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原因はアレですか。

過去パートおわり^^

次回戻りますのでどうか長―――――い目で見てやってくださいまし。


きっかり15分後にもう一度訪れた幼馴染の家。

やはりというべきが一切の戸締りの後もなく、諦めて扉を開ける。

手荷物はそれなりだったから、手提げバックを持ってリビングに行けば、3人がけのソファーに倒れ込んでいる大きなクマ・・・じゃなかった幼馴染。

一応自分でも努力したのだろう。


そこには大体必要なものが置いてある。

風邪薬、飲み物、ティシュ・・・そして救援要請用の携帯。

大きな体を包むのは大判の羽毛布団。

それにくるまってるから、見た目はまぁ・・・・ふわふわの饅頭という感じだ。


これの上にみかんを置けば丁度鏡餅じゃないかという薄情な感想をもったがそれは口に出さないでおく。


体温計がなかったのは多分、数値を見て落ち込まないためだ、私もよくやる。

似たもの同士というべきか本当に行動が読みやすいのが痛い。

聞こえてくる息遣いが荒い。

私が近くによっても反応がないし、まぁ部屋の温度がまさかの28度なので入った瞬間に私は慌てて着ていたコートを脱いだ。


「あつい・・・・」


世の中の電力不足を少しは考えろと思いながら風邪ひきには関係ないかと考えなおしてそっと傍にある一人用のソファーに腰かける。

後45分後には一度起こして熱を測らせて、下がってなかったらおば様に連絡。

その後1時間ののちに下がらなかったり様子が悪化したら病院と予定を立てて、私は静かにその場で過ごす。

持って来ている編み棒と毛糸を手に私はそっと編み物を始めた。

乙女だなぁと自画自賛しながら。

痛い、まぁいいと諦めながら持って来たものを続ける・・・元々手芸も得意だし、なによりも幼馴染より出来る数少ない特技だ。

ダークグレイの糸を編み込んでいく。図柄なんて適当なのだ、今年は大学のテストのおかげで編めなかったから手技をわすれないためにと1時間で父にネッグフォーマーを編んだ残り。

100均の安物糸だがなかなか糸の感触が良くて気に入っていたので自分用にも作ればと思って昨日から始めて現在20センチ程。


無音では寂しいかと思って持って来ていたウォークマンを利用して音を少し流す。

ランダムで聞こえる曲・・・既に過ぎたクリスマスソングが終わった時、私の手元には既に50センチを過ぎた毛糸の帯。


1時間なんてすぐだと感じて手元の時計をみれば、5分程時間が過ぎていた。

自分用に持って来ていた缶コーヒーを飲み、一度相手の状態を確認するために立ち上がるとそれに気づいたのか傍の饅頭がもぞりと反応した。

私も驚いたのでビクっと肩がはねたのがちょっと恥ずかしい。


「・・・・ごほっ・・・・」


「・・たか?」


「・・・・おお」


起きてたらしいので大きなため息だけ吐いて傍に行くとものすっごい不細工な顔が私の方へ向けられた。

いつもかけているメガネがないから目をすがめて、顔は僅かに赤らみ、ぼんやりと私を確認したそいつに持って来ておいた体温計を渡す。


「ほい・・・」


「なんで・・・いんの?」


「どうしてですかね・・・ほい、のんで」


素直にスポーツ飲料を飲み干す。

顔は赤いけど、寝てたおかげでだろうと判断する、返された空のペットボトルを捨ててやる。


「・・・うつんぞ」


「残念、風邪にかかる程ひ弱ではないのだ」


「なんとかは・・・風邪」


「それ以上言うなら、おばさんに連絡次いでに座薬を準備してもらえるようにしてもいいけど」


バカと言いたいらしい薄情ものへそう返してやる。


「せくは・・ら」


「・・・・・」


これが折角看病して野郎という相手に対する態度でしょうか?

イライラもピークになりながらも、なんとか抑え込んで鳴りだした体温計を奪い取る。

視界には38℃とそれなりに高いなりに、それでも解熱剤が効いているらしい数値が出ていた。

これだけ簡単に下がるなら問題ないと判断して、不満げにこちらを見る好敵手に返す。


「下がってるし、おばさんには連絡なし・・・後一時間後にまた計ってよ・・・私も流石に深夜までは居られないから」


現在は午後7時前だから、これから上がるだろう予想は出来ているし、準備を一応しておく。

キッチンに向かって、氷枕の代えを確認して、飲み物も確認済み。

風邪なんて一に睡眠、二に睡眠 三も四も全部睡眠で治すものだ。基本それなのだから、私はそれのお手伝いだけするのが今日の仕事だ。

キッチンには、多分片付けようとして面倒になったあいつが私の作った兎リンゴにサランラップをかけている。

酸化してて茶色になってるのが残念だ。


一応冷蔵庫にそれを移動させてからリビングに戻れば、なぜか起き上がったままぼーーーーーーっとしている幼馴染と目があった。


「帰った・・・んじゃねぇの?」


「まだいるよ、ほら寝てって面倒だから」


そう言えば渋々に再びソファーに倒れ込む大きな体の子供に呆れて私はただ笑った。


「・・・・帰っていいぞ」


「・・・いる・・・」


「・・・・さんきゅ」


ちゃんと礼は言えるのはおば様のしつけのたものだ。


「じゃあ・・来年、初詣行く?」


「なんで?」


「初詣で奢ってよ・・・それでいいから」


何気ない約束。きっとただ一緒にまた居れたらいいなぁとそう思っただけ。


ーーーー


適当な約束はするものではない。







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