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残念ですが、生贄になりたくないので逃げますね?  作者: gacchi(がっち)


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41.夜会の準備

夜会の開催日は三か月後に決まった。

竜王国内の貴族と同盟国すべてに招待状を送り、出欠を確認し、

会場の人員の手配などもしなくてはいけない。


次の日からリストを作り、招待状を送る。

十日もすれば、近隣の国からは返事がくる。


竜王様の即位式以来の夜会だそうで、

今のところ出席する以外の返事は来ていない。


「それはそうだよ。同盟国にしてみれば、

 竜王に挨拶できる貴重な機会だ。

 欠席なんてするはずがない」


「そういうものなんだね」


「それより、そろそろクレアとリディはドレスを作らないとな」


「時間がかかるものね。急がないと」


エリナ御用達の仕立て屋を紹介してもらい、

私とクレアのドレス、ルークとラディの夜会服も仕立ててもらう。


準備が着々と進む中、ルークにはあの令嬢から手紙が来ていた。


「はぁぁ。しつこいな」


「アヒレス家のローズ嬢か。本当にしつこいな」


「ローズ嬢だけじゃないけどな。

 ラディにだって竜族の貴族から手紙は来ているんだろう?」


「ああ。エスコートを頼みたいって言われてな。

 今まで一度もパートナーを選んだことがないのに、

 よく頼んでくると思うよ。無駄だと思わないのかな」


「ダメもとで頼むってやつじゃないか?」


ラディとルークにはたくさんの手紙が来ているようだ。

竜人が夜会のパートナーに選んだとなれば、

その令嬢の価値があがると言われているらしい。


ラディに手紙が来ていると知って、クレアの機嫌が悪くなっている。

笑顔で仕事しているけれど、あれは怒ってる。

気がつかないで話し続けているラディに、こそっと教えてあげる。


「ラディが他の令嬢の話なんてしてるから、

 クレアが怒ってるよ」


「え?なんで?クレア、俺はクレア以外をエスコートする気なんてないよ。

 手紙も全部送り返しているから!」


「別に何も怒ってないわ。ただもてるのねって思ってただけよ」


「ごめんなさい。もうその話題はやめます」


「もういいわよ」


完全に怒っていたわけじゃないのか、クレアはすぐに笑って許した。

それでもラディにとっては冷や汗ものだったようで、

顔にもう二度と他の女の話はしませんと書いてあるようだった。


それを見て、ルークまで不安そうな顔になる。


「……リディは怒らないの?」


「怒ってはいないけど、まためんどくさいことになりそうだなって。

 夜会に出席するんでしょう?あの令嬢」


「ああ、その父親と夫人も一緒だと思う。

 まぁ、でも。リディと結婚するって報告するんだしな。

 それを聞けばあきらめておとなしくなるだろう」


「そうかなぁ」


その報告を聞いて、騒がないとは思えないんだけど。

とはいえ、報告するのは竜王様だ。

竜王様に意見するような馬鹿な真似はしないか。



後宮にいる妃候補の二人も招待していいと言われたので、

後宮へと招待状を届けた。

クリスタ様は喜んで出席するとの返事だったが、

デリア様は欠席するとの返事だった。


着ていくようなドレスもないというのが表向きの理由だったが、

国の使者と会いたくないというのが本当の理由なようだ。

そんな理由では無理強いするわけにもいかず、

妃候補はクリスタ様だけが出席するということになった。



そうして準備が整い、夜会へ出席するために、

同盟国の使者が竜王国に集まり始める。

王宮に泊まるのであれば部屋を用意するのだが、

竜王国の貴族の屋敷に招かれて泊まるものもいるようで、

すべての使者が王宮に泊まるわけではなかった。


王宮に泊まらなかった使者の中で、

問題になりそうなものがいると報告がされていた。


「え?コリンヌ様が来ているの?」


「ああ。どうやらオリアン国に戻った後、第二王子の妃になったらしい」


「え、それって、婚約解消された元婚約者じゃなかった?」


「ああ。求婚した相手がジュリア嬢といって、伯爵家の令嬢だったんだが、

 王子妃としての仕事がまったくできなかった。

 それで、ジュリア嬢は離縁されて、コリンヌ嬢と再婚したらしい」


「えぇ?そんなに簡単に離縁して再婚って」


「コリンヌ嬢の生家の公爵家の力もあるんだろう」


もともと妃候補だった令嬢に問題があるのかもしれないけれど、

コリンヌ様も問題がある令嬢だった。

それでも妃にするほど、公爵家が権力を握ってるのかもしれない。


あのコリンヌ様が第二王子妃か……。

仕える女官とか大変そうだな。


「でも、なんでここにコリンヌ様が来ているの?」


「使者として第二王子が来たからだ。

 コリンヌ嬢はそのパートナーとして来ている。

 国外追放になっているんだがな……。

 入り口で追い返したら騒ぎになるか」


私を男に襲わせようとして捕まったコリンヌ様と、

その兄は国外追放になっている。

使者としても竜王国に戻ってくるのは許されない。


「今のうちに追い返す?」


「それが……滞在しているのがアヒレス家なんだ」


「え?あのアヒレス家?何か関係あるの?」


「ある。祖父が借金した相手がオリアン国の王族だからだ。

 その借金を肩代わりしたのがアヒレス家。そこからのつながりらしい」


「それは下手に関わらないほうがよさそうだね。

 竜王様に聞いてみようか」


「それがよさそうだな」


竜王様にコリンヌ嬢とアヒレス家のことを報告すると、

意外にもそのままでいいと言われる。

ただ、警備の人間は増やしておくようにと言われたので、

エリナの旦那様である警備隊長ディルクにお願いしておいた。


始まる前から不安なことばかり。

それでも夜会を開かなくてはいけない。


すべての準備を終え、会場に人が集まり始める。

侍女の手を借りて、私とクレアはドレスに着替える。



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