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サプライズは卑怯です。

レストランに着けばびっくり予約までしてたらしい。

ついお財布を気にしてしまうがそれを口にするほど野暮じゃない。


「うわぁ、綺麗・・・」


案内された席は、窓際の夜景の綺麗な席だった。

夕日が差し込む街並みは、見慣れたもののはずなのに夕日が差すだけでこんなに綺麗だとは思わなかった。


「一応まだディナーっていう時間じゃないらしいけどどうする?」


「どうって・・・」


「ディナーコースは、18時から頼めるらしい。後30分はあるかな、それまで時間潰すか?」


「えっと・・・うん。」


「じゃあ、ほら・・・」


ごそごそと先ほど買ったばかりの本の山から抜き出されたのは、小さな包みだった。

はい、ここでこのタイミングで渡されるものとは、なんでしょうか。


「えっと・・・もらっていいの?」


「おう、」


「ありがとう、開けていい?」


頷かれたので開けました。 答え


「しおり・・・ですか」


「気に入らないか?」


子犬のような目で見ないで好敵手。


「えっいや、大事にする。サンキュ」


意表を突くプレゼントと意表を突く中身。ダブルパンチで来るとは、流石です、好敵手。


先ほど買ったばかりの本の中から楽しそうに本を選び読み出すところもまた・・・。

注意:初デート中です。

ほんと予想のつかない人だ。だけどらしいからしょうがないと諦めた。

私も先ほど買った漫画の続きを読みだす。


ディナーコースは、とにかくおいしかった。

夜景を見ながら食事なんて、なんて王道なのだろうと思った事は、秘密だ。


楽しいディナーを終え、私たちは帰宅の途に着いた。


「今日は、ありがとう・・・楽しかった。」


「あぁ、」


マンションのエントランスで互いにポストの中身の確認をしてる時に私は、そう切り出した。

面と向かって言うには恥ずかしかったから。


「ごはんも、すっごくおいしくて満足です。」


「良かった。」


「・・・でもさ、これで最後にしていいよ。お金貯めないといけないんだから」


あの時は言わなかったけど、今なら言える気がしたからそう告げる。

私のためにお金を使わせたくないのだ、今日は初デートだから頑張ってくれたのだとしてもそれでも学生のうちに行く場所ではないと食事をしながらずっと思っていた。


「・・・・うるせぇよ、これでも勤労学生だからな、お前よりは持ってる。心配すんな」


「はーい」


これ以上は、プライドを傷つける事にもなるだろうから深くは、追求せずに私は、エレベーターのボタンを押した。


私は、3階、あいつは4階。 

沈黙の後にエレベーターに乗り込む。私が先に降りるからこれで、デートは本当の終わりだ。


「なぁ、俺、お前と付き合ってるって事でいいんだよな?」


今更ですかっ!好敵手!!

そうつっこんでもよかったが、それでは幼馴染となってしまうので彼女らしく答えてあげた。

今日のお礼だ。


「そうです。・・・彼氏さん」


「おう、だよな、」


そんな安心したような顔をしないで欲しい。

エレベーターが3階について扉が開いた。


「じゃあ、」


「また、次は、指輪買ってやる」


扉が閉まる瞬間にそう言って手を振る彼氏。


「わざとだったのっ!!!」


完敗でした、好敵手。

次は見てなさいっ!!
















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