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鬼ごっこ、人ごっこ  作者: アーマナイト


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一四 竜崎ユリネの感想

 竜崎ユリネ視点




「レイカ」


 リオが部屋を出てキッチリ三分以上たってから、隣に立つレイカに声をかけた。


「なんです」


「次から、リオと会うときは、オムツをしたほうがいいかもな」


 リオが部屋を出ていくまで、なんとか平静を偽造して維持し続けたが、ちょっとした刺激で心臓と膀胱がなかなか愉快なことになりそうだ。


「老化ですか?」


 レイカが冷めた口調で告げる。


「いくらお前でも、不敬だぞ」


 肌、関節、肩と腰に蓄積する日々の疲れと、色々と誤魔化せない残酷な現実があるだけに、老化というレイカの言葉は心身に鋭く突き刺さる。

 言われたのが私でなかったら、痛すぎてショック死してしまうほどだ。

 なんと、恐ろしい。


「なら、こんなことにつき合せないでください。私は吐きそうです」


 よく見ればレイカの表情は平静を維持されているが、顔色が青白くてなかなか悪い。

 老化という言葉で、軽く殺意を抱いたが、思わず同情してしまうほど顔色が悪いから、寛大な心で許してやろう。


「その気持ちには深く共感するが、今回のことは必要なことだった」


 リオに消費者金融で生き残った筧マリという女性を、私たちが殺したとわざと誤解するように言った。

 ある程度、リオが怒る可能性も想定していた。

 だが、あれほどの殺気をまき散らすとは考えていなかった。

 あれは、ダメだ。

 いざとなれば、筧マリの生存を説明すれば大丈夫だと思っていたが、もう少しリオの感情が怒りに振れていたら、私たちは弁解する暇もなく死体になっていただろう。

 怒ったリオは危険だ。

 以前から鬼は危険で、そのなかでもリオの力は上位のものだと知っていた。

 ……知っていただけだった。

 実感として、リオが危険だということを理解していなかった。

 あの瞬間、リオ自身は気づいていないようだが、噴出した濃密な殺気によって私たちは呼吸すらままならかった。

 鬼にしてはリオが、必要以上に人間を殺すことに執着することなく、傲慢な様子も見せず理性的な会話も可能なことから、心のどこかで侮っていたのかもしれない。

 まあ、私は連絡会のトップとしての意地とプライドで、恐怖を表にしなかったが。

 あのときはシンプルに、死の気配を感じて、自分の死を自覚した。

 もっとも、幸運なことに、死の運命は回避された。

 欠片ほどの信仰心も持ち合わせていないが、今日だけは幸運の女神に感謝しよう。


「理解はしています。でも、二度と体験したくありません。もう一度やるようなら、お一人でどうぞ」


 珍しく本当に疲れたのか、レイカは近くにあるデスクに手を付いてうなだれている。

 その様子に、少し悪いことをしたかと、胸が痛くなる。


「安心しろ、二度もやる気はない。今回のことで、獅子堂リオという鬼をある程度だが、理解することができたからな」


「あれだけで、彼女の全てをわかったつもりになって、油断して地雷を踏まないでくださね」


「大丈夫だ。私も、そこまで傲慢ではない。あれが、獅子堂リオの一面にすぎないことは理解している。だが、それでも一面は知ることができた。これで下手な仕事を彼女に割り振って、その力でこちらが潰されるのをある程度だが、回避できる」


 なにも知ろうとせず、リオが鬼しては理性的だからと、不必要な殺しはしないと思い込み、殺害されては困る人間を告げるのを怠り、こちらに有益な人員を殺されて、結果的に連絡会とリオの間に溝ができる。

 あるいは、殺人に忌避感のない鬼だからと、片っ端から殺しをやらせようとしたら、どこかで盛大にリオの地雷を踏み抜き、破滅的なことになっていた。

 今回のことで、リオを十全に理解できた。

 とは言えないが、危険な地雷の一つを踏まなくて済むようになるだろう。

 だから、あの消費者金融で生き残った筧マリには感謝している。

 こちらの試算だと、あの現場で彼女が死なない確率は、六割程度。

 二分の一よりはましだが、安全な確率とは言えない。

 なにしろ、賭け金は自分の命だ。

 特別な事情でもなければ、そんな場所に居たいとは思わない。

 もっとも、あの場所で殺し合いが起きると、彼女も考えていなかっただろう。

 彼女は消費者金融を利用していただけの一般人。

 まあ、私たちは彼女が消費者金融から、返済のことで呼び出されているのを知っていた。

 というよりも、あの日、彼女が呼び出されて、あの場にいたから、リオに仕事を依頼した。

 リオが自分の母親と似たような年齢と境遇の人物を殺しの現場で目撃したら、どのような反応をするのか知るために。

 だから、彼女が消費者金融の連中に殺されるか、リオ自身が躊躇うことなく殺す可能性も想定していた。

 結果は実に、興味深いもの。

 リオのすべてを理解したとは言えないが、ある程度の輪郭は把握できた。

 それがわかっただけでも、今回の面倒ごとやリスクを引き受けた価値はある。


「それでも、やはりわからないことが」


「なんだ?」


「私が、ここにいる必要ありましたか?」


「寂しいことを言ってくれるなよ、レイカ。お前と私の仲だろう、苦難も共に分かち合おうではないか」


 笑顔で告げる私の言葉に、レイカは疲れたようにため息をしながら応じる


「苦難なら、ともかく恐怖は遠慮させていただければ幸いです」


「気持ちはわかるが、そう言ってくれるな。私はお前が側にいてくれることが、なによりも心強いと感じている」


 それに、リオの反応を近くで観測する者が、多いのは悪いことではない。

 まあ、実際のところ、レイカもリオの反応を分析するためにを、ここにいる意義は十分に理解しているだろう。

 ただ、予想以上に怖い思いをしたから、私に愚痴を言ってガス抜きしたのだろう。

 なかなか可愛いところがある。

 しかし、この場にレイカがいて、他の人員がいないことにも理由はある。

 リオを分析する人員を増やせばより精度も高くなるが、無闇に人員を増やすと威圧的になり、それがリオの心理的な圧力となり、かえって暴発を誘発する危険があった。

 それに、根本的な問題として、リオの様子を観察して分析するような手頃な人員がいない。

 連絡会には従順で、任された仕事を黙々とこなす奴が少なすぎる。

 多少の野心ならともかく、まるで戦国時代のように、隙あらば私を引きずり落して下克上しようという奴が多すぎる。

 まあ、上に従順で、黙々と仕事をこなすような奴なら、表の社会に適応してこちらにくることもない。


「…………なかなか情熱的口説き文句ですね」


「お前だけの特別性だ」


「……はぁ、わかりました。これからも、向かう先が地獄でも一蓮托生で付き合いますよ」


「それは、重畳」


「はぁ……それで、あの女性、筧マリへの処置は」


「変更なしだ。リオの反応を見る限り、極端に不当な扱いをしなければ、常識的な待遇で問題ないだろう」


 リオの反応によっては、生き残った筧マリの待遇を過保護なものに、変えようと準備はしていた。

 だが、リオは彼女の死は気にしていたが、そこまで待遇を憂慮しているようには見えない。

 サビース残業と休日出勤が常態化しているような、過酷かつ不当な労働をさせなければ、リオも不快に思わないだろう。


「了解しました」


「しかし、それなりに経理として優秀なのに、なんで彼女は消費者金融を利用することに?」


「…………優秀な人間が、借金漬けにがなるなんて珍しくもありませんよ」


 レイカが囁くように、小さく吐き捨てる。

 過去の自分を思い出しているのかもしれない。


「まあ、な」


 レイカは一流大学を卒業しているが、卒業直前でトラブルに合い多額のローンを返済する必要に迫られることになる。

 ローンそのものは数年で返済できたが、今度は返済するためについた仕事のせいで、家族とトラブルになり、最終的に勘当された。

 その後、仕事上の客とトラブルになり、私と知り合うことになる。


「ただ、筧マリに、事情がないわけでもありませんが」


「どういうことだ」


「経理として、本当に優秀だったようで、以前の職場で巧妙に隠された粉飾決算を見つけたようですね」


 会社の隠された粉飾決算を見つけたのなら、筧マリは優秀なのだろう。

 それに、彼女の以前の職場は、誰もが知る大企業。

 本当に、経理としては優秀なのだろう。


「まさか、それを馬鹿正直に会社へ報告したのか」


「そのようです」


「会社に、潰されるだろう」


 犯罪者に証拠品を突き付けるようなものだ。

 素直に、認めて反省などするわけがない。

 過去の勇気をもって、組織の腐敗を内部告発した人間の末路を見ればわかる。

 あの者たちは、この国で正義を貫いた英雄ではなく、所属する組織を裏切った卑怯者と見なされる。

 会社が行いを隠蔽していたなら、筧マリの報告に感謝するどころか、事実を知る彼女の口を黙らせようとするだろう。

 それこそ、会社が一丸となって、筧マリを潰しにくる。


「ですね。事実、なぜか、彼女は会社のお金を横領したとして、勤めていた会社から解雇されています」


 レイカは予想通りのことを告げられ、うんざりしながらも一応、確認のために聞いてみる。


「彼女は会社を訴えなかったのか?」


「相手は大企業ですから、訴えるのは簡単ではないでしょう。それに、解雇されるときに色々と脅されたようです」


「一般社会もなかなか恐ろしい。偽装に恐喝、大企業も私たちと同じ穴の狢か。なんとも、悲しい現実だ」


 だが、それでも筧マリは沈黙しようとしなかったらしい。

 多少の金銭を受け取り、粉飾決算を忘れると雇用主に告げれば、もっと楽だったろうに。

 不器用なことだ。

 しかし、好感の持てる不器用さだ。


「その後、横領で会社から訴えられませんでしたが、会社の資金に手を出した経理として、周囲に知れわたることになります。当然、経理として再就職は不可能ですね。なんとか、パートの掛け持ちをしながら、娘をシングルマザーとして育てていたようです」


「消費者金融は、いつ出てくるんだ」


「すぐに、出てきます。消費者金融からの借金は彼女のものではなく、知り合いの連帯保証人になっていたようです」


「なるほど、それでその知り合いは逃げて、めでたく彼女が借金を返済することになったと」


「そのようです」


「運と要領が悪いな。しかし、うちにとっては悪い話でもない」


 自分が罪を犯したわけでもないのに筧マリは経理を続けられなくなり、知り合いが逃げたせいで他人の借金のために苦しい生活を送ることになっている。

 そんな彼女に、経理として十全に働ける場所と、借金の帳消しという対価を用意した。

 ちょっとした仕事と、彼女の目撃したこちらにとって不都合なことについて沈黙すること。

 注意事項として、情報を漏らしたら、母子ともにどうなるかわからないと告げたときに、死にそうなほど顔面を蒼白にしてた気がするが、きっと気のせいだろう。

 それに、ちょっとした仕事も、うちのフロント企業の一つの監査という、彼女の実力なら難しい仕事ではない。

 なにしろ、連絡会に関連する仕事としては珍しく、法に抵触するようなことがほとんどない。

 健全な職場だ。

 ただ、そのフロント企業が私に内緒で、森山キリトたちの事務仕事を処理していた。

 すでに、そこの社長と誤解が解けるまで話し合いをしている。

 いつから森山キリトの下請けになったのかと、優しく尋ねたら従順に誤解であると事情を喋ってくれた。

 筧マリの監査を受け入れ、これまで通り仕事をこなすなら、生存と地位は保証すると言ったら、社長は喜んで了承している。

 それに、どんな理由だろうと彼女が死んだら、連座で殺すと釘を刺しておいたから、社長も簡単には彼女を殺したりしないだろう。


「そういえば、筧マリは勤めていた企業の粉飾決算を告発できたのか?」


「いえ、していません。何度かしようと試みていますが、証拠は押さえられていますし、彼女には横領の汚名も着せられています」


「横領した経理の言葉など誰も信じないか」


「そうですね。解雇された人間の八つ当たりだと思われたようです」


「ふむ、ということはだ。その企業の粉飾決算は、まだ表になっていないな」


 表沙汰になっていない大企業の不正。

 一般人にとっては、新聞やニュースのネタにしからない程度の情報。

 だが、我々にとっては、金の鉱脈に等しい。

 この情報を我々が手に入れられたのは、嬉しい誤算だ。


「そうですね。どうしますか?」


「次の連絡会の会合で議題にあげてみるか」


 連絡会が単独で動いても利益を十分に出せるが、他の組織に連絡なしで動くとトラブルになる可能性がある。

 例えば、まるで察知できていなかったのに、うちが利益を回収しようと下準備を進めていたのに、どうしてくれると言いがかりをつけてくる。

 例えば、警察、検察、税務署などに情報を横流しして、こちらの利益を潰し、面子を潰し、人的資源に損害を与えるなど、様々なパターンが考えられる。

 それでもリオの圧倒的な暴力を前面に出せば、こちらを下に見ていた組織を、一時的に黙らせることができるかもしれないが、より面倒な緊張状態になることが予想できてしまう。

 不要なリスクを回避するためにも、連絡会による利益の独占にこだわらないほうがいい。


「よろしいのですか?」


「いまは他の組織と不必要な闘争する局面ではない。利益という飴玉をしゃぶらせて適当に煽てておけば、満足して黙る連中だ。ここで無理をして、利益を独占する必要はない」


「そうですね、それでも利益として十分でしょう」


「これで、筧マリの帳消しにした借金分くらいは稼げそうだな?」


「彼女の借金は、それほど高額ではありませよ。どのように計画が推移するかわかりませんが、最低でも彼女の借金の一〇倍以上の利益は出るでしょう」


「知っている。冗談だ。なら、彼女には臨時のボーナスでも払うか?」


 私の言葉に、レイカが予想通りの言葉で応じる。


「止めたほうがいいでしょう」


「なぜ」


 わかっているが、確認のためにあえて問う。


「最悪、彼女が殺されます。会長が彼女の死を望んでいるなら止めませんが?」


「やはり、勤めていた企業に恨まれるか?」


「恨まれるでしょう。我々と違って、彼女は利益をしゃぶりつくされる企業の連中にとっては、わかりやすくて、認識しやすくて、恨みやすいでしょう」


 突然、よくわからない連中に自分たちの会社の境遇を好きにされ、苦境に立たされたときに、かつて解雇した経理が大金を手に入れたと知れば、関連付けて彼女のせいで不幸になったと、愉快な思考で逆恨みされるかもしれない。

 あの手の連中は、自分の悪臭じみた醜悪さには無頓着なくせに、こういう情報に関することは犬のように嗅ぎつけてくる。


「これから、連中が苦境に立たされるとしたら、それは自分たちが粉飾決済という瑕疵をつくったことが原因なんだが」


「逆恨みも、恨みです。恨みの感情、恨む人間に、潔さや合理的で理性的な思考なんて期待できません」


「そうだな。だが、ある意味でタイミングが良かった」


「タイミングですか?」


 思い当たることがないのか、レイカが首を傾げる。


「メイが私の側ではなく、リオの側にいてくれたことだ」


「なぜです?」


「いまさらだが、それでも人間を追い込んで利益を上げる場面をあまりあの子に見せたくはない」


 今回は女性を追い詰めた消費者金融を潰したが、連絡会は正義の味方でも、人道的な団体でもない。

 裏社会の組織だ。

 必要であれば、人間を追い込み破滅させることも躊躇わないし、実際に何度も実行してきている。

 そのなかには胸糞が悪くなるような仕事もあった。

 直接、メイが関わった案件はないが、そういうことを連絡会が行っていることを知ってはいるだろう。

 メイも自分で連絡会に所属すると決めた以上は、そういう案件に携わる覚悟はあるだろう。

 だが、親としては、それでもメイにそういうことに関わって欲しくはない。


「……はぁ」


「なんだ?」


「ヘタレ」


 レイカの暴言に、顔をしかめる。


「脈絡もなく、不敬だぞ」


「なら、メイに正面から心配だと言ってみてください。そうしたら、全面的に悪かったと、土下座して謝罪しましょう」


「…………親が子供の心配をして悪いか」


「悪くはないですよ。……そういえば、リオの初仕事で、メイに火の粉が降りかからないか、ずっと心配でソワソワしていましたしね」


 レイカの言葉に、沈黙で応じることしかできない。


「…………」


「だから、本人に言ってあげたらどうですか?」


「言えるわけがない。ろくにあの子の母親をしてこなかったんだぞ。いまさら、母親面などできるか」


 メイからいまさら母親面か、とか言われてしまうかもしれない。

 あるいは、連絡会のトップのくせになにを言っているんだと言われてしまうかもしれない。

 正面から目を見て言われたら、二度と立ち直れない自信がある。

 だから、もしかしたら、ありがとうとか言ってくれるかもしれないが、万が一にでも否定された恐ろしすぎるので、メイに確認しようとは思わない。


「……ヘタレ」


 レイカから視線をそらして、別の話題を口にする。


「…………そういえば、班目から提案があっただろう」


「あからさまですね」


「提案があっただろう?」


 私の言葉に、なぜかレイカは軽くため息をしてから応じた。


「そうですね、ありましたね」


「今回のリオの反応を考えても、班目の提案は了承してもいいと思うが、どうだ?」


 班目の提案は、警察からのリオへの鬼退治の依頼に、警察側の人間を同行させるというもの。

 この人員を班目は上に、リオが暴走したときの抑止力として説明したらしい。

 だが、実態としては鉱山のカナリアよりも価値がない。

 そもそも、同行する人間がリオの抑止力になるほどの戦闘能力なら、そいつらが鬼退治をすればいい。

 できないから、連絡会が鬼退治を商売として、扱うことになろうとしている。

 警察の上層部は、そんなこともわからないほど馬鹿なのか。

 あるいは、わかっていても、警察が鬼には無力という現実から目をそらすための自己欺瞞かもしれない。


「話としては悪くないでしょう。双方の偶発的な事故も減らせるでしょうし」


「そうだな」


「ですが、リオの鈴として付けられる人員とリオの相性が心配です」


「やはり、そこか」


 鬼として、リオは理性的だ。

 だが、職質をかけた警察官たちや森山キリトなど、あっさりと殺す場合もある。

 事情がわかれば、殺した理屈も理解できるが、警察側の同行者も理解を示すとは限らない。

 同僚殺しだと、最初からリオを不快に思っているかもしれない。

 それだけなら問題ないが、その感情がリオに伝播して同行者を殺す事態になったら、目も当てられない。


「話の大筋はこのまま進めて、事前に向こうの鈴となる人員と会って相性の確認が必要かと」


「班目とは、そのように話を詰めるか」


「……それで、メイには言うんですか?」


「……さて、会合に調整と忙しくなるぞ」


「ヘタレ」


 レイカがなにか耳に痛いことを言ったような気がするが、知らん。

 目の前の重要な仕事に集中する。

ストックがなくなったので、しばらく書き溜めます。

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