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大人になりますよ、公的に。

現在6人の友人に見捨てられて困ってる20歳です。

悪夢の1日から既に8日。


大学の冬季休暇中に後期考査の結果を取りに来た私は、友人たちに相談を持ちかけた。

いわく彼氏(仮)が胸を揉みました。延髄蹴りをしてから話してないのに20日にある成人式で強制的に会わなければなりません。


どうしたら、見つからないですか?


「リア充爆発」


「まだだったの?」


「延髄蹴りって普通は死ぬよ」


「食われて来い以上」


「・・・・梨桜諦めて」


「行って来い・・・大人の階段登って来い」


20歳です、大人の階段登り・・・ませんからっ!!

っていうかなんでまともな意見をくれないのでですかっ!!


「着物って・・・エロいよね」


「いやーーーよいではないかっ!」


「やらないからねっ!!」


私の周囲にはまともな意見は一切なかった。


ーーーーー

そして現在・・・会場です。

朝6時からホテルで着付けされてもうボロボロですよ。

家の事情で普通の人よりは着物に着慣れている私でもこの人だかりで慣れない草履はキツイ。

地域ごとに座る場所も決められているのでそこには、懐かしい顔ぶれがそろっていた。そしてその誰もが私をそして私の隣を陣取った好敵手をニヤニヤと見てはクスクスを笑い声を抑えていた。


詰んだ・・。


「帰りたい・・・」


「寒いか?」


「いや、違うから・・」


「ほら」


今日の好敵手の格好は袴です。他の男たちは慣れない体さばきでどこか動きづらそうにしているのに一人だけ涼しい顔ですんなり着こなす所がムカつきます。

この変態やろう・・・。


そんな奴なのに多分自分が着て来ただろうコートをこちらに渡してくる。


「いらん」


「足震えてんの見えるけど?」


「武者ぶるいじゃ」


「何する気だ、大人しくしてろよ・・・」


そう言いながら、コートを足にかぶされました。くそ、こんな所は変わらずのジェントルと来たか、だが忘れてないぞ、乙女の胸をわし掴んだこいつの手は犯罪者です。


「この後の飲み会行くか?」


市長の話聞いてやれよと思いながらもしょうがなく答える。


「いや」


「お前・・・この状況で逃げられると思うの?」


そう言いながらため息を吐き周囲を見れば、デガ亀さんたちがひょいと視線を背けた・・・。


「あんたがバラしたの?」


「んな訳あるかっ!」


ちょっと静かにと周囲の子に抑えられてしまったがとにかくこの晒しもの状態は勘弁願いたい。

周囲は幼馴染たちと同じ中学や小学校の人間に固められていた。

そりゃあ引っ越してない私たちには逃げ場はない。


ああああああ・・・この後の惨状は予想できる。

私・・・どうなるのかな?


先ほどから妙に突き刺さる視線が或る。遠い昔に私を倉庫裏や体育館裏、そしてトイレに呼び出した少女たちだろう・・・・。


このまま無礼講という名の無法地帯に行って私に待つ試練はいかようになるのか・・・。


「着物キツイか?」


「大丈夫だって・・・」

「そうか?顔色悪いぞ?言えよ。さっき3人ぐらい着物がツライって言ってたから医務室に運んだし」


おい・・・何をしてる。しかも3人も救助したのかこいつ。


「そう・・・まぁ、他の人に比べれば慣れてるし・・この帯はおばあちゃんが着付け直してくれたから大分楽よ」


本当にすごい着付けをする人は、朝の4時にはホテルに居る。

そこでプロの着付け師さんに着付けをされているし式が終わるまでは、着くずれないようにキツメに着付けがされているから慣れてない人は気分を悪くするような事態になる。

だが3人って・・・もしかしなくてもナンパされたか、好敵手。

やるな・・・・みなさーーーーーーーんこいつ変態ですっ!!


そう言ってやりたいが、見た目だけなら着慣れない体さばきの男達よりよっぽど似合う。


なんか悔しい。


私なんてそんな風に声かけられてない・・・高校の友達と仲良く話して楽しくここまで来ただけ。



「もし気分悪くなったら言えよ」


「へーーーい」


式が終わるまで後1時間。

私は必死に逃げる口実を探していた・・・いや周囲は、綺麗な着物美人でいっぱいだし・・花魁までいる。


あんな風に着たら楽しいのだろうか?


私にはわからないが、やはりまわりの男達は式の途中なのに、花魁さんに夢中だ。

胸元がぎりぎりです花魁。


かんざしだけでもいくらするのだろうか・・・私なんて、300円で買ったかんざしをオリジナルで加工したものだし・・・ちょっと恥ずかしい。

これでもがんばったんだけどなぁ・・・。


少しは綺麗ぐらい言えよ。

隣の朴念仁。


なんでかわからないけど、自分イライラしとる。


「飲み会・・・行くなら酒あんま飲まないでよ」


「マジか」


「マジだよ、急性アルコール中毒者の処置が遅れたらどうするの」


「やんねぇよ。医者に行かせるしかできねぇし」


「ちゃんと監督してあげてよ。私も注意してるから」


「了解」


私以外の人間がいれば大きな猫かぶりの男に私はそれだけ言った。

どうか、無事に今日帰れますように・・・。


大人になるって大変です。








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