから出した幼馴染を20分程待たせて病院に連れて行ってもらった、私に下されたのは、上気道感染、いわゆる風邪という診断だった。

幼馴染の母であるおばさんが内科に連絡をしてくれていて、ついて30分もせずに見てもらえた。

今日は人が少なかったのが幸いしたのだ。

若干の脱水がみられたらしいが他は問題もなく、抗生剤と念のために喘息用の薬も処方された私は、奇跡的な速さで病院から自宅へと帰る事ができたのだ。



ーー


「今日は、マジでありがとう・・・」


解熱剤を処方すぐに飲んだおかげでだいぶ楽になった私がそう告げると、幼馴染は何も言わずに車から降りた。

そのまま助手席のドアを開け、私の持った荷物を取る。


「えっ・・」


「おばさんたちが帰るまでは様子見てやる」


・・・フラグがたった。

おっとマジでテイソウの危機ですね。なんだろう、この恐ろしいフラグ。


「いやいやいやいや・・ないから、マジで」


「うるせぇ、いうこと聞けよ。俺は医者のたまご。お前の風邪ぐらい俺がどうにかしてやる」


何をですかーーーーーーー。

私を無視して、そのまま駐車場を出て行く背中。


「ほら、速く来い。」


かっこいいセリフなのよね。セリフは・・・でもね。


かっこいいなんて思えません。











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