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羊飼いも山羊もいない  作者: 遊舵 郁
九月、祭りのころ
39/63

【35】暁の黄金(3)

 今日は文化祭の1日目。

 まずは学内の生徒だけで行われる。


 教室の時計が午前9時を指すと校内放送で大音量のファンファーレが流れた。


 それに続けて

「定刻になりました。

 それでは、20XY年の暁月祭、文化祭の第1日目を開催します!」

というアナウンスが流れた。


 クラスの舞台を宣伝してくれる広報係の生徒たちはプラカードを持って出動して行った。

 自分の所属する文化系の部活の出し物のある生徒や初演時にはシフトの入っていない自由時間が与えられた生徒たちも教室を後にした。



 私、井沢景はクラス演劇の第一回公演でプロンプターを務めるために上手(かみて)側の舞台袖に身を潜めた。

 舞台と客席の間には幕がないので、大道具係が作った上手側の壁に隠れていないといけないのだ。

 それでも教室内の様子が気になるので少しだけ顔をのぞかせて様子を伺う。



 1年D組のクラス演劇の演目、喜劇「Round Bound Wound」は「劇団:津川塾」を主催している劇作家・演出家・俳優の津川マモル先生によるドタバタコメディーだ。


 キャストは4人だけ。

 ・井上役:上田清志(きよし)  

 ・江神役:大町篤   

 ・和久井役:安住(あすみ)ひかり

 ・倉田役:小海(こうみ)由乃(ゆの)


 この少ない人数で1時間15分喋り続けるので台詞も多くて大変だ。

 それでもこの日に向けてみんなで頑張ってきた。


 その4人のキャストは下手(しもて)側の舞台袖で出番を待っている。

 舞台監督の川上くんは、舞台全体を見渡すために教室の窓側の一番後方に位置取り台本を片手に腕組みしながら佇む。

 舞台写真を担当する高岡さんは下手の端の真ん中辺りの席に座ってカメラをチェックしている。

 みんな開演の準備は出来ているようだ。

 



 いったん教室内が静まりかえった後、廊下を行き交う生徒の足跡が聞こえてくると、会場係の生徒の声が響く。

「1年D組のクラス演劇『Round Bound Wound』、間も無く、本日の第一回公演が始まります!

 よろしくお願いします!」


 会場係が開場を告げると、教室の後ろ側の扉が開けられ、廊下から次々と生徒たちが入って来た。

 皆さん、わざわざ私たち1年D組の舞台を観に来てくれたんだ!

 私はそれだけで目が潤みかけた。



  

 上履きの色からすると同じ1年生が多いみたいだけど、2年生や3年生もいるようだ。

 前の方の席は女子生徒たちですぐに埋まってしまい、それに遠慮してか男子生徒たちは後ろの方に席を取っていた。



 やはり、女子生徒が多い。

 昨日の体育祭で大活躍した大町くんや小海さんが目当てなのだろう。


 開演を待っている生徒たちの声も聞こえる。


「大町くん、楽しみだね」

「小海さん、やっぱり男装かな?」

安住(あすみ)さんって、クイズ研の子でしょ?」


 ひかりちゃん、こと安住さんはクイズ研究部の代表選手としてエースの部長とコンビを組み、夏休みに開催された高校生のクイズ大会の県予選で決勝まで残った。その模様はテレビで放送されたから校内でもかなりの有名人なのだ。

 それにひかりちゃんはこの暁月高校への進学者が最も多い中府(なかくら)市内の白川中学の出身で友達も多いからこのお客さんたちの中にはきっとひかりちゃん目当ての生徒も多いだろう。



 一方、田舎の中学校出身の私の知り合いはというと、1年D組のクラスメイト以外は文芸部の部員くらいしかいない。

 1年生の筑間稜子さんと須坂(すさか)公太くんは今日の午前中は2年生の先輩と文芸部の部誌販売ブースで店番することになっているのでうちのクラスの演劇を観に来てくれるとしても午後からだろう。

 2年生の中野先輩と岡谷先輩は文芸部で店番、3年生の飯山先輩と松本先輩はクラス展示の担当になっているようなので、今日は観に来られないと思う。



 主役の上田くんが中野先輩のファンで舞台監督の川上くんが飯山先輩のファンみたいなのでおふたりには「是非ともうちのクラスの演劇を観に来て下さい」と声はかけてあるけど、忙しそうだから来てもらえるかどうかは確約できていない。だから上田くんにも川上くんにもそのことは話していない。ぬか喜びをさせてはいけないからね。




 そんなことを考えていると、どんどん客席が埋まっていく。

 男子生徒の一団もいる。

「上田~、頑張れよ!」

と声をかけているからバレー部の友達なのかな?

 うちの高校への進学者が多い社山中学の出身だから上田くんもちょっとした有名人だ。




 開演時間が迫っているがまだ川上くんから開始の合図が来ない。

 会場係が入場者の案内に手間取っているようだ。



 しばらくすると、

「あれって」

「おい、あれ見ろよ」

 後方の客席がざわつき始めたので、前方の席の生徒たちも後ろを振り返る。


 私もみんなの視線の向く方を見やる。



 そこには見目麗しいひとりの女子生徒が立っていた。

 あの凛々しい佇まい。人を惹きつけるオーラ。

 演劇部の部室で一度お会いしたことのある私は忘れていない。


 演劇部部長の桑村直美先輩だ。



 視認しても頭では理解できず

「え?なんで、演劇部の桑村先輩がうちの舞台を観に来たの?」

と思わず口に出る。

 とても光栄だが、そこまで高評価される理由が分からない。



 その場にいたみんなが凍りついたように思考停止に陥った刹那、

「おお~い!

 1年D組のみんな、元気か?」

とひょっこり現れた3年D組の汐路先輩。

 ラグビー部の元部長であり、昨日の体育祭ではともに戦ったD組ブロックの団長だ。

 桑村先輩の後ろでこちらに向けてサポーターを着けた右手を振っている。



 一緒に観劇ってことは、あのふたりって、もしかして付き合ってるの?

 そんな疑問が脳裏を過ぎったが、汐路団長の後方からもう一人の長身の男子生徒が現れたことで、さらに思考が混乱する。

 客席の女子生徒が声を上げる。



 確かあの人って、、、。


 確認するために下手の舞台袖の方を見ると、やはり大町くんが最敬礼をしている。


 やはりあの人はバスケ部の前の部長だった先輩だ。確か県の選抜メンバーにも選ばれたこともある凄い選手だと大町くんが以前に熱く語ってたのを覚えている。



 

 桑村先輩は教室内を見回すと、このクラス演劇の責任者が川上くんであることを見抜いたのか、川上くんに向かって

「部長連の巡回です。

 本来ならクラス発表は私たちの管轄外ですが、汐路くんからこのクラスの教室演劇が学校内で一番人が集まるはずだと聞いたので、通りがかったついでに立ち寄らせてもらいました。

 なるほど、初回から満員御礼ですね。

 キャパシティー以上にお客さんを入れすぎてトラブルを起こさないようにくれぐれも気を付けて下さい」

 そう要件を伝えた。


 そして、私たち1年D組のキャストやスタッフと客席の生徒たちに向かって

「皆さん、文化祭を楽しんで下さい」

と声をかけると、汐路団長とバスケ部の先輩を引き連れて教室を後にした。

 キリッとした表情は終始崩さなかった。




 桑村先輩は部長連絡会議、通称・部長連の代表で学校内の全ての部活を束ねる地位にいる。

 生徒会長・自治会長と並び、校内で最も偉い3人の学生のうちのひとりである。


 演劇部という文化部の部長でありながら、しかも女子生徒でありながら、学内で最も有力な運動部である男子バスケットボール部とラグビー部の元部長を従えての堂々たる巡回。

 あの美貌の奥にある心の強さがその毅然とした風姿から窺い知れた。




 そんな桑村先輩から直接話しかけられた川上くんはしばらくボーッとした後、自らの頬を両手で叩いて気合を入れ直すと、会場係の生徒が両腕で丸を作って「OK」とサインを出しているのを確認した後、

「それでは俺たちの舞台を始めよう」

とみんなに号令をかけた。


 


 すでに窓には暗幕カーテンがかけられているので、川上くんの合図で照明係が灯りを消すと、舞台が暗転した。


 場内にいかにも「これから物語が始まりますよ」と語りかけてくるような優しい旋律が流れ出す。

 この選曲は、アニメの劇伴音楽が好きな遠見(とおみ)有希さんによるもの。



 舞台に照明が付き、井上探偵事務所の室内が照らされる。


 上手側にいかにも職場の偉い人が座ってそうな大きな机があり、その奥の椅子にこの探偵事務所の所長・井上を演じる上田くんが座っていて、大きく背伸びをする。

 井上の服装は人気ゲーム「SPEEDY HEDGEHOG」の黒いTシャツを着ていて、外見上は全く偉そうには見えない。机に隠れて見えないが下は7部丈のグリーンの迷彩柄のカーゴパンツと白いデッキシューズの裸足履き。脛には何箇所か絆創膏が貼ってある。

 衣装は羽村(はむら)浩美さんが担当していて、Tシャツは16プラネッツというアニメやゲームのTシャツを専門にしているブランドのものだ。


 ちなみに舞台監督の川上くんと演出助手の私にも羽村さんが選んだTシャツが渡されていて、せっかくなのでふたりとも今日はそのTシャツを着ている。




 井上の最初の台詞で劇が始まる。

「求人雑誌で募集をしてもう1週間だよ、和久井くん。

 世のため人のために働きたいと志す者はひとりもいないのかなあ」


 上田くん、ちゃんと台詞を言えてる。少し早口だけどね。

 緊張してるんだな。




 井上の大きな机の隣には、いかにも「事務員向け」といった地味な見た目の小さな机があり、その上には固定電話が置かれてある。

 その席に座っているのが、現在舞台上にいるもう一人の役者のひかりちゃんが演じる秘書の和久井。

 「全米クイズトラベル」という昔のクイズ番組に出てきた「日本帰国」というプラカードのロゴがあしらわれた白いTシャツを着ている。この机は脚の間から下が見えるので、ひかりちゃんがスキニーな黒いパンツと白いシンプルなスニーカーを履いているのも見える。



「焦っても仕方ありませんよ、所長。

 この不景気ですから、なんでもやります!って気合いの入った人がきっと来てくれますよ」

と和久井が答える。


 うん、大丈夫。

 流石はひかりちゃん。

 クイズ戦士は今日も抜群の安定感。



 しばらくふたりの雑談が続く。

 



 すると、ピンポーンと呼び鈴が鳴る。


 インターホンに向かって

「はい、井上探偵事務所です」

と和久井が出ると、男性の声で

「あのー、求人広告を見て面接に参りました。

 生憎、携帯電話が故障してしまいまして今は修理に出しており、前もってご連絡することができず、突然の訪問となりまして大変申し訳ございません。

 もしもご都合が悪いようでしたら、また出直しますので、ご都合のよろしいお時間を教えていただければ幸いです」

とのっそり話す声が聞こえる。


 和久井は井上にアイコンタクトをする。

 井上は黙って頷く。



「はい。採用の面接にいらっしゃった方ですね。

 どうぞお入り下さい。

 今開けますね」

と話すと和久井はインターホンの脇にあるスイッチを押す。


 ガチャっという効果音がして、ドアの鍵が開いたことを表す。

 するとゆっくりと下手端にあるドアの部が回って大男がゆっくりとした足取りで室内に入ってくる。


 場内に児童向けアニメでBGMとして使われるような呑気な感じのゆったりした曲が流れる。


 大町くんが演じる江神(えがみ)だ。

 アニメ「Destiny The Origin」のキャラクターである騎士王が大きなバイクに乗っているグレーのTシャツにデニムのパンツ、そしてゴツゴツした黒いスニーカーを履いている。


 お目当ての大町くんの登場に

「きゃっ」

と小さな声を上げる女子生徒たちもいるが、大町くんが着ているTシャツに描かれた騎士王というキャラクターが黒いスーツを着た可愛らしい女の子なので、そのギャップにクスクスっと笑ってしまっている子もいる。



 開演前は緊張していた大町くんなので、いつでも台詞を伝えられるように準備していたのだが

「今日は、突然お邪魔いたしまして、申し訳ございません。

 探偵助手として雇っていただきたく面談に参りました。江神と申します。

 よろしくお願いします」

と舞台上での最初の台詞は演出通りにゆっくりとだがスムーズに出た。


 流石は大町くん、本番に強い。



 井上は江神に駆け寄ると、両肩を叩き、

「君はいい体をしているね。

 何かスポーツでもやってたの?」

と嬉しそうに尋ねる。


 緊張した面持ちの江神が

「スポーツと言いますか、実は以前、」

とゆっくり話し始めた、まさにその時、ピンポーンと呼び鈴が再び鳴る。



「江神さん、少しお待ち下さい。

 珍しいね、来客が続くなんて」

と江神を制して、和久井がインターホンに向かう。


「はい。井上探偵事務所です」

と和久井が答えると今度は女性の声で

「井上探偵事務所さんで雇っていただきたく参りました。

 倉田と申します。

 お電話では自分の熱い情熱をお伝えしきれないと判断し、直接お邪魔しました。

 まだ探偵助手の募集には間に合っておりますでしょうか?

 よろしくお願いします」

とハキハキと答える声がする。



 客席では

「小海さんだ」

と期待する声がする。



 和久井はやや困った顔で井上の方を見る。

 井上は江神の肩や腕を触って体格の良さを確かめて満足げな顔をしている。


「所長!どうしますか?

 採用希望者がもうひとりいらっしゃってますけど!」

と和久井は声を上げる。


 井上は首をひねりながらも

「そうだなあ。

 この江神くんのフィジカルは文句なしに合格点だが、まだ何も話が聞けてない。

 それに、わざわざ面接に来てくれたもうひとりの方を邪険に扱うのも私のポリシーに反する。

 和久井くん、その方にも入ってもらっちゃっていいよ」

と右手でサムズアップして答える。


「では開けますね」

と和久井がオートロックを解除すると、ドアがパーンと開け放たれて小海さんが演じる倉田が登場する。


 場内に主人公登場!とばかりに元気のいい音楽が流れる。



 倉田はアニメ「学園都市の電撃使い(エレクトロマスター)」のライトブルーのTシャツとグレーの短いスカートとクリーム色の短パン、ブラウンのスニーカーという出で立ちであった。



 小海さんのファンの子たちのざわつく声が聞こえる。

 大方の予想に反してミニスカートでの登場だったので男子生徒たちが喜んでいる姿も目に浮かぶ。



 事務所内に入ると、倉田は江神には目もくれず、井上に向かっていきその手をしっかり握ると

「自分は倉田と言います。

 なんでもやります!

 是非とも、井上先生のもとで働かせて下さい!

 お願いします」

としきりに頭を下げる。


 うん、小海さんも大丈夫。流石の強心臓だ。

 いつもの彼女の元気な姿が演じている倉田に乗り移っているみたい。



 井上は倉田のあまりの押しの強さに驚くが、嬉しそうに

「井上先生かあ、、、いい響きだ」

とこぼす。



 和久井は井上と倉田の間に割って入ると

「立ち話もなんですから、江神さんも倉田さんも所長も、まずはいったん座りましょう」

 そう言って、3人を舞台の真ん中よりやや下手側にあるソファーに誘う。


 再三登場しているドアもソファーも井上と和久井の机も大道具係のみんなの力作だ。




 すると、ようやく江神の存在に気がついた倉田が

「この方も探偵の先生ですか。

 初めまして。自分は倉田と申します。

 なんでもやりますので、よろしくお願いします」

と早合点して江神に挨拶をし始める。


 すると、江神は

「いえいえ、僕は、、、」

と言いかけるが、それを遮って倉田は

「先輩のためならたとえ火の中水の中、自分、体張りますんでよろしくお願いします」

と笑顔でVサインをしている。


 小海さんのVサインは昨日の体育祭で何度も見たが、この人ほど笑顔とVサインが似合う人はいないのではないだろうか?




 和久井の勧めで全員ソファーに座る。


 来客用の上座のふたりがけソファーに腰を下ろす江神と倉田。

 そのふたりと向かい合わせに座る井上と和久井。


 不思議そうに江神を見る倉田だが、井上が

「江神さん、倉田さん、我が井上探偵事務所の募集に応じてくださってありがとうございます」

と来客ふたりに挨拶をすると、とりあえず江神とともに頭を下げる。


「それで、せっかく御二方に事務所まで足を運んでいただいたのですが、求人広告にもありました通り、今回の募集人員は1名だけです。

 ですので、おふたりの両方を採用するわけにはいきません」

 井上はやや苦々しい表情で事実を伝える。



 すると倉田は

「え?この人は探偵の先輩じゃないんですか?

 探偵助手の候補者なんですか?

 じゃあもう決まりじゃないですか!

 自分にしましょう、井上先生。

 さっきから何も喋らないこんな『ウドの大木』なんかよりも自分の方がずっとお役に立ちますよ。

 こう見えて、自分は空手三段なんです。

 荒事だってこなして見せます!オッス!

 よろしくお願いします」

と身を乗り出して井上に迫る。


 江神は黙っている。


 井上は嬉しそうに

「倉田さんは空手の有段者なのかね!

 へえ~、人は見た目で判断できないね。

 実はね、私もこう見えて空手を嗜んでいるんだよ。

 とうー!やー!」

と空手の突きや手刀をするマネをする。

 そして、テーブルに右手をぶつけてしまい大袈裟に痛がる。


「所長が習ってるのは通信制空手じゃないですか。

 本物の有段者の倉田さんを自分と一緒にしちゃ失礼ですよ」

と和久井が突っ込む。


「いてててて。血が出ちゃった。

 和久井くん、絆創膏をちょうだい」

と右手を押さえながら苦悶の表情で井上は和久井に頼む。


 和久井は自分の机に行き、絆創膏を取って来て、井上の右手に貼ると、痛めた井上の右手の上で両手の人差し指をくるくるっと回しながら

「痛いの痛いの、飛んでけ~」

と言うと、回していた両手の人差し指を同時に天に向けておまじないをかける。



 真っ赤な顔をした井上は

「和久井くん、手はめっちゃ痛いんだけど、お客さんの前では、流石に、やめてくれないか。

 恥ずかしいよ」

とトーンを落としながら愚痴る。



 客席からクスッと笑い声が漏れる。

 


 すると倉田は

「井上先生、通信制でも空手家は空手家です。

 空手家同士、一緒に頑張っていきましょう!

 これからは自分も一緒に『痛いの痛いの、飛んでけ~』を和久井さんと一緒にしますから鬼に金棒です」

と謎のアピールをし始める。




 その後も、倉田の猛烈なアピールが続き、江神は何も話させてもらえない。


 倉田が江神が話そうとするのを遮るたびに、江神役の大町くんのファンであろう女子生徒のため息が漏れる。



 大丈夫だよ、終盤に「怒涛の長台詞」という見せ場があるからね。

 見ず知らずの大町くんファンの皆さんを私は心の中で勇気づける。



 お芝居の出来はまだまだ不安定。


 上田くんが台詞を忘れると、ひかりちゃんが毎回

「所長!」

と強めに言ってくれるのでそれを合図に私が上田くんの台詞を小声で伝えて芝居が続く。


 終盤まで台詞の少ない大町くんは時々立ち位置を間違えたりするけど、小海さんが

「あんたはこっちでしょ」

と倉田の強気なキャラを利用して修正してくれる。


 小海さんが台詞を一つ、二つ飛ばしてしまうと今度は上田くんがそれに合わせてその続きを演じてくれる。幸いなことに話の筋が分からなくなるような大きなミスではない。厳密にいえば台詞の省略になってしまうので自分の脚本を大切にされる原作者の津川マモル先生には申し訳ないのだが、何せ素人の高校生が演じる舞台の初演である。きっと許してくれると思う。


 そんな風に、舞台上の4人と黒子役の私が力を合わせてなんとか中盤の見せ場である江神と倉田の三番勝負も無事に演じ切った。

 特に井上と倉田が舞台上で所狭しと暴れ回ったのを観て客席が沸いた。


 そして舞台は終盤を迎えた。


 


 倉田は江神との三番勝負には敗れたもののがむしゃらな猛アピールが実り、江神には

「今回の採用者を倉田さんに決めました。

 江神さん、残念ながらあなたを雇うことはできません。

 今回はご縁がなかったということで」

という決定事項が井上から伝えられる。

 江神は静かに

「そうですか。

 仕方ありませんね。

 どうもありがとうございました」

と深々とお辞儀をしてのそりのそりと事務所を後にしようとする。


 和久井は自分の机から契約書や各種約款についての書類を持ってきて倉田に渡し、ソファに腰掛けたままの井上と倉田は具体的な雇用条件や明日からの勤務体制について話し始めた。


 和久井は井上から指示を受けて

「せめてお足代に」

といくらか包んだ封筒を江神に渡そうとするが、江神は決して受け取ろうとしない。

 江神と和久井が封筒を巡って揉めている途中で一本の電話が入る。


 ちょうど和久井の机の近くに立っていた江神がゆっくりと電話へ向かった歩いて行き迷わず受話器を取る。




 そこから江神の見せ場であるほぼ一人芝居と言っていい怒涛の長台詞が始まる。


 和久井の机の上にある固定電話は舞台の中央よりやや上手側にあるので私の低い声でも電話口にいる江神のもとへは十分届くと思う。



 電話に出た江神が

「はい、井上探偵事務所です。

 え?

 はい?」

と怪訝そうな顔をする。


 どうやら井上に大金を要求する脅迫電話のようだ。

 アイコンタクトで井上に確認するが身に覚えはない、とのこと。


 そんな電話相手に井上が不在であると伝え、丁寧に応対する江神。

 とっさに嘘をついて井上を助ける、機転の効く男だということが劇の終盤でようやく明らかにされる。


 それでもなお大金を要求し続け、井上がいないなら江神に自分でお金を用意して持って来いと相手は命令する。

 


 江神は、受話器を耳から外し、受話器を指差し、うるさく言われているような仕草をする。



 私は大町くんから

「受話器から耳を外しての演技が入るとどうしても台詞が途切れてしまい、次の台詞が出てこなくなりやすい。

 受話器から耳を外した後、台詞を続けるために助け舟を出して欲しい」

と頼まれていたので、稽古の時も毎回、台詞の出だしを伝えていた。


 本番の舞台でもこのサポートは続ける。

 大町くんはそれに応えて間違えずに長台詞を喋り続けている。



 芝居は続く。


 江神が「後日、井上が戻ってきてから連絡をする」と伝えても話の通じる相手ではなく取り合ってもらえない。


 それでもあくまで丁寧な応対を続ける江神。



 しかしながら、相手の脅迫は続くようで、江神は再び受話器を耳から外し、受話器を指差し、うるさく言われているような仕草をする。


 私は2回目の台詞中断時にも当然、サポートをする。

 スムーズに長台詞に戻った大町くんは台詞を噛まない。凄い。


 そして、度が過ぎる傲慢な相手の要求に温厚な江神もついにキレた。



 今までの穏やかでゆったりとした口調から一転、低くドスの効いた声で

「おい、いい加減にしろ。

 黙って聞いてりゃ、いい気になりやがって!

 お前、誰にものを言ってんだ?

 俺は、泣く子も黙る『仏の江神』だぞ」

と逆襲が始まる。


 一人称が「僕」から「俺」に変わり、彼の過去が語られる。



 客席から「キャッ」と悲鳴に近い声が上がる。

 そりゃそうだ。

 あの大町くんがいきなりキレ出したらファンの子たちだって驚くよね。

 私も初めてキャスト陣と一緒に台本の読み合わせをした時に、川上くんからの「もっとだ。もっと怖く、もっと怖く」という厳しい演技指導を受けてどんどん大町くんの口調が激しく強くなっていく様を見た時には背中に寒いものが走った記憶がある。

 

 この人は絶対に怒らせちゃダメだな、って心から思った。




 舞台上では江神の逆襲が続く。 

「ま~だ、ごちゃごちゃ言ってるのか!

 ちょっと待て、お前じゃ(らち)があかん。

 お前んところの(かしら)と電話を代わってくれ。

 はあ?

 早く代われよ。

 優しく言っているうちに代わっておいた方が身のためだぞ?」

 ついには恐らく怖い組織の構成員と思われる通話相手の上の人まで電話口に呼びつけた。


 電話相手が変わるまで、しばし間が開くので私はまた台詞を伝えてサポートする。

 


 電話相手が偉い人に変わると江神の声色が元の穏やかなものに戻る。

「はい、もしもし、あなた様がそちらの上司の方ですか。

 どうもすみません。

 私は井上探偵事務所のしがない見習いでございます」



 客席から安堵の声が漏れる。

 いつもの穏やかな大町くん、お帰りなさい。



 そのまま穏やかな口調で相手の上司の偉い人まで撃退した江神が受話器を置き、怒涛の長台詞が終わる。

 舞台上の上田くん、ひかりちゃん、小海さんがホッとしているのが伝わる。

 それでも大町くんはいつもの仏頂面のまま演技を続ける。



 すでに井上から「今回は採用しない」と通告を受けている江神は井上、和久井、倉田に会釈をしてから黙ったまま井上探偵事務所を去ろうとする。


 江神が出口のドアノブに手をかけた瞬間。


 井上が江神にすがりつき引き止める。

「ちょっと、待って!、ください、江神く、、、さん。

 相手の名前の鈴木一郎って、、、それ、絶対に、、偽名だし、

 謝れとか金払えとか、、詐欺だし、

 相手、絶対、、マジで怖い人だし。


 そんなの撃退しちゃうとか、、、俺よりすげえし!

 はい、わかりました。

 あなたも採用です!

 いや、お願いします。

 ぜひここで働いてください!」


 井上は改めて深々とお辞儀をする。


 江神は茫然とした表情のまま無言でそんな井上を見つめる。


 

 そのまま暗転し、終幕となる。




 真っ暗な教室にしばらく静寂が続く。

 そのわずかな時間が私にとってはとてつもなく長い時間に感じられた。

 え?私たちのお芝居はダメだったの?

 こんなに頑張ったのに!

 悲しくて涙がこみ上げて来た。





 すると、客席からパラパラと拍手が起こり始め、その音の波がだんだんと広がって圧を増し、教室内に溢れんばかりの拍手が鳴り響くまでになった。


 「よかったよ~!」

 「ブラァーボー!」

 「すげえ」


 称賛する声も聞こえて来た。


 私は今度は嬉しくてあふれる涙を堪え切れなかった。




 舞台に灯りが灯った。


 下手からひかりちゃん、小海さん、大町くん、上田くんが次々と登場してお客さんたちにお辞儀をしてカーテンコールをした。

 演者4人で手を繋いでもう一度揃ってお辞儀をして下手に下がると、アンコールの声が続いた。


 もう一度、4人が手を繋ぎながら登場すると、一番上手側にいたひかりちゃんが私の右手を引っ張って

「景ちゃんも一緒に」

と笑顔で声をかけてくれた。

 私は左手で涙を拭いながら舞台に上がると演者のみんなと一緒にはちきれんばかりの拍手喝采を浴びた。


 その様子を舞台写真を担当している高岡さんがカメラに収めている姿が客席に見えた。

 涙脆い高岡さんのことだ、きっと私と同様に目には涙が滲んでいるのだろう。



 しばらくして拍手が止むと、上田くんが

「最後に我らが舞台監督にも皆さんの大きな拍手をお願いします」

と教室の後方を指差すと、教室に灯りがつき、腕組みをしながら舞台を見ていた川上くんがお客さんたちの視線を受けた。


 川上くんは何も言わず、ただ深々とお辞儀をしていた。

 喜んだそぶりも見せず、無言のままお客さんたちにただただ謝意を伝えていた。


 きっと川上くんは「うちのクラスの舞台はまだまだ未完成だからこれからもっと良くなるよ、まだまだ笑ってなんていられない」と気を引き締めているのだろう。



 

 少し時間が押していたので、会場係から

「第一回公演はこれにて終了です。

 どうもありがとうございました。

 第二回公演の開場は15分後の10時50分からです。

 次の公演もよろしくお願いします。

 もしも気に入ってくれた方は、プチ・グランプリの投票の方もよろしくお願いします」

というご案内が入った。




 予定では1回目の公演は9時開場で9時10分開演、劇の長さが1時間15分くらいだから、10時25分には終演予定であったはずだが、思った以上の客の入りで入場者の整理に手間取り、開演が5分遅れた。上演時間も若干伸びてしまって、終演時間が10時35分になってしまった。

 なんとか午前に2回、午後に2回の公演をこなしてたくさんの人に舞台を観てもらいたい、というのがクラスのみんなの希望だった。それ故に本編が1時間15分と長めのこの作品を選んだ時点で覚悟はしていたのだが。わずかな休憩を挟んでの連続公演となる。

 演者は大変だ。

 いや、舞台に上がる者だけじゃない、照明係や音響係や会場係も忙しい。

 先が思いやられる、と私は若干嘆いた。




 それでも演者や周りのスタッフの表情は明るい。

 運動部員である大町くん、上田くん、小海さんは当然ながらまだまだ元気いっぱいだし、クイズ研究部のひかりちゃんも笑顔で汗を拭っている。


 お客さんが全員教室を出て行かれるのを見送った後すぐに、舞台上に演者4人と川上くんと私が集まり、次の公演に向けてのミーティングが始まった。

 誰も初回の演技に満足していないので全員が意見を出し合ってディスカッションしている。

 川上くんからの指導ポイントは台詞や立ち位置のミスの修正ではなく、さらに「このシーンはこういう風に変えた方が良い」とか「芝居の間をもう少しテンポ良く、速くしていこう」といったさらなる高みを目指すためのものであった。やはり演劇は実際に舞台にかけてこそ磨かれる。その基本を全員が理解しているのだ。


 文化祭では1年生と2年生がクラスで演劇を披露する。


 2年生が文化祭2日目と3日目に体育館で上演するクラス演劇は在校生と一般の来客の皆様の投票によって高い得票数を獲得した3クラスが選ばれ、文化祭4日目のファイナル・ステージに残る。

 その投票用紙は、体育館に来場される方に上演ごとに配布されて、鑑賞した舞台が面白ければ投票用紙に丸をつけて終演後に投票箱へ投票するルールになっている。


 ファイナル・ステージでは全校生徒の前で3クラスが舞台を上演し、各々の生徒が持っている一票を最も良かったと判断する作品に投票し、その投票結果によってグランプリが決まる。



 一方、1年生が教室で行う小劇場演劇は、文化祭のパンフレットの1ページがそのまま投票用紙になっており、それを破ってクラス名を記入して各会場で投票する。パンフレットを配布されている暁月高校の在校生、もしくはパンフレットをご購入いただいた一般の来客者に一人一票ずつ与えられる。文化祭1日目から3日目までの3日間で最も票を集めたクラスが通称「プチ・グランプリ」と呼ばれるテアトル大賞を受賞する。

 もちろん、在校生がパンフレットを複数冊購入して大量の票を自分のクラスに投票すれば票数は増せるが、そのような不正が発覚した時にはそのクラスは失格になる。それに、あくまで1年生の演劇の目的は2年生の文化祭での舞台演劇へ向けた経験を積むことであるので、自腹を切って不正までしてテアトル大賞を取りたいと思うような生徒は皆無である。実際、暁月高校の文化祭が現在のような運営方法になってから誰ひとりとしてそのような不正を行ってはいない。


 テアトル大賞を決める上で大事なポイントは2つ。

 まずは、最初から一人一票しか持っていない点。

 そして、本番1回勝負の2年生の演劇と違って1年生の教室演劇はクラスによって上演回数や客席の数が異なる点である。


 1つ目のポイントについては、観てくれたお客さんがどの演劇に投票するかはお客さんの判断に委ねられるので、クラス側は少しでも良い舞台を作り上げることに専念するしかない。


 2つ目のポイントについてはクラスごとの企画の立て方次第で調整できる。


 等しく同じ大きさの教室を舞台と客席に割り振るため、舞台面積を広く設定すれば、客席に利用できるスペースは減る。舞台が狭くても上演できる作品であれば、舞台を狭く設計してその分だけ客席を増やすことができる。


 また、劇の上演時間が短ければ、上演回数を増やすことが出来る。

  教室を締め切って上演するので原則的に途中入場ができないため、上演回数が多ければ、その劇を観たいと思っている学内の生徒が実際に観劇できる機会も増えるし、入場機会も増えるため通りすがりの一般客が観てくれることも増える。


 実際に舞台本編の長さが45分から50分の作品を選んでいるクラスが多く、1日に5~6公演も上演できるスケジュールを立てているのが普通だ。そうやってうまく上演スケジュールを組み、お客さんを増やすのは立派な戦略だ。



 それに対して、私たち1年D組はこの「Round Bound Wound」という作品を上演すると選んだ時点から1公演が1時間15分と長いこと、演者が舞台狭しと暴れ回るドタバタコメディーなので舞台には十分な広さが必要とされること、この2つのデメリットは受け入れざるを得なかった。


 そもそもが川上くんを中心に「面白そうな舞台だから上演しよう!」と挑んだ作品なのでテアトル大賞を狙うことが本来の目的ではないはずだ。でも、ここまで頑張ったのだからついつい欲が出る。


 その辺りの目論見については川上くんや4人の演者と一度も話し合ったことはない。不利だから、と最初から諦めている訳ではなく、みんな全力で「お客さんに素晴らしい舞台を観てもらおう」というただその一念で頑張っているからだ。




 初回公演の後のカーテンコールでの演者たちの笑顔、笑顔を封印した川上くんの真剣な演技指導を観ていて、私は心のどこかで逆説的に手段と目的が逆転しがちな「学校祭での賞レース」の虚しさを痛感したのかも知れない。


 今回、実際に上演してみて得られた何よりの褒賞は教室内に鳴り響いたはちきれんばかりの拍手と称賛の声。

 あの瞬間を体験したおかげで、私は暑い夏休みの間に毎日のように登校して稽古に参加したあの頑張りが全て報われたような気すらした。




 嬉しかったのはそれだけではない。

 会場係の生徒が意外な知らせを伝えてくれた。


 まだ初回公演の上演であるというのに、テアトル大賞の投票用紙に「1年D組」と記入して票を投じてくれた生徒が結構な人数いたのである。

 もしかしたら単に大町くんや小海さんのファン、上田くんやひかりちゃんの友人たちによる投票だったかも知れないし、あまり演劇に興味がない生徒がたまたまひとつだけ観た舞台に票を投じてくれたのかも知れないけれど、それでも自分のたった一票しかない権利をうちのクラスの舞台の応援のために行使してくれたのである。嬉しくないわけがない。


 あまり感情を表に出さない大町くんが珍しく拳を握り締めて喜んでいる。

 その思いはみんなも一緒だよ。

 私はまた涙を流した。




 涙に濡れた顔を洗って教室に戻ると、まだ川上くんの演技指導は続いている。

 大町くんはどこからか取り出したおにぎりを急いで食べながら真剣に頷いている。


 私を見つけると、笑顔でこう言った。

「井沢さん、次も頼むよ、プロンプター。

 井沢さんだけが頼りだから」


 私も満面の笑みで請け負う。

「分かったよ。任せといて」



 上田くんもひかりちゃんも小海さんも長いお芝居の後で若干息が上がっているのも構わず川上くんの助言を聞き、自分の中で反芻しているようであった。


 周りには照明係、音響係、会場係の生徒も集まり、舞台監督の演出プランの変更点を聞き漏らすまいと真剣だ。


 川上くんに頼まれて軽い気持ちで引き受けた演出助手だけど、気付けば自分が要石になってしまって責任重大で辛いと思ったり、万が一、演者に予期せぬトラブルが起きた場合には代役で舞台に立たなければならないという一抹の不安が常に拭えなかったりでこれまで気の休まる時はなかった。


 それでもこんなに頼りになる仲間が一緒ならば私だってどんな困難にでも立ち向かっていけそうな気がして来た。

 生来あまり楽観主義ではない私にそう思わしめたのは、うちのクラスのみんなの熱気だけじゃなくて、文化祭の空気そのものが持つ、人の心を高揚させる効果がなせる技だったのだろう。



 とはいえ、まだまだ長丁場の文化祭の初日の初回公演が終わったばかりなのだ。

 まだまだ先は長い。私はオーバーペースになって道半ばで力尽きないよう自らの(はや)る心に少しだけ制止をかけた。




(続く)

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