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10年以上ライバルです。

※本文中にあるような事を実際の蛇には行わないで下さい。

(動物虐待となる可能性があります。)


―10年前―

私たちの通っていた小学校は、歴史が長かった。創立記念にと150という数字を生徒たちで描きチャーターしたヘリコプターから記念写真を撮るなんて行事もあったのは、未だに記憶に残っている。

そんな学校なので植えられた桜の木は子供が三人分くらいの太さの立派なものが多い、ここは、ト●ロの森というたとえがしっくり来るほどだ。


さてそんな森深い場所には、裏門がある。正門近くの木々は業者に頼んで綺麗にしてもらっているが体育館裏や裏門近くの木々たちは、自由奔放に伸びまくり怪しく薄暗い雰囲気を醸し出していた。

夜にはちょっとした肝試しも出来るだろう。


そんな裏門は、私とあいつ、孝之(たかゆき)にとってちょっとした秘密基地だ。

同じマンションの上下階、同じ時間に帰るのだから一緒に帰るとそれは、他の子供たちにとっては、からかいの的となる絶好の理由だ。

マセた子供が「つきあってるの?」「どうせい(同棲)だ!」と意味も知らないくせにそれを言いふらす。

それが嫌だった私たちは、秘密基地の裏門から二人でこっそり帰っていた。

そんなある日・・・


「りお!来いっ!砂場の砂もって!」


いつも通りに裏門に向かえば先に行ってた孝之(たかゆき)が全速力で走り寄ってきて近くの砂場から一掴み砂を掴みあげ再び裏門の方へ走り出した。意味の分からない私は、一応それに従った。

ついて行けば裏門の前で立ち尽くす孝之(たかゆき)

様子が変だと思いながら黒いランドセルを砂を持たない左手で叩けば、あいつは使命感たっぷりに言い放った。


「あそこにへびがいる。俺が合図したら砂投げて逃げるぞ!」


ランドセル越しに裏門を見れば、確かに裏門の前には全長1メートル以上はあるアオダイショウがとぐろをまいていた。

まだ小学生の子供にはそのヘビは、大蛇に見えた。


「えっ・・・今日は正門で帰ろうよ、」


「ばーか。へびに負けるなんて嫌だろう?行くぞっ!俺とお前が一緒なんだぞ・・・・出来る」


そう言ってあいつは手を差し出した。その小さな手は何故か信じられた。


「うん!」


「行くぞっ!・・・1・2・3っ!!」


この手は、しっかり繋いで離さない。

でもね、知ってた。あんたの手、震えてた。

本当は、怖いくせに強がって、それでも私の前だからヘビに立ち向かおうとする。

そういう奴だ。

私に弱いところは見せたくない。意地っ張りで負けず嫌いは、お互い様だ。

私とこいつは、『好敵手(ライバル)』。絶対負けたくない相手だ。


駆け出した足、通り抜けた裏門が遠く見えなくなるまでこの手は離さない。


ーーーー

引っ張られた手に懐かしい思い出に浸っていれば。


「なにニヤニヤしてんだよ。キモい・・・せめて化粧ぐらいしろよ。」


「っな・・・・」


そう十年前は私より身長が低い事がコンプレックスだった幼馴染は、現在進撃しそうなほど成長なさった。


「休日の朝にいきなり連れ出されれば、すっぴんなのは当たり前なの、いい加減手離せ。」


「うん?振りほどかないから怖いのかと思った。」


「っ誰がよ!か弱い女の子がいいならそこら辺でナンパでもしてきなさい。言っておくけどあんたの服、先輩落ち武者さんが着けてた藁やゴミで大変な事になってるからね」


「まじかよっ!ってなんで見えるんだよ。こんな暗いのに」


「何故でしょうね」


下からの間接照明で偶然見えた背中は、ゴミだらけ。

情けないったらない。


「おーいー、お前が着けたんじゃないのか?」


「どうでしょう?」


出口が見えてきた。もうすぐというこの安心感に付け込んで必ずここでお化けが出てくる。

そういうものだ。

予想通りに、そそーっと近づいて来たお化け役の人に気づいているのは私だけ。


「後ろに先輩だっ!」


そう叫んで走り出す。勢いよく後ろを振り返った幼馴染は、急に目が合って固まってるお化けさんと見つめ合ってしまった。

面白い状況だしもう少し見て居たかったがしょうがない。


出口で待っててやろう。







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