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弟が作った世界でハーレム人生   作者: 永遠の28さい
◆第六章◆ 背信の半神少女
85/126

3 対決アンネローゼ



 空はやや灰色がかった色で地面には細かい砂。前後左右どこを見ても同じ景色で、自分の立ち位置を完全に見失ってしまうほど。

 砂を含んだ風が俺の体を巻き上げるように吹き荒れ、口を開けば砂の味を感じる。


 そんな場所に俺は立ちすくみ、俺の前に2柱の神が宙に浮いていた。

 1人はこの世界の創造神で俺の弟が転生した姿。名はアマトナス。

 もう一人は風に逆らうように蠢くローブを纏った男。ローブの色は黒く、闇を想像させるに十分なほど。


 ローブの男の顔が動き、アマトナスを見やる。


「…よろしいのですか?」


 男の問いにアマトナスは無言で肯く。それを確認して男は俺の方に顔の向きを戻し、ローブの内側から手を伸ばした。


「もう知っていると思うが、お前はここで新たな力を授けられる。そして、より“人外”なる者として地上へと戻される。」


 知っている。


「力は己を過信する。これ以上の力が不要ならば、名を知らしめる行動を慎め。」


 わかっている。


「…我が名は【バルドス】。闇を司る神【ホルポート】の属神として、過去を司っている…。」


 バルドスと名乗った神は伸ばした手から黒い触手を伸ばした。ローブが蠢いていたのはこれか。触手は俺の体に巻き付き、そして吸い込まれた。何かが腹の中に置かれた感覚がした。

 俺は≪メニュー≫を開き、押し付けられた能力を確認する。


 ≪天網恢恢≫


 この意味は、天はどんなに些細な悪事でも見逃すことがなく、必ず罰を下す。

 …スキルを見るのが怖い。


「心して使えよ。」


 それだけ言うと手をローブに仕舞い、一歩下がった。それを見てアマトナスが肯く。


「1つだけ!…お聞きしたい。」


 俺は地上に戻されると思ったので目の前の弟に話しかけた。


「…よかろう。」


 弟は威厳のある声で応えた。


「ありがとうございます。では…私は何度も創造神様のもとに呼び出されておりますが、それ以外に礼拝所などで祈りを捧げることで六柱神にもご拝謁しております。」


 アマトナスは無言で肯く。知っていると言うことか。


「そこで何度も複数の神が私と話をしております。しかし、創造神様と六柱神様と同時に拝謁することがございませんでした。また、六柱神様は直接地上に干渉するお姿を拝見しておりますが、創造神様は拝見したことがございません。…恐らくではございますが、創造神様は地上に干渉できないのではないでしょうか。」


 俺は一気に説明して質問を投げかけた。バルドスは何故か強張った表情をしている。反対に創造神は涼しい顔で俺を見ていた。


「…なかなかの推理だね。兄ちゃんの言う通り、僕にはいろいろな制限がある。」


 口調は弟のモノだった。懐かしさと嬉しさを感じる。


「僕には創造する権利がある。想像した者を破壊する権利もある。そして信仰の対象となった相手を神に昇格させる権利を持つ。バハムートやクロウ、ユグドラシル、ここにいるバルドスも元は地上の世界の者で僕が昇格させた。」


 つまり…?


「つまり僕が干渉できる相手は限られているのさ。世界の運営は全て六柱神に任せている。“アマトナスの僕”の生殺与奪も彼らに任せている。神獣を創造して送り込んだのは僕だけど、その神獣をどう使うかは下々の神に任せている。」


 弟は笑顔で語っているが俺には分かる。退屈なんだ。


「だったら、また来てくれるのかい?」


 弟の言葉は横にいるバルドスを更に驚愕させていた。


「こ、これ以上力を与えては、此の者の精神が壊れてしまいますぞ!」


 …神様にしては全うなことを言っているな。俺、いろいろ覚悟してここに来たのに、何か拍子抜けだ。


「アハハ!そうだね。それならバルドス、例の捜索を彼に頼もう。」


 例の…?


「…よろしいのですか?手がかりはほとんどございませんが?」


「闇の精霊シェイドをあげたらどう?」


「しかし、適性がなければ…」


「大丈夫、世界樹(ユグドラシル)のチカラも受けてるから八属性(・・・)全て持ってるもの。」


「ほう、それは好都合。」


 バルドス神は俺の方に顔を向け一歩前に出た。

 嫌な予感がする。無理難題のような匂いがプンプンする。それなのに俺の知識系スキルが何も言って来ない。バルドス神がさらに一歩近づいた。もう目の前に神様の顔がある。深いフードを被っていたけどこの距離ならそのお顔も良く見え…。





 俺はバルドス神のフードの奥にある顔を見た瞬間に意識を失った。





 恐怖。




 それだけでは表現しきれない感覚が俺の全身を襲った。バハムートに息を吹き掛けられても、八岐大蛇に睨まれても動じなかったのに。なんだあの金色に輝く目は?なんだあの全身を這いずり回る黒い蛆虫は?




 次に俺が意識を取り戻したときはウェイパー度とのとの会見の間に戻っていた。




「…ほほう、もう少し年齢を重ねた男と思うていたが、若いな。それに従者も女、奴隷も女…。戦乙女族(ヴァルキリー)達が憎悪の目で見るのも無理はないな。」


 ウェイパーは好奇の目で俺をまじまじと観察していた。俺はようやく意識を目の前の男のほうへ切替えができ、更にその周りにいる兵士たちにも目を向けることもできた。

 さっきの神様とのやり取りは後で考えよう。今はこの顔だけは下品な男との戦いに集中だ。


戦乙女族(ヴァルキリー)の方々がどのような目で我々を見ているか存じ上げませぬが、物事を見た目だけでご判断される方々だとは知りませんでした。」


 俺の言葉に殺気が部屋中に広がった。一部の銀色の鎧を纏う女性たちから怒気をみなぎらせた視線を浴びる。その中に先ほどのアンネローゼも含まれていた。相当俺の事が嫌いなようだ。


「…ほう。エルバード殿は見た目で判断されるのはお嫌いのようだな。」


 俺を好奇の眼差しで見ているウェイパー卿は、意味深な発言をする。そして側に控える白いローブ姿の女性を呼び寄せ何事かいうと、ローブの女性は驚きの表情を見せ、一礼するとそそくさと出て行った。

 ウェイパーは一呼吸おいてから俺の方に向きを変え話の続きをした。


「会見は一時中断しよう。今からエルバードのお力を見せて頂こう。」


 力強いと表現するのが正しいと思えるほどの豪快な笑顔と裏腹に今から始まることに不安を覚え、俺は後ろを振り向いた。ヨーコは心配そうな表情だが、フェルエル殿と男爵様は喜色悪いほどの笑顔を見せている。特に男爵様は好奇心の塊のような表情だ。俺は頭を抱える仕草をしてうなだれた。





 場所は映り、会見の間の隣にある中庭で俺たちはウェイパー卿と対峙した。…いや正確にはウェイパー卿の前に立つアンネローゼと対峙していた。

 どうしてこうなったかと言うと、ウェイパー卿が俺の能力の一端を見たいと言いだし、用意されたのが計算式のいっぱい書かれた紙で、俺の計算能力の高さを証明するように言われた。

 計算式自体は2桁~3桁の四則演算で俺にとっては簡単なのだが、この世界の人間には非常に時間のかかる作業だった。

 俺は次々と答えを記入していき、周りからは感嘆の声が上がった。まあ、ここまでは良かったのだが、次に用意されたのが…アンネローゼだった。


「彼女は、階級が三級の実力者だ。彼女には槍を奮ってエルバード殿に対峙してもらう。その攻撃を掻い潜って彼女に触れることができたら、その実力を認めよう。」



 ……彼女に、触れることが、できたら…



 俺は、その言葉にいやらしいハプニングを想像した。視線を感じて振り向くとヨーコがジト目で睨んでいた。


 …こういう想像をするのは、おそらく“この世ならざる者”だけなんだろうな。


 よし、ならば適当に槍を合わせて引き分けにもつれ込んで…


「ちなみに貴公は素手じゃからな。あと、勝てなかったらこの話はなかったことにするから。」


 ウェイパー卿は俺に釘を刺してきた。それにしても素手は無いでしょう。



 そうして、俺は銀色の鎧に身を纏うアンネローゼと対峙していた。彼女は怒りの炎をたぎらせたような目をして槍を構えて俺を睨み付けている。俺はそんな彼女が怖いと言うか哀れに見えた。


「では始めよう。アンナ、殺す気でやっていいから。」


 ウェイパー卿の合図でアンナことアンネローゼ三級騎士は槍をしごいて俺に襲い掛かった。

 彼女の気合の篭った初撃を俺はいともたやすく避けた。周りがざわつき、アンネローゼの顔が引きつった。

 俺は今回新しいスキルをセットしていた。

 ≪軌道予測≫

 ≪国士無双≫のアビリティにあるスキルで、相手の放つ物理攻撃を予測して、その軌道が見えるスキル。


 ≪瞬身≫

 ≪破邪顕正≫のアビリティにあるスキルでヨーコも持っている。いわば近距離の瞬間移動スキル。


 ≪超威圧≫

 ≪天網恢恢≫のアビリティにあるスキルで威圧だけで相手の全身の筋肉を硬直させ、恐怖を植え付ける。


 そしてこれらを効率よく使えるよう≪メニュー≫を開いて超スローモーションモードでアンネローゼの攻撃を見切ったのだ。

 正確には彼女の槍の軌道を予測し、超スローモーションの中、最小限の動きでその軌道を避けたのだ。


 アンネローゼは一旦後ろに下がって間合いを取り直し、もう一度俺に攻撃を仕掛けた。しかし俺は最小限の動作で槍を躱し槍を持つ手に触れようとした。

 アンネローゼは慌てて体制を崩して俺の手を逃れ、また間合いを取る。

 攻撃しては離れ、攻撃しては離れを繰り返すこと十数回。鋭い攻撃を浴びせるアンネローゼの動きとその攻撃をたやすく躱す俺の動きに、周りはただ茫然と見つめており、ヨーコとサラ達は心配そうに見つめ、ウェイパー卿と男爵様とフェルエル殿は嬉々とした表情で眺めていた。

 そしてアンネローゼは全身で息をして俺を睨み付けていた。


「…貴様…。や、やる気はあるのか?」


 ぜいぜい言いながらアンネローゼは問いかけた。実は途中からただ避けるだけにしていた。相手も中々で触らせてくれ総になかったので、ただ避けるを繰り返して隙を伺っていたのだが、隙はまだなかった。


 いや、多分竜化したウルチと同等の実力を持ってると思うよ。でも俺、“人外”だし。


 アンネローゼは疲れているのかやや大振りな攻撃で俺に槍を向けてくるが、俺は紙一重でこれを避ける。すぐさま後ろに跳び退き距離を取るので触れることはできないのだが、もはや決して攻撃を受けることはない。俺は避け続けていればいいだけだったが、やっぱり飽きてきた。


 そろそろ終わりにしようか。


 俺は呼吸を整え、魔力を込めてスキルを放った。



 ≪超威圧≫



 全身から魔力を解き放ち、範囲内の相手を硬直させ、恐怖心を与える。


 俺の場合、その効果範囲が周りを囲う全員に行き渡った。当然、ウェイパー卿もサラ達も効果範囲に入っている。


 全員が完全に仰天した表情で全身を硬直させた。アンネローゼも体が強張り、槍を落としてしまった。

 石畳に「カラン」と乾いた音が響き渡る。アンネローゼはハッと我に返り慌てて硬直した全身に力を込め、俺から離れるために後ろに飛びずさった。


 ドン


 アンネローゼの背中が何かに当たり、思わずその何かに体をもたれ掛る。


「…はい、終わり…と。」


 俺はもたれ掛ったアンネローゼの頭を軽くポンポンと叩き周りを見渡した。


「え!?」


 アンナの可愛らしい声が聞こえた。普段はそういう声なのか。

 俺は≪瞬身≫でアンネローゼの後ろに回り込み、待ち受けて彼女の体を受け止めてその頭に触れたのだ。


 あっという間の出来事。まだ状況が理解できず、硬直も解けずに仰天の表情の者もいる。


 俺は周りを見渡し状況を確認する。ウェイパー卿は瞬時に硬直を解き、俺の挙動を観察していた。フェルエル殿も同じく。うちの子達でいくと、ウルチとフォン、そして以外にもサラが硬直を解いていた。ヨーコに至っては恐怖心すら受け付けていないようだ。更に周りを取り囲む兵士のうち、何名かが硬直を解いて俺を凝視している。

 うん、集団戦で相手の実力を測るのにちょうどよいスキルだなこれ。


何か視線を感じてふっと下を見下ろすと呆然とした表情で俺を見つめるアンネローゼがいた。あまり近づきすぎてると危険かもと思い、俺は頭の上に乗せていた手を引込め、ウェイパー卿に向きを変え、一礼した。

 ウェイパー卿は何度も肯いて嬉しそうにしている。なんか気味が悪い。


「ふむ、その≪軌道予測≫というのはなんじゃ?≪瞬身≫はあの瞬間移動か。≪超威圧≫とは先ほどの体を強張らせたヤツじゃな。なんだその≪状態管理≫とは?」


 ウェイパー卿から放たれた言葉は俺とヨーコを驚愕させた。


 何故、使用していたスキルの名を知った?


 俺はヨーコを見る。ヨーコは慌てて首を振る。彼女も知らないらしい。どうやら俺たちの知らないスキルを持っていてそれによって俺が使ったスキル名を知ったようだ。


「ムッ。≪偽りの仮面≫というのはなんじゃ?」


 ウェイパー卿の言葉は俺を黙らせるに十分。このスキルまで見えているのか。これは何処まで隠し通せるか…。


「何やら妙なもので私を観察されているようで。されどいくらウェイパー卿であってもお教えできるものではございません。」


 俺は頭を下げて答えることを拒否した。ウェイパー卿は髭だらけのごつごつした顎に手を当てて考え込む。


「仕方ない。この件については問いただすのを止めようか。じゃが、先ほどの戦いは見事じゃった。…いや戦いにすらなっておらぬか。このアンナを完全に手玉に取るとは相当の実力を持っておるな。獣人族の王がもう一度会いたいと言うのも無理はない。」


 何故ロフト・ビーレダンの名がここで?


「何故ロフトがここで出てくるのかって顔じゃな。ロフトとは、一言でいえば飲み仲間に喧嘩友達じゃからな。ガッハッハッハ!」


 もうそれだけでこのウェイパー卿の実力が測れてしまうよ。相当強いね。でもあの獅子獣人がここまで足を運んでいるとは。


「…で、私は卿のお眼鏡にかないましたでしょうか?」


 話がそれそうになったので獅子獣人の話は無視して本題を促す。ウェイパー卿は少し残念そうな表情をしたが、本題に話を戻した。


「よかろう。卿の実力は十分に示した。サラヴィス国王の使者として十分な力量を持った者と判断いたす。ヒト族の申し出通り、この街への寄港は許可致そう。この街に駐在官を置くことも許可する。…じゃがこの島での商売については私にも権限はない。」


 ふむ。ここまではウェイパー卿の判断でOKか。後は交易だな。


「現在この国の代表が戦乙女族(ヴァルキリー)が治めるステイピアに集まっておる。そこへ向かい、交渉するが良い。そこまでは何人かの護衛もつけてやろう。」


 島の内陸部にある街への通行許可が下りた。と同時に護衛と言う名の監視役がついた。ちょっと面倒かもしれんが順当と言っていいだろう。


 会見は終了し、俺たちは中庭から退出した。ウェイパー卿が用意した宿舎に移動するため、案内役が俺達を案内する。

 案内役はあのアンネローゼだった。

 無言で俺達を中庭から連れ出し、角を曲がったところで振り向いて俺を睨み付ける。


「…貴様、これで勝ったと思うなよ!」


 声は小さいが俺に対する復讐心を十分に感じさせる。なんかデジャヴを見てるようでアリア殿の顔を見た。アリア殿も同じことを思ったようでバツが悪そうに苦笑した。


 その後、アンネローゼは一言も言葉を発することなく宿舎まで案内され、部屋をあてがわれる。

 あてがわれた部屋は4部屋。奴隷用の部屋、男爵様とアリア殿の部屋、フェルエル殿の部屋、そして俺とヨーコの部屋。

 ヨーコは顔を赤らめて俺をチラ身した。…そんな表情するなよ。ほら、男爵様が好奇の目で俺とヨーコをじろじろ見てるじゃないか!


 晩餐は特になく、俺達だけで夕食を食べる。途中、支配人が夕食の後何をするのかぶっこんでくるは、それに乗っかって男爵様は話を広げようとするわ、アリア殿は終始真っ赤な顔で俺を卑猥な目で見ているし、ヨーコは会話に入ろうとせず挙動不審で食事を続けてるわで散々だった。


 そして夕食後。


 明日の早朝にウェイパー卿が用意した馬車で出発するため早めに就寝することとなったのだが…。

 俺とヨーコはあてがわれた部屋のベッドに無言で腰を降ろしていた。


 ベッドは一つ。


 俺はヨーコといたした。ええ、カミラのせいで発情していたとはいえ、お互い合意の上いたしている。

 と言っても、あれ以来いたしていない。…なんかこう意識しちゃってるというか、周りの目が恥ずかしいとかフォンがすぐ「ナカマナカマ」と言うからと言うか…。なんとなくお互い避けていた。

 それがこの状況では、いやがうえにも意識する。

 ここは俺が男としてしっかりとリードすべきだろうが、ヨーコが必要以上に俺を意識してしまい、極度の緊張でガチガチになっている状況を見ると俺まで緊張してしまう。


 寝るだけなのだ。意識する必要はない。…いや、抱き寄せるくらいは問題ないだろう。いや、キスするくらいは…。

 いろいろ考えているとヨーコから声を掛けられた。


「あの…ちょっといい?」


「ど、どうした?」


 俺のぎこちない返事にヨーコは顔を更に赤くして話を続ける。


「さっきカミラちゃんに…なんか掛けられたみたい。」


 ヨーコの想定外の告白に俺は慌てて≪鑑定≫を行った。



 『呪い』

  ≪魂の真贋≫

  ≪籠絡≫(発情)




 あのヤロウ!ここに来てこんなことをするか!

 このままヨーコとイチャラブズドーン!で翌朝寝不足になってみんなに白い目で見られてアンネローゼに鬼畜扱いされてしまうだろうが!


 お仕置き決定!


 だが、それよりも今どうするかを考えるべきだ。いたすのかいたさないのか。違う、どういたさずにヨーコを鎮めるかだ。

 俺は保有するスキルをいろいろ試してこの呪いを解く方法を模索した。

 ヨーコの体に触れる度に甘美な声が漏れるのだが気にしない。耐えきれずに俺にキスをしてくるが堪える。

 そうしてるうちになんとか呪いを解くことができた。

 ≪魔力吸収≫で呪いを発動させている魔力を遮断するように吸収し、≪魔力操作≫で新たな魔力を与え、≪心身回復≫で彼女に負担が掛からないように体を癒す。この3つを同時に実行することで、≪籠絡≫を解除できた。

 恐らく一時的な呪いについては回復手段がわかれば解くことができるのだろう。俺はその他の呪いについてもいろいろ試す価値があると認識をした。

 だが、ヨーコの呪いを解くまでに俺が受けたダメージは計り知れない。何度もキスされ、甘い声を囁かれ、時折漏れる吐息。挙句の果てに呪いを解いた後にヨーコから上目づかいで「ごめんね?」と言われ、俺は反射的にヨーコに抱き付いてしまった。


 だが、平静な状態に回復したヨーコは、


「はいはい、もう寝ましょうねぇ。」


 と言ってやさしく俺をなだめ、ベッドに入ってしまった。






 俺は悶々とした精神状態で一晩ヨーコの隣で過ごしたことは言うまでもない。





 翌朝、部屋から出てきた俺達にフォンが匂いを嗅いで、残念そうな表情をしたのは言うまでもない。





 寝坊したカミラに拳骨を喰らわせ、半べそ掻かせたのは言うまでもない。






主人公は人外な力を見せつけてしまいました。

そのスキルもウェイパー卿にはばれてしまったようです。

しかも戦乙女族には嫌われる始末。

この先、ちゃんとやっていけるんでしょうか。


次話では戦乙女族の街ステイピアまでのはちゃめちゃ道中になります。

…の予定です。


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