クリスマスは、決戦日。
12月のある日、地獄のような定期考査を終えて、冬季休暇に入ってすぐ友人たちと休日を楽しんだ。
いつも通りおいしいごはんを食べて、かわいい服を選んで、遊んでカラオケに入ってはしゃいで・・・。
女子大生満喫中です。
携帯電話が鳴るまでは。
pipipipipi
「梨桜携帯鳴ってるよ!」
「えっ・・ほんとだ。ちょっと出て来る」
大音量の部屋でよく聞こえたなぁと思いながら部屋を出て携帯を確認するとそこに表示された文字に私に衝撃を与えた。
≪孝之 ライバル≫ 未だ鳴り響く携帯に私は覚悟を決めて応答した。
『もしもし・・・』
『梨桜・・・やっと出たな。今日3回かけたんだぞ』
つい3か月前に1か月半音信普通だった男が何を言うと思いながらも私は詫びた。
『ごめん・・・今友達とカラオケに来てて、気づかなかった』
『・・・友達?』
『うん、』
『男?』
電話越しでもわかるその低く不機嫌な声音に私は慌てて部屋に戻った。丁度タイミング良く音楽が鳴ってなかった。
「ごめん、ちょっとなんか話して」
意味がわからない自分の言動に快くその場に居た友人5人は声を上げてくれた。
「有難う、あとで話すね」
もう一度部屋を出て携帯を耳に当てる。
『女の子だけ・・』
『そういう事、何を心配してるのよ。でどうしたの?3回も電話って・・・もしかしてクリスマスダメになった?』
『違う、最終確認。』
淡い期待は、すぐに否定されてました。そして最終勧告だなぁと思いながら、先ほどまでの楽しい気分沈んで行く。
『うん、24日でいいの?』
『そう、時間は、18時な。迎えに行くから家で待ってろよ』
『迎えって(同じマンションじゃないの)・・・うん。わかったけど』
『発表会並みじゃなくていいから、少しはめかし込んで来いよ?』
『ロングのイブニングじゃなくていいの?』
『夜会かっ!違う・・そのでも楽しみ・・にはしてる』
わーわーわーわー このターラーシー・・・モテ男めっ!
『了解です。』
『じゃあ・・・』
携帯が切れた。その瞬間にあいつの本気を耳にしてぞっとした。
さて、嫌な予感は、当たるもの。恋には淡いこの色は変えられない。変えたくない。
さよならは、きっともうすぐ言えるから。
「好きよ・・・たかゆき」
私の声は、カラオケの騒音に全てかき消された。




