表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/68

勝敗は、笑顔で決まる。

やってしまったという後悔に苛まれながら、それでも心が少しかるい。

そうこの勝負に私は、必ず勝たなければならない。


勝利条件は、『7月までに笑顔でお別れを言う』というもの。

もし7月までにあいつを好きになっていたなら、私は、7月あいつに告白しよう。


きっと恋をするのに時間はいらないと人は言う。

だけど・・・愛せるまでに時がいる。


私は、そういう人間だ。文句あるかっ!


そう開き直って3日。

やっと動き出した好敵手・・・メールで様子見というか、確認が来た。

≪sub:会いたい 本文:お前の暇な日メールくれ。合わせる 以上。≫


電報かっ!戦中でもないのに片言なメール。 文字数の少なさは相変わらずだ。

ここは、彼女らしく絵文字でかわいい文面をと鋭意努力して・・・挫折。

別人と思われて着拒否されそうだ。


≪sub:了解。本文:9月8日から大学始まるからそれまでなら大丈夫だよ。≫


そうメールを返せばびっくり、5分で返信が返った。


≪sub:Re:了解。 本文:わかった。じゃあ明後日、駅前に11時。≫


好敵手の時は、どんなに早くても丸一日は待たないと返信がなかったのに・・・この変わりようはどうだろうか。

ちょっと悔しい。なんだこの待遇の差・・・ムカつく。


だがさておき、最初の決戦は、9月4日に決定だ。


ーーーーー


彼氏彼女なら、一度は、やって見たいこと。

『ごめんっ!待った?』『全然っ!気にしないで』を夢見て現在。


自宅マンションを出て5分も経たないで、50メートル先に見覚えのある背中を見つけた。


そりゃあ、同じマンションに住んでますし、待ち合わせの駅までの道も同じですよ。

しかも二人とも余裕を持って行動する事を幼い頃から習い事で学んでいる。


答え:ドキドキがない。


駅まで後10分。あの背中を見続けないといけないのかと後悔しそうになる・・・どうせならちょっと遅くなるように家を出ればよかった。


だけどここで今すぐ話かけれるほどの度胸もないので素直にそのまま歩いて行く。


全国の乙女たち・・・特に幼馴染というものに憧れている人に言いたい。

これのどこがいいですか?


やっと着いた駅。まるで尾行してたみたいだよ、これ・・・。

待ち合わせ時間まで後15分。

ちょっと早めに着いたからか、コンビニに入る好敵手じゃない、彼氏さん。


なんだこの虚しさ。それでも一応私も女の子なので髪や服の最終確認のために駅の近くの公衆トイレに入り最後の確認を済ませた。

今日は、ドレスでも大人ワンピでもない。

白のドレスシャツと七分のスキ二―ジーンズ。腰に捲いたチェックの上着がアクセントだ。

飾り過ぎないように、それでも少しは、女の子らしさを意識しアンクレットを付けてみた。

髪は、ゆるく撒いてハーフアップスタイル。

メイクは、ナチュラルさを意識してでも唇は、新作のリップグロス。


こんなものでしょう・・・。

幼馴染だから、こっちのすっぴんなんて見飽きてるし、発表会が一緒だからばっちりメイクの私も知ってるのだ。

やりづらいったらない。


さて、出陣である。


改札口の横、時計を気にしてる。

淡いブルーの半そでパーカー。中に穿いている黒のVネックが良く似合っていた。


孝之(たかゆき)っ!」


呼べばこちらを向いて私に気づいた。

そしてなぜかその表情は、驚きに満ちている。


「?」


ついさっき確認したが、何かおかしなところでもあっただろうかと不安になり、自分の全身を確認する。

が、どこもおかしなところが見つけられなかった。

そして5メートルあった距離は、相も変わらず2メートルから縮まることがない。


「どうしたの?」


「・・・いや、それより、コーヒー飲もぜ!」


そう言って歩き出す背中はどこかおどおどと落ち着きがない。


大丈夫ですか?好敵手。


















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ