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辺境の農村で僕は魔法で遊ぶ【書籍版三巻と漫画版全二巻が只今発売中】  作者: よねちょ
第二部 僕は辺境の学校で魔法で遊ぶ 第二部 第二章 ルカの休日
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第七話 フォレスト・ホープ・ガイドブック 3

 次に東の道に入ると見た目こそ食品通りと変わらないけど、売っている物はてんでバラバラだった。雑貨を売っているお店もあれば包丁や鍋とかを売っている店がある。

 聞いた話だとここは自由らしく食料品以外ということ以外には制限はないらしい。あ、今度聞いたのはあのお姉さんじゃないよ。


 ここは結構目移りしちゃったけど、途中に会った髪飾りやさんでレナエルちゃんとアリーチェ用の髪飾りを買った。

 早速レナエルちゃんにつけてあげると「ありがとう大事にするわ」と喜んでくれたので購入したかいがあった。

 ちょっとここは時間をかけて見ないと何があるか分からないから、またの機会にすることにした。

 また来ようねとレナエルちゃんに言うと、何度も頷いて同意してくれた。

 奥まで行くとここもさっきと同じように門があって石畳の色が変わり、同じように看板があり終点でここの通りの名前は自由市通りだった。この先もさっきと同じ住宅街なんだろう。

 

 そして北東側の道はこれまた雰囲気がガラッと変わる、先程の露天からうって変わりきっちりとしたお店が並んでいる。どうも高そうなものが売っている雰囲気がする。

 道に入るとすぐにポーション屋さんが見えた。手前側はポーションとか売っているお店が集まっているみたいだ。

 結構賑わっていて出入りも多い、大体のポーション屋さんは垂れ幕とか張り紙があって、『辺境伯領の魔力草仕様』とか『採れたての辺境伯領の魔力草を厳選』とか書いてあり、さっきのお姉さんに聞かずともここに来ていれば、魔力草が名物なのだろうというくらいは分かったと思う。

 垂れ幕だけでも何となく分かるけど、ここらへんはポーション屋が多く、その数件は「元祖」とか「本家」とか「本舗」的な意味合いのことが書いてある。名物争いでよくあるやつだよね、世界が変わってもやってることが変わらないことが少し面白かった。

 

「ちょっとポーション屋さん入ってみようか」

「そうね。ルカが興味を示すなんて珍しいわね」

「そんなことはないよ。僕だって……」

「ほら、行くわよ」


 興味あることを言おうとしたけど、家族に関して以外は何も出てこなかった。首を傾げているとレナエルちゃんが手を引っ張って近くのポーション屋さんに入ったので、そのことはとりあえず置いておくことにした。

 最初入った時、女性の店員さんが子供が入ってきたと思ったのか顔を顰めたけど、僕達の制服姿を見てすぐに笑顔で「いらっしゃい」と言っていた。

 店員さんの態度が悪いのか制服の効果がすごいのか、どっちかなと思ったけど、少なくとも店員さんはあまり間違いではなかったね。

 だってポーションめっちゃめちゃに高い──と思う多分──だから子供が入ってきたなら冷やかしと思ってもおかしくないからね。

 

 一番安いので軟膏で銀貨三枚と書いてあった。魔力草成分配合率一%的なことも書いてある。効能は擦り傷とか吹き出物とか皮膚にできたちょっとした物用っぽいね。

 でも、銀貨三枚ってどのくらいの価値なんだろう。さっきは言われるまま払ったけど、やっぱりお金扱ったことないから分からないや。


「レナエルちゃん」

「なに? それ欲しいの?」

「そうじゃなくって銀貨三枚っていくらくらい?」

「へ? 銀貨三枚よ」


 あ、僕の聞き方が駄目すぎた。レナエルちゃん的には百円ていくら? って聞かれたようなもんだよね。そりゃ百円て答えるよね。


「ごめん、銅貨のと比べていくらって聞きたかったんだ」

「ああ、そうなのねって。ルカ今まで知らなかったの?」

「うん、恥ずかしながら。お金使ったことなかったから」

「……大丈夫、恥ずかしくなんかないわよ」


 レナエルちゃんは繋いだその手をもう片方の手で包むように、握ってくれた。──なんか今ちょっとドキッとしたかも。

 「チッ」っと舌打ちのような音が聞こえたので、聞こえた方を見ると店員さんがニッコリと笑ってる。あれ気の所為だったかな?


「でも、単純よ。銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で小金貨一枚、小金貨五枚で金貨一枚よ。で、ルカが持ってるのは……うん、小金貨」


 レナエルちゃんは僕の制服の内側に手入れて懐にある金貨の入った革袋を外からもぞもぞと触り、大きさを確かめて小金貨だとわかったみたいだった。でもあまり女の子が男の懐に手を入れたりしないほうがいいと思うけど、「チッ」あれまた? やっぱり店員さんはニッコリと笑ってる。家鳴りかな?


「そうなんだね。ありがとうレナエルちゃん」

「後は、金貨二枚で大金貨とか、貴重な金属と宝石を使ったお金とかあるみたいだけど、私達にはまず関係ないわよ」


 耳打ちで「お祖父様に言えば見せてくれるかもしれないけどね」と追加して、なんてねとクスクスと笑ってた。また家鳴りが聞こえたけどもう気にしない。


 ちょこちょこと見ていると軟膏もランクがあって傷の深さによって使い分けるのがいいみたいだ。全部説明文に書いてあった。

 軟膏塗ってもすぐに治るものじゃなくて、傷口の保護と回復促進が主らしい。それでも高いやつは金貨一枚とか書いてある。


 よくイメージされるポーションぽいポーションもあった。即効性回復ポーションと書いてあって一日三回までを基準にお使いくださいと書いてある。これも金貨一枚だった。効能を高めて回数制限が少なくなるやつとかその逆とか、効能も回数制限も多く値段も跳ね上がるやつとか。七日に一回まで回数絶対厳守! とか種類もいっぱいだった。一番高いので大金貨五枚と書いてあった。確かに高い。

 あとポーションには全部「見本です」って書いてある。店員さんに聞くとバックヤードに劣化しないよう保存してあり、ここのはただの色水だそうだ。

 軟膏の方は劣化しないようだけど、ポーションは保存方法をちゃんとしないと一ヶ月ほどでダメになるとか。

 

 これで全部かな? と、思って軟膏を安いのを少しと一番高いのを一つ買っていくかなとカウンターに向ったら、その奥、店員さんの後ろに『本日入荷! 巧緻の指:オルカ・ベルトルカ謹製高純度ポーション』とひときわ目立つように書いてあって大金貨二十枚と書いてあった。


「店員さんの後ろの張り紙のポーションは?」

「ああ、これですね。書いてある通り巧緻の指様の特性ポーションですよ。その制服なら知っているとは思いますが、今、この街に居られるんですよ」

「でも聞いた話だと商人って」

「そうです。確かにご実家は大商家ではありますが、一族の上の方達は商人であると同時に超一流の職人でもあるんですよ。錬金術とか裁縫師とか薬師とかですね。そして巧緻の指様は錬金術が主体でその他色々と修めている職人です。この店もベルトルカ商会の直営店なので、こうやって巧緻の指様の特製ポーションが入ってくるのです。他のお店には有りませんからね、ポーションを買うならウチが一番ですよ」


 店員さんのセールストークの部分は聞き流しつつ、錬金術師と薬師の違いを教えてもらった。

 錬金術師は必要な要素を集めたり加工したりして基礎となる素材を作り、薬師は薬としてその効能を発揮させるのだとか、錬金術師が作り出した基礎素材は薬だけではなく、その素材次第で多方面に利用できるということだ。

  

 ああ、この服を生地にしたのがオルカさんで制服にしたのが仕立て屋のキャサリンさんだもんね。そういえばキャサリンさんのお店、この道にあるのかな? 前は馬車で目の前まで行って、その馬車で帰ったんだから場所はよく分からないや。

 ちなみにこれの効能は綺麗に切断された肉体ならくっつくくらい強力だそうだ。これだけじゃないけどポーションを使う時は回復魔法と併用する方が効果的で傷も綺麗に治るらしい。あと純度が高いポーションは劣化しないと言うことだ。そして多分、今日中には売り切れるだろうとのこと。

 

「ありがとうございました」


 軟膏を数個買ってお店から出ていく、軟膏は安いのが母さんとレナエルちゃんとアリーチェ用と保存用、高いのは父さん用だ。アリーチェには必要ないけど仲間外れにするのは可哀想だから買っておいた。僕が魔力で保持してスベスベだから要らないんだけどね。

 入る時は見ていなかったお店の名前を見るとベルトルカ魔法薬店と書いてあった。


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