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甘酒は危険物です。

近くの神社と言ってもそれなりに参拝者はいるそこは、それなりの人数が居た。

赤い鳥居は、既に古くところどころ赤い色が剥げているが、この神社の近くの地主さんが寄贈した大きな石造が有名だ。


境内の石畳を中心に数店だが出店が並んでいてそこには数十人の人だかり。

奥で甘酒がタダで配られているらしい、特有の甘い香りが漂ってきた。


「・・行くぞ」


「うん・・・ていうか結構人居るなぁ」


「一昨年は雪降ってたしそんな中にお参りする奴は俺らだけだろうが・・・ほら行くぞ」


さっさと歩き出す背中を追って、まずはお参りをする。

既に数人が並んだそこに並び、手順通りにお参りを追えるまでに20分かかったが何とかお参りを終えて、お約束のおみくじを引く。


「・・・どう?」


「中・・・か」


「微妙----なにかあった?」


「あまり気にせず思うがまま突き進めって書いてある」


「・・・・心配になる内容だね」


「お前は?」


「ははは・・・末です」


開いたくじには末吉の文字がしっかりと刻まれている。読んでみればそう悪くない内容なのだが・・・恋愛運がとんでもない。


「お前の方が微妙だろうっ!!しかもなんで隠すんだよ」


「乙女の秘密を気にするなっ」


「あほっ!!そしてキモい!だれが乙女だって?」


殴っていいだろうか。こいつ・・・いや未だに剣道場で後輩の指導までしているこいつに当たるかは賭けだ。


「それより、ほら・・アレタダだって」


それよりで済ませましたよっ!こいつ。

すたすたと歩き出す背中を追えば甘酒を配っているテントへと向かう。

そのまま自分だけで行って両手に甘酒を持つ男に呆れながらも差し出されたそれを受け取る。


「ほら・・・いくら酒弱くても甘酒なら大丈夫だろう」


そういいながら結構ぐびぐびと飲んでいる好敵手。顔色が寒さゆえに悪かったものが一気に赤くなる二十歳に僅かに嫌な予感がして私の方が心配した。


「ちょっ!もっとゆっくり飲んでよ」


「アルコールなんてほとんど抜けてる・・・俺もう一杯もらってくる」


そう言って再び置いて行かれた私は茫然とその背を見送って、帰ってきた男の手にあるLサイズの紙コップに笑った。


「おまけだって・・・」


後ろを伺えばがんばれーと手を振られました。何を?

そして特大サイズの甘酒を嬉しそうに飲む好敵手は、だんだんと頬を血色良いから真っ赤に変えて行く。

つい1週間前20歳になったばかりのこれが酒に耐性があるわけがない・・・・。


危険・・・危険です。

その後はほろ酔い?の男に綿あめとたこ焼きを奢られました。


覚えてたのね・・・でも・・・。



ーーーーーー


「くじって・・・当たる」


「なーーーにが?のまねーーーの!くれっ」


そう言って抱きついてくる巨大クマっに私は全力で逃げた。でもかなしいかなそれなりに人でごった返したここで逃げ切れるわけもなく私の手にあった甘酒も目の前のバカに飲まれてしまった。


「ちょっと!!あっ・・」


「もうない・・・貰って」


「だめだってばっ!!ってぎゃーーーーーーーー」


慌ててクマを捕獲すると思いっきり抱きしめられました。たーーーすーーーけーーーてと周囲を見るが誰もこちらを見る気配さえない。いや数人のおば様がこちらを微笑ましそうに笑ってみてる。噂してる。


おわった・・・。


「照れるなよ」


「いい加減にしろこのアホっ!!」


苛立ちを全て拳に込めてボディブローを叩き込むまで30秒・・・。


「なんだっ・・・あっお前・・胸」


「マジいい加減に」


「デカいな」


むぎゅっ・・・コートの上から思いっきり揉まれました。

2秒後・・・ボディをやめて延髄を狙った回し蹴りが見事に決まった事をここでは言っておこう。


私は一人で家路に帰った。


ポケットには、末吉のくじ。


恋愛運・・・受難あり。努力が報われると信じ、安寧はないと考え備えるべし。


安寧がないってなんでしょうかね・・・神様っ!!








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