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弟が作った世界でハーレム人生   作者: 永遠の28さい
◆第六章◆ 背信の半神少女
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11 背信の半神少女

もう、最近忙しすぎて全然執筆ができません。

遅くなりました。



部屋中に怒号が飛び交う。


膝をつき、頭を垂れる俺に浴びせる暴言。今にも斬りかからんと槍を構える女性騎士。突き刺すような冷たい視線。


 そのどれにも俺は屈せず、3族長からの返答を待つ。


 やがて、ナイチンゲール殿が手を上げて周りを制し、室内は静まり返った。


「…我ら半神族は至高なる種族。他種族の好奇の目に晒すようなことなどできぬ!」


 半人半馬族のウェイント殿が怒りを露わにして声を荒げた。先ほどまで敬意を表していたのにころころと態度を変える奴だ。こういう奴は信用できない。

 だが思うところはあっても俺はじっと耐えていた。


「エルバード殿に問います。なぜ半神族の奴隷を欲すのか?」


 ナイチンゲールの問いは俺の癇に障った。

 俺が欲しいのは“半神族の奴隷”ではない。“アンナ”だ。


「…恐れ入りますが、私は半神族の奴隷を求めているのではございません。他種族の為に己を犠牲にし、涙まで流したアンネローゼを求めております。彼女以外の奴隷は必要ありません。」


 場の雰囲気がまた変わる。ひそひそと俺の表情を伺いながら会話をしている。なんとでも言え。俺は信念に基づいてアンナを手に入れようとしているのだ。


「彼女は確かに一族を裏切り、敵に情報を送り、私を殺そうとしました。…しかしそれは彼女がこれしか選択肢がなかった故に選んだ行動結果。それによって、残りの人生を全て半神族の観点で設けられた奴隷として過ごさせるのは誠に残念でなりません。…ならば私の奴隷となり、ヒト族の法に基づいた奴隷として生を全うさせたい。そう願った次第であります。」


 辺りは静まり返った。


 半神族の奴隷。それは、もはや人とはみなされていない。ごみの様に扱われ、傷つけられても文句も言えず、解放されることは決してありえない。

 故に半神族は奴隷を蔑み、モノとして扱い、命を落としても何も感じない。


 だが、ヒト族の奴隷は違う。法の名の下に人としての保証はされている。最下層ではあるが権利があるのだ。だからアンナを俺の奴隷としてその身を置かせたいのだ。


 俺は真剣な眼差しをカーテリーナ殿に向けた。戦乙女族の元族長は困惑した表情で固まっていた。ナイチンゲール殿がそれを見てくすりと微笑んだ。


「エルバード殿。私は貴方が羨ましいと思う。誰に仕えるわけでもなく、自由な意思を持ち、それ故我々では決断できない内容でも簡単に行動できる…。だからこそアンネローゼちゃんのことも、エルティスケース様のことも…。」


 ナイチンゲール殿は周りを見渡した。

 その目はある決意を持って、他の者に異論を唱えさせないという意思表示を示している。


「あなたへの褒美として、奴隷のアンネローゼを与えます。しかし、解放・転売することは認めません。そして貴方が命を落とすようなことがあれば、即座に自決することを強要させます。…これでいいですか?」


 俺は片膝をついて一礼した。








 オルフェンスの街であてがわれた宿に戻った俺たちは、事の顛末をみんなに報告した。

 サラは安心した様子で笑顔を見せ、フォンは何気に不満顔。エフィが意地悪な笑顔を向けてるし、ウルチは困惑している。カミラはよくわかってないくせに喜んでるし、ヨーコはため息をついていた。

 そして俺はファティナ様とアリア殿の部屋に呼ばれた。


「…今後の事について確認したいと思います。」


 当然のことだが、ヒト族の代表として四ノ島に来ている以上、どうするのかを確認するために呼び出されたのだ。

 まあ、俺の答えは決まっているのだが。


「半神族とヒト族でお互いに大使を出し合うように交渉します。それも短期で。」


 まあ、人質と思われても構わない。要はヒト族と半神族は同盟したと各国に思わせることが目的だ。短期にしたのは、その方が交渉しやすいと思ったから。これで王都に出向した半神族の大使がヒト族の生活を見てどう思うかは俺にもわからん。だが、半神族が外の世界に目を向けるきっかけとなってほしいという想いだ。

 そのことを説明して、男爵様は納得したように肯いていた。


「…ならば、ヒト族の初代大使は私が立候補しましょう。そのほうが半神族も安心するでしょう。」


 その言葉にアリア殿が姿勢を正す。


「ならば、私も御館様にお供します。」


「…いえ、貴方には別の任務をお願いします。」


「え?」


 アリア殿は主の意外な返答に呆けた表情で固まってしまった。


「…アリア殿。貴女にはエルバード殿に随行する任務を与えます。」


「な!?し、しかし!」


「最後まで聞きなさい。この後一行は五ノ島、六ノ島へと渡り、この周回船の寄港許可を貰うための交渉を行います。魔人族、竜人族との交渉です。それはヒト族としても初の試み。その一部始終を貴女が見て、経験して、そこで得たもの全てを持ち帰ってほしいのです。」


 ファティナ様の言葉にアリア殿は目を潤ませる。

 なるほど。俺について行けば、今回の様に他では得られないような出来事に巻き込まれるだろう。そこで得た知識は恐らく宮廷内でも大いに役に立つ。


 …だがなぁ。


「エルバード殿。彼女をお頼みしたい。」


 静かに頭を下げる男爵様を一瞥し、視線を逸らせる。俺は返事を保留にした。


「副使のフェルエル殿と相談したうえで回答いたします。」







 ガシャン!


 重い鉄格子の扉が開けられる。


 衛兵が俺を案内し、俺は牢屋の中に入った。中には、吊るされて身動き一つしないアンネローゼ。

 床には彼女の乾いた血溜まりがある。

 牢屋の外では、ナイチンゲール殿とカーテリーナ殿、そして衛兵が2名、俺を見張っている。


 俺はアンナに近づいた。


 牢屋の扉が開けられる音で目を覚ましていたアンナは腫れた瞼の隙間からかろうじて俺の顔を見た。俺は彼女の目から見える位置に立って微笑む。


「……その顔であれば、私の願いは叶ったと思って良いのか?」


「…ああ。確かにエルティスケース殿は救出した。…だが、彼の封印を解いたことで、それまでのお前の弟としての記憶は失われたそうだ。」


「…構わないわ。あの子が無事なら私はそれで良い。もう思い残すことはない。」


 目を閉じて彼女は沈黙した。それは彼女が自分の死を受け入れたことを意味している。


 俺はアンナの顔に触れた。



 殴られて隙間なくはれ上がった顔面。それにやさしく触れる。


「ぐっ!!」


 激痛が走ったのか、苦悶の表情で声をあげた。だが…。



 アンナの顔は前の美しい顔に戻った。


 牢屋の外で族長と元族長が目を見張った。…そりゃそうだ。俺にしかできないスキル【傷治療】だ。おそらく初めて見るだろうよ。

 俺は全身を隈なく触れていき、彼女の傷だらけだった体を治療していく。アンナは痛みで声を漏らすがそれでも構わず治療を続けた。


 そして天井から吊るしている縄を切り、アンナを床に降ろす。両手両足に刺し込まれた太い釘をゆっくりと抜き、治療をする。


 やがて彼女は全身綺麗な体に戻った。


 俺は持ってきた衣服を彼女に渡した。

 彼女呆然とした表情で渡された服を手にしたまま、俺を見つめていた。


「服を着てくれ。でないと俺はお前のどこを見ていいのかわからない。」


 俺の言葉に自分の裸姿を確認し、手にした衣服を見て首を振った。


「これは戦乙女族の法衣。奴隷となった私が着ることなど許されぬ衣服。」


「これはナイチンゲール殿からの餞別だそうだ。」


「餞別…?」


「うん。今よりお前は私の奴隷となった。…三級騎士アンネローゼではなく、戦乙女族としての能力を封印された奴隷アンナとなったのだ。」


「…アンナ……。」


 アンナは自分の通称を呟く。


「だが、種族は半神族であることに変わりはない。その誇り失うことがないようこの法衣をくだされた。…君にはそれを着る資格があるんだよ。」


 アンナはもう一度衣服を見た。胸の部分と両肩の位置に赤い十字の意匠が施されている。細い指でその十字に触れ、今度は俺を見た。


「…お前の奴隷…。私はお前の下で何を…?」


 俺は牢屋の外を見た。壁の高い位置に小さな窓があり、そこから光が射している。


「君は俺とともに外に出る。そして世界を旅してまわる。…それだけだ。」


「それ…だけ?」


「だが、今まで四ノ島から外に出たことのないお前には刺激的だと思うよ。」


俺の言葉を聞いてアンナはじっと俺を見つめた。俺の言葉の真意を測ろうとしている。だが、俺は言葉通りのことしか考えていtない。ただアンナに外の世界で見て、聞いて、感じてほしいと思っているだけだ。



 やがてアンナは立ち上がり、手にした法衣に袖を通した。全身をすっぽりと覆いその上からベルトを腰の位置に巻く。法衣の内側に何も来ていないので、ベルトで占めると柔らかく彼女のラインが浮き出る。


 彼女はベルトを固定すると、片膝をついて俺に戦乙女族風の礼をした。


「…アンネローゼ改め、アンナと申します。御館様の命に従い、世界の果てまでついて行く行く所存にござります。ここでこの忠誠…一生変わらぬことをお約束いたします。」


 お堅い言葉だ。だが、それゆえに彼女の心が俺に向いたことも実感した。




 二人で牢屋を出て、アンナは族長と元族長に跪いた。


「わたくしめにこのような過分のご配慮、誠にありがたく…。」


「よい。私にも責任はある。本当は苦しかった。お前を奴隷に落とすことが。だが法は曲げられぬ。私はそのことを一生悔いて生きねばならぬと思っておったのだ。…だがエルバード殿がそれを和らげてくれたのだ。…私は何もできなかったのだ。」


 そう言うとカーテリーナ殿は俺に向かって頭を下げた。


「上に立つ者が易々と頭を下げるものではありません。」


 その行動をナイチンゲール殿が窘めておき、俺に対峙した。


「…オルフェンスの街で瓦礫の下から助け出された人たちの死亡率が低かったのは貴方のせいですね。」


 …いい勘してやがる。俺は視線を逸らしてにやりと笑うだけにした。それで十分通じるだろう?


「そ、そうでした。ボロボロだった私の身体を綺麗に治して頂いたのは御館様です!なんとお礼を申し上げればよいか!」


 大声で騒ぎたてるアンナの頭を俺は剣で叩いた。


「あ痛!」


「うるさい。大声でべらべらしゃべるな。」


「で、ですが!」


「俺に仕えるなら俺の能力をべらべらしゃべるな。わかったか?」


 大声で俺に怒られて、肩をすぼめてアンナは小さくなった。それをみたナイチンゲール殿がクスクスと笑う。


「早速やらかしましたね。…エルバード殿、彼女は見ての通りじゃじゃ馬ですよ。お気をつけ下さい。」


「そのようですね。しっかりと躾いたします。」


 アンナのお蔭か、ナイチンゲール殿とは和やかに会話が進んだ。そして正式にアンナを奴隷として譲渡する儀式も済んだ。




 【アンネローゼ】

 『属スキル』

  ≪命魔法.0≫

  ≪槍術≫

  ≪剣術≫

  ≪盾術≫

 『固有スキル』

  ≪十槍≫

  ≪戦乙女の誓い≫(封印)

 『呪い』

  ≪背信の十字架≫

  ≪種族封印≫




 アンナには2つの呪いが掛けられた。


 1つは種族を裏切った行為に対する呪い。これにより彼女は誰かを裏切るたびに石化が進行するそうだ。

 もう1つは戦乙女族(ヴァルキリー)としての能力を封印する呪い。これによって彼女は固有スキルを封印された。


 だが俺はそんなことは気にしない。


 俺の側には、他にも呪いを持った子がいる。1人増えようが気にするほどのことでもない。


「いくぞアンナ。俺の仲間を紹介する。」


「は!仰せのままに!」


 俺の歩調に合わせ、半歩後ろをアンナはついて行った。






 …やはり、法衣の下に何か着せるべきだったか。

 歩くたびに法衣に映りこむアンナの身体のラインが非常に艶めかしかった。












「アンナと申します。…以前は御館様始め皆様に対する非礼、お詫び申す。これで全て詫びたことにはならぬとお思いであろうが、今後の皆様へのご奉公にてご容赦を。」


 部屋に戻るなりアンナは両膝をついて頭を床に付けこれまでの行いを詫びた。

 その突然の行動に俺は硬直する。みんなも冷やかな視線を浴びせている。


 何か言ってやらねば…。


 そう思っているとエフィがトコトコと近寄ってきて、アンナの頭を叩いた。びっくりしてアンナが顔を上げたところにほっぺたをギュッと抓って引き千切るように放した。


「むぎゃ!!」


 アンナは可愛らしい悲鳴を上げた。


 エフィの行動に俺は注意をしようとした。だが…。


「…それで終わりよ。貸し借りもなし。」


「だがしかし!」


 反論しようとしたアンナをエフィは手で制す。


「アンタはこのオトコの奴隷よ。…妾たちと同じ。それで十分。」


 エフィの言葉に反応したのか、フォンがアンナに近寄った。彼女を立たせて、服の隙間から手を入れて胸やら尻やら太腿やらを触る。


「ちょ…!ちょっと!あ…。」


 アンナが何かに反応して、か細い声を上げた。フォンは構わず身体中を弄り、最後に口を開けさせて大きさを測って…。


「ご主人…合格。」


 おい!俺でもまだ彼女に触れてないんだぞ!それなのに!それに何で口の大きさを測ってんだ!ほら、ヨーコがドン引きしてるじゃんか!


 顔を赤らめ、されたことに恥じらいを感じつつもそれを堪えるような仕草をしながら、アンナはちらりと俺を見た。

 俺は咄嗟に視線を外した。そうしたら、ヨーコに思いっきり抓られた。


「ほら!ちゃんと応えてやりなさいよ!」


 いや、何を応えればいいんだよ。


 俺が、対応に戸惑っているとサラが気を利かせてあんなに話しかけた。


「アンナさん、一先ずその服ではご主人様の目の毒ですので着換えましょう。」


 そう言って奥の部屋に彼女を連れて行ってくれた。


 …何気にこっちが恥ずかしい。


「…ったく。こっちが必死で敵と戦ってたのにアンタはあの子をモノにすることを考えてたなんて…どういう神経してんのかしら?…ねえウルチ?」


 ヨーコにふられたウルチはびっくりした。


「ぼ、ぼ、僕に聞かないでください!…それに僕はご主人様に命を助けられた身です。ご恩こそあれ、それ以外の感情は……」


 言葉の最後の方はごにょごにょ言って聞き取れなかった。それを見てカミラがニッと笑った。


「ウルチ姉もナカマになる?」


 カミラの言葉はウルチの顔を真っ赤に変えて、ウルチは気恥ずかしそうに俺から少し遠ざかった。…可愛い反応だ。


 俺が赤くなったウルチをニヤニヤしながら見ていると、フォンが寄り添ってきた。


「…ご主人。…約束。」


 フォンは限りなく小さなそしていやらしい声で俺を誘惑した。





 ……う、うん。でもね、フォンちゃん。ずっとヨーコが睨んでるのよ。…そこは空気呼んでくれるかな。










 なんとかフォンをなだめて、着換え終わったアンナと対面した。

 アンナは法衣の内側に動きやすい薄手の上下を着こんでいる。さっきよりはエロさはなくなった。

 アンナは再び俺ん跪きお礼を口上し出した。…うん、毎回これではやりにくい。


「アンナ、いちいち跪くことはしなくていいから。それから口上もいちいち不要。一言“ありがとうございます”と言うだけでいいから。」


「し、しかしそれでは御館様に仕える騎士として…」


「俺はお前に“騎士”として仕えて欲しいわけじゃないんだ。」


 俺の返事を聞いてアンナは慌てふためく。


「で、では、その、性の…その…!」


 うん、言いたいことは伝わった。


「そうじゃない。俺と共に生きる、という意味だ。…彼女たちもそうだが、ただ単に奴隷としてここにいるわけではない。その全てを俺と共に、生きているんだ。だからアンナも…。」


 俺はやさしくアンナの頬に触れた。アンナは俺の言葉を噛みしめるように何度も反芻している。そして何かを理解したように小さく肯いた。


「わかり申した。これよりアンナは御館様のために、その全てを共に生きたい思います。」



 俺はアンナのこの言葉の意味を間違って解釈していた。





 翌日、各部族は重傷者を残して帰国の途に就いた。

 俺達も戦乙女族に混じり、馬車でステイピアの街へと向かった。御者は当然のごとくの表情でアンナが行っている。

 俺たちの馬車を通り過ぎる他の戦乙女族の女性騎士たちは、アンナを見て冷たい視線を送っていたが、アンナは全く気にせずひたすら前を向いて馬を操っていた。

 ウルチに聞いたら、あの女性騎士たちはアンナのことを生き残るためにヒト族に体を売った下品な女だと言っていると憤慨していた。

 …ふん。下品な女が法衣を纏えるか。戦乙女族の中には、彼女が纏う法衣の意味を理解していないようだ。…あとでナイチンゲール殿に告げ口してやろう。


 俺のレベルの低い感情とは裏腹に彼女は背筋を伸ばし、誇らしげな表情で御者を務めていた。


 途中、丘陵地帯で野営の準備をしていた時でも、俺たちの乗った馬車上で一晩中見張りをしていた。馬車に近づいてきた者には容赦なく槍を突き付けて無言の圧力で追い払っていた。


 翌日、彼女は一睡もしていないのにまた御者を平然と行っていた。大丈夫なのかと心配になるが彼女の顔色は全く変わらなかった。夕方にはステイピアの街に到着したが、それでも彼女は凛とした態度が変わらず、エフィとカミラは“鉄の女”と言っていたので後でお仕置きしておこう。


 街に到着したのが夕方のため、今日は全員帰宅し、明日の朝から領主館にて、戦勝式典やら、ヒト族との国交正常化式典やら、様々な形式行事を執り行うそうだ。

 俺達も一旦【巨蟹宮】に戻りフェルエル殿の歓迎を受けた。


 …思った通り、自分だけ取り残されたのが気に入らないようで、無言で手の平を差し出されたのだが。




 夜…。


 フォンが待ちに待った俺とのしっぽりタイム。


 だが、フォンはベッドの上で服も脱がず、チラチラと扉付近の様子を伺っていた。

 俺も、扉付近から注がれる視線が気になり、立つモノも萎んでいる。


「わ、わ、私のことなどお気になさらず、あの…始めて頂いて…結構です。」


 毅然とした態度を示そうとしながら顔を真っ赤にして視線を合さないように斜め上を見上げて答えるアンナ。




 うん、アンナは主に忠実でいようとする自分とこれから始まるハレンチな行為に慌てふためく自分とで葛藤しているようだ。


「アンナ、出て行ってくれる?」


「いや、で、ですがしかし!私は…御館様のお側を…!」


 ぎこちない回答にフォンが追い打ちをかけた。


「…見たいの?」


 ぶはっと豪快に吹き出すアンナ。そして慌てふためき身振り手振りも大きくなるアンナ。…可愛らしい。


「アンナ、こっちに来て、ここに座って。」


 俺は手招きしてベッドのすぐ側を指さす。アンナは唾を飲み込んで恐る恐る近寄り、ぺたりと座った。


「…特等席で見せてやるよ。」


 そう言って俺はフォンを引き寄せ、お互いに貪りあった。






 アンナは最初の段階で卒倒し、意識を失ってしまったようだった。






 もちろんアンナを寝室から出してサラに預けてから、フォンと楽しみましたよ。




ようやく、六章のヒロインが主人公の奴隷となりました。

6人目のヒロインで最後の一人です。

彼女は実直すぎで、かつお子ちゃまのようです。

今後の主人公とのカラミが作者自身楽しみです。


次話では、四ノ島を離れ、五の島に向かいます。…向かうはずです。


ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

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