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弟が作った世界でハーレム人生   作者: 永遠の28さい
◆第二章◆ 失声の銀狼少女
28/126

9 デレフォン

 今より遡りし時は千年。栄華を極めし人族、新たなる大地を求め大陸を離れり。人族の知恵と勇気に同調せし妖精族、獣人族が此れに従いぬ。三族、大陸から外の世へと向かい、大海原を渡り、数多(あまた)の苦難を乗り越え、六大群島の地に辿り着きたり。此の地に住みし半神族、我ら三族を受け入れ共に此の地を治めり。やがて荒れ果てた大陸から逃れし竜人族、魔人族、此の地へ移り、六つの大島に国作りて六大群島の歴史と終わり無き繁栄が始まれり。


 作:サラ







 そこは、いらん!

 なんだよ、その“作:サラ”って!?

 それにわざわざ、難しい言葉で言う必要もいらん!わかりにくいわ!






 一通り突っ込みを入れてサラをたしなめた後で考え込む。

 この六大群島には6つの種族がいる。

 それぞれが国家を構えている。

 1000年続いている。


 なかなか楽しくなってきた。



 「サラ、『本土』というのは?」


 「はい、人族の王都がある一ノ島の事です。」


 「じゃフォンの出身地は?」


 フォンは指を2本立てて俺に見せる。二ノ島か。種族ごとに一ノ島から六ノ島に国家を形成しており、各島にはこのハーランディア島のように衛星群島をもっているそうだ。


 最も大きい一ノ島は人族が治めている。街の数も多いらしい。

 二ノ島は獣人族が治めている。世代毎に代表となる獣種(けものしゅ)が代わるらしい。現在は獅子族が代表を務めているそうだ。

 三ノ島は妖精族が治めているが、近年はドワーフ王の悪政が続いて治安が悪いらしい。

 四ノ島は半神族が治めているらしいが昔から鎖国を貫いているため交流がなく、実態は良く知られていない。

 五ノ島は竜人族が治めているが、150年前から絶縁状態で、ここもよくわからない。

 六ノ島は魔人族が治めているらしいが、どの種族も魔人族を下等に扱っている為、交流自体がなく、どうなっているのかよくわかっていない。

 結局、よくわからない島だらけだということだ。だが…。



 この世界は広い。



 俺はまだこの一ノ島の衛星群島の一つ、ハーランディア島しか知らない。話を聞いてると冒険欲が湧いてきた。


 サラが、また昔話をしようとし出したので、丁寧にお断りする。サラよ、お前の仕事は“語り部”ではないからな。残念そうな顔をするな。







 海賊討伐隊はラッドとバナーシが部隊の大半を率いて、帰路についている。今回は、小島に【宝瓶獣】が現れたことにより、大々的な戦勝パーティは行わず、戦勝報告と参加者への給金支払のみが行われ、残処理(あとしまつ)部隊を残して解散させていた。

 ベルド領兵団はバナーシがヘリヤの護衛のみ残して出発済で、ヤグナーン私設傭兵団はラッドがほぼ全軍率いて引き上げていった。ヴァルドナに残っているのは、ナヴィス殿とヘリヤとフェンダーとそれぞれの護衛部隊、それに負傷者のみとなっていた。マグナールも負傷者の一人として、まだ手当を受けている状態だった。

 一度彼の部屋を訪れたのだが、扉の前でエイミーに断られてしまった。マグナール自身が誰にも会いたくないと面会を全て断っているらしい。


 傭兵にとって、体の一部を失うような怪我は廃業を意味するそうだ。ナヴィス殿からそう教えられた。

 マグナールのほうから連絡があるまで、そっとしておこう。俺はそう決めて無理にマグナールと面会しようとはしなかった。



 俺は、ナヴィス殿の私的護衛という位置づけでまだヴァルドナに滞在中で、そのうち大商人と一緒にヤグナーンに向かう予定にしていた。


 だがこの日は俺は朝から予定が無かった。それならば気になっていることを片付けておこうと思う。

 俺はもう一度【金牛獣】に会うことにした。【宝瓶獣】との約束もあるし、俺自身試したいことがあった。

 そこで、サラとフォンには留守番を指示し、一人で【金牛の治むる地】へ向かった。当然歩いて行くわけでなく、≪気脈使い≫でお空を走って行くのである。普通なら1日掛かる道程が、20分くらいで行けてしまう。


 竜王の力を得て以降は特に俺自身の体力、筋力が異常なほどにアップしている。この間の黒竜の件で確信していた。今回はこの力を【金牛獣】に試したいと思ったのだ。


 【金牛獣】のナワバリについた。≪気配察知≫で青い点を探す。直ぐに青い点は見つかり、俺は点に向かって歩き出す。


 (よほどワシに突き殺されたいらしいな、小僧!)


 怒号に近い声が聞こえ、地を揺るがす音が辺りに響き渡る。俺は気合を入れ音のする方に構えた。直ぐに【金牛獣】が姿を現し、猛スピードで突進してきた。俺は≪気脈使い≫を発動し空中に足場を作り、身構える。【金牛獣】はそのまま俺にぶつかった。瞬間に俺は黄金の角を掴み、≪気脈使い≫で踏ん張って勢いを止める。俺は【金牛獣】に吹っ飛ばされることなく突進を止めることに成功した。だが全身に力を込め全ての筋肉を使ったような感覚で汗がどっと噴き出る。


 (な、なんだと!)


 【金牛獣】は自分の突進が止められたことに驚愕していた。当然だろう。こんなの止められる人間は普通はいない。


 「【金牛獣】様、私は創造神様の使命を果たすべく人外の能力を得ております。その結果このような芸当ができるようになりました。」


 【金牛獣】は荒く鼻息を鳴らして怒鳴る。


 (小僧、何が言いたい?)


 「この力はあくまでも使命を果たすために使われるもの。しかし、私が人の道を外れる行為をしようものなら、この力は世界の脅威そのものとなります。」


 (…。だからなんだ!?)


 「あなた様がた十二神獣は、人の道を踏み外した創造神の僕を殺すために、地上の世界にいるのではないでしょうか。」


 【金牛獣】の鼻息が止まる。無言となって角にしがみ付いている俺を睨み付ける。


 「あなた様の先ほどの突進は全力ではございますまい。しかし、私はそれこそ全身全霊でもってなんとか止めることができた程度。私の“人外の力”は神獣には通用しないことを理解いたしました。」


 俺は掴んでいた角を放し、地上に降りる。そして姿勢を正し深く頭を下げた。


 「もし、私が人の道を誤ったのなら、その力をもって、私の命を奪って頂きますよう…。」


 【金牛獣】はじっと俺を見ている。俺の心を推し量っているようだ。


 (この地に降り立ってから2000年…。ようやく、暇つぶしができそうだな。)


 【金牛獣】は大きな鼻息を1つしてニヤリと笑う。そして、前足に力を込め、角を俺の方に向けてきた。


 (いつか小僧の気が触れたのなら、その命、この角で奪い取ってやろう。)


 そう言ってつんざくような咆哮を上げ、俺ににじり寄ってきた。こ、こわいが俺の気持ちは理解してくれたようだ。


 「ありがとうございます。」


 俺はまた深く頭を下げる。


 (で、小僧これからどうするつもりじゃ?)


 「世界は広いということを知りました。仲間を連れて旅にでます。もちろん他の十二神獣にもお会いするつもりです。」


 そう答えると、【金牛獣】は考え込んだ。


 (奴らに会いに行くのはいいがな、蠍野郎には気を付けろよ。あいつは俺のように聞き分けのよい荒くれ者じゃねぇぞ。本当にむちゃくちゃなやつだから。いまだに創造神に鎖で繋がれたままだし。)


 蠍野郎…【天蝎獣】のことだな。


 「肝に銘じます。」


 俺は、ここでの目的を達成できたと考え、余り長居することで【金牛獣】の機嫌を損ねないよう、早々に退散した。




 帰り道、俺は領主館に立ち寄った。例によって城壁を簡単に乗り越え、中に入って行く。そしてラツェルが幽閉される部屋へと足を運んだ。


 目的は魂の浄化だ。


 扉から中を覗くとラツェルはそこにいた。彼は床に座り込みブツブツ言っている。


 「もう少し…もう少しで、この島は俺のものになったのに…。それなのに、あの女のせいで台無しじゃねえか。くそ!奴隷のくせに!周りの奴らもそうだ。スキルがないというだけでみんな俺を見下しやがる…。どれだけ俺は我慢すればいいんだ?もう限界だ!殺してやる…。奴隷にしてやる!そうすれば俺が一番偉くなれるんだ。」


 …ダメだこいつは。自分の置かれた状況も理解できず、完全に思考がおかしな方向に向いている。こいつはほっといても、もうこのままで、ここから出ることもないだろう。

 俺は、その場を後にし後は天命に任せることにした。



 俺は【宝瓶宮】へ戻った。玄関から中に入り、ククルに挨拶して六階まで階段を昇る。


 「ただいま……あれ、フォン1人?」


 部屋に戻ると、フォンが一人で俺を迎えた。サラはこの部屋にいないみたいだ。フォンが何かを伝えようとテーブルの上に置かれた紙を取ってきて俺に見せた。

 そこには、ニ・ホーン語で文字が書かれていた。


 “ヘリヤ様のお手伝いとしてマリン姉様との同行を求められました。フォンは容姿上目立ってしまうため、サラだけでお勤めして参ります。”


 サラの字だった。


 「マリンさんが来たのか?」


 手紙を読み終えて、フォンに質問する。フォンはコクコクと肯く。まあ、ヘリヤ様からの依頼であれば断れないか、と思い手紙をフォンに返しながらこの時間をどうしようかと思っていた。

 やることもないし、部屋でダラダラするか。


 そう思ってソファに座り、持ち物の確認をし始めた。


 フォンはしばらく俺の姿を眺めていたが、おもむろに俺の隣にやってきた。ん?隣に座りたいの?ああ、いいぞ。


 フォンは俺の隣にちょこんと座る。大玉はブルンと揺れる。尻尾はしぱしぱソファのお掃除をしている。



 獣人の尻尾ってどうなってるんだろう。



 俺は素朴に疑問を感じて、フォンの尻尾をじっと観察していた。フォンも俺の視線に気づいて自分の尻尾を見ている。


 「フォンは、自分の意志で尻尾を動かせるの?」


 フォンはしばらく尻尾を見ながらあれこれやってたようだが、やがて首を横に振った。どうやら自分の意志では動かせなかったらしい。


 「…尻尾って、どう生えてるのだろう?」


 俺は摩訶不思議に動いているフォンの尻尾を見て独り事のようにつぶやいた。それを聞いていたフォンは少し考えると、俺に背中を向けた。パタパタ動く尻尾が俺のほうに向く。そして、ソファの上に膝立ちをする尻尾がやや上に上がり、俺の視線は尻尾についていく。相変わらずパタパタ揺れている。



 フォンは上着を脱いだ。そりゃもう勢いよく、ガバッと脱いでしまった!



 だが、俺には揺れる大玉2つは見えない!



 フォンは大玉2つを両手で隠しながら、俺に自分の背中を見せた。




 髪の毛と同じ綺麗な青銀色の毛が背中の中心を下まで生やしており、尻尾に繋がっている…。

 フォンの美しい背中に目を奪われてしまい、いやらしい気持ちとか大玉2つとか、完全に吹っ飛んで背中に見入ってしまった。

 フォンは恥ずかしげな表情を見せるわけでもなく、自分の背中に見入っているご主人様を観察しているようだった。


 フォンは体をこちらに向けた。


 大事な大玉は手で隠したまま、俺の膝の上にうつぶせに寝転んだ。






 俺の中の全ての神経が太腿へと流れていく。






 フォンは俺に背中を見せたまま、尻尾をパタパタと振っている。ちらりと俺を上目使いに見ては背中を見せ付けてくる。



 「何?背中を撫でてほしいの?」



 尻尾が一段を激しく揺れる。俺は何でもないような素振りを見せながら、背中を、正確には背中に生えている毛をゆっくりと撫でる。

 フォンは気持ちよさそうな顔をして、背中を完全に俺に預けていた。







 …エロい!……い、いやエロ過ぎる!







 フォンの突然の大胆行動に俺はパニックになりながらも平然とした表情で背中を撫で続ける。

 事実、撫でている手はすごく気持ちいい。


 だが、それ以上に大玉の乗っかった俺の太腿はもっと気持ちいい!


 俺は、足を少し広げ、両太腿の間に隙間を作ってみた。


 ポフン…。


 予想通り、2つの大玉は太腿の隙間に入り込み、重力に任せた状態になる。すかさず少し力を入れて足の隙間を狭めた。





 ……なんということでしょう。



 重力のままにぶら下がったような2つの大玉は俺の太腿にやさしく包み込まれ、その柔らかな特性を活かして、ぴったりと腿に隙間なく張り付くではありませんか。



 隙間なく…。



 …だめだ、これは動いてはいけない。これ以上俺が動いては、フォンに気づかれる。落ち着け。平静を装え…。


 俺は平静を装ってやさしく背中を撫でていた。



 フォンは俺に体を預け、背中を撫でてもらって気持ちよさそうな表情。尻尾がゆっくりとしたテンポでパタパタと揺れる。

 俺は、背中の毛を撫でる気持ちよさと、太腿から両太腿の間に挟まった大玉2つの感触のよさを味わいながら落ち着いた表情をし続ける。


 ゆったりとした、とても気持ちいい時間が2人の間に流れていた……。だが、終焉の時が来てしまった。




 不意にフォンの尻尾の動きがピタッと止まった。ゆっくりと起き上がり、俺に見えないように元の位置に移動して脱いだ服を手に取り、着始める。

 着終わってソファから立ち上がり、俺から距離を置いた位置に移動した瞬間に扉が開く。




 「ただ今戻りました、ご主人様!」


 サラが元気のよい声で俺へのご挨拶をした。


 「う、うむ…。お帰り、サラ」


 俺は少しどもった声で返事をする。ふとフォンのほうを見るが完全に衣服を整え、全く何もなかったかの表情で、サラに挨拶をしている。






 …サラよ。今日だけは、もう少し遅く帰ってきてもよかったんだぞ。


今回は、フォンの大玉を味わう回でした。

大きいのって、気持ち良いのですかねぇ。


次話は“この世ならざる者”の回になります。


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