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辺境の農村で僕は魔法で遊ぶ【書籍版三巻と漫画版全二巻が只今発売中】  作者: よねちょ
第二部 僕は辺境の学校で魔法で遊ぶ 第二部 第二章 ルカの休日
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第二部 第二章 プロローグ 2

 僕はレナエルちゃん達を起こすために母さんと一緒に二階に上がる。

レナエルちゃんの部屋は家の奥側の右側で角部屋だ。ロジェさんはその隣ね。

 ちなみ僕の部屋はレナエルちゃんの逆側の角部屋で、父さんと母さん、アリーチェの部屋は家の奥側真ん中を大きく取って作ってある。

 後は空き室だね。トシュテンさんはさっきも言った仕事部屋が自室にもなっている。実は父さんの仕事部屋もあるんだけど、使われたことはまだない。書類系とか細々したこととか全部トシュテンさんがやってくれている。たまに母さんも手伝ってはいるみたいだけど、仕事部屋や書類仕事を父さんがやっていないのは、そんな細々としたことよりも開拓の方を任されていてそっちに全力を注いでいるってのもある。別にサボってるわけじゃないと思う……多分。

 そして、僕はロジェさんの部屋の前、母さんはレナエルちゃんの部屋の前まで行った。

 

「ロジェさーん、朝だよー」


 軽く扉を叩いて、声を掛けるが部屋からはいびきしか聞こえない。うん、寝てるね。

 母さんの方は少し声を掛けると扉が開いてレナエルちゃんの部屋に入っていった。多分レナエルちゃんは起きてたのかな。

 

「ロジェさーん」

 

 少し声を大きくしてドアも強めに叩き、何度か繰り返したけど、うーんダメだね。よし必殺技だ。

 ドアの下の隙間から水魔法で出来た棒人間を滑り込ませてロジェさんところへ行く、そして片手分だけ耳に垂らす、そしてすぐに片手も含め棒人形を消す。寝耳に水ってね。

 部屋からは「うわっ」っていう音と、転げ落ちるような音バタバタとした音が聞こえて、扉が開いた。


「ル、ルカか。さっきのお前がやったのか? 水が耳に……濡れてねぇ」

「僕は普通に起こしに来ただけだよ? 寝ぼけてたんじゃない?」

「ぐっ、納得いかねぇが……」


 ロジェさんは納得出来ないけど証拠もないからはごまかした、それにいつまでも寝てたこともあるとは思う。

それよりも──


「ロジェさんお酒臭いよ」

「あ、そうか? 昨日遅くまで飲み歩いてたからなぁ。酒抜くかぁ、じゃないと、親父にどやされる」


 ロジェさんは魔力を高めて身体強化を使っているみたいだ。

 その後、生活魔法で水を創り出し口に含んでから飲み込んだ。


「よし、どうだルカ。これはな身体強化を掛けながら、更に内臓の一部を強化して一気に酒を抜くんだ。お前も覚えた方が後々助かるぜ」

「へーそんな事できるんだね」

 

 確かに便利そうだ。前世の僕はそんなお酒に強くなかったからね。飲まされてベロベロになった記憶がある。

 これさえあれば酒豪間違いなしだ。


「いいか? まずはだな」

「うん」


 ロジェさんにやり方を聞こうとするとバタバタと隣部屋から物音が聞こえてきて扉が開き、手に室内履きのスリッパみたいな物を持って部屋着のレナエルちゃんが出てきた。

 そしてそのまま振りかぶって、「ルカに変なことを教えないで!」っと、ロジェさんに思いっきり投げた。うん、スパーンといい音がしたね。


「いてぇ、何すんだよレナエル。ルカだってそのうち飲み歩くようになるんだ。今のうちに覚えといたほうがいいんだって」

「ルカはお酒なんて飲まないわ! 父さんみたくグダグダと管を巻くことなんてしないもの」

「いや、あのな。男には付き合いってのがな? な? ルカ」

「うん、そうだよね──」

「アリーチェお酒嫌いって言ってたわよね」

「──けど、僕は一生お酒飲まないかな!」

「あ、ルカお前裏切ったな」


 前世でも付き合いで飲んでたからその流れで同意しそうだったけど、レナエルちゃんの言う通り、アリーチェは父さんがお酒飲んでから抱っこされるのが、非常に嫌うんだった。あぶないあぶない、前世は前世、今は今だ。たまに記憶に振り回されるけど、感傷は全くないからちゃんと分けないとね。

 

「とにかく、ルカを悪い道へと引きずり込むのはやめてよ」

「悪い道ってなぁ、普通のことだぞ。レナエル、あんまり束縛する女は嫌われるぞ」

「えっ、そ、そんなことはないわよね。ね? ルカ」

「あー、人にもよるんじゃない?」

「ルカはどうなのよ」

「僕? 僕はそうだな……考えたことないから分からないや」


 恋愛は人それぞれだしね。束縛されるのが好きって人もいるだろう。

 前世は束縛されるのはあまり好きではなかったけど、今世はどうなんだろう。

 やっぱり、僕にそういう機会が訪れないと分からないかな。

 

「レナエルちゃん脱いだ服はちゃんと片付けないとだめよ」


 そう言うと母さんがレナエルちゃんのパジャマを持って、部屋から出てきた。

 

「あ、ごめんなさいソニアおばさん。ほら、父さんのせいで怒られたじゃない」

「ひでぇな、俺のせいかよ」


「そうよ。あ、いつまでも持たせちゃって……」

「ふふ、仕方ないわね。ルカのことだったものね」

「ほら、父さんもソニアおばさんに謝って」

「えぇ……」


 困惑するロジェさんをよそに、レナエルちゃんは母さんからパジャマを受け取って部屋に戻って行った。

 この年代の女の子の男親って辛いよねと、僕はロジェさんの腰をポンポンと叩いて慰めたら、苦笑いをしたロジェさんはお返しとばかりに髪の毛をグシャグシャにされた。


 少しするとレナエルちゃんは部屋から出てきて僕に声を掛ける。


「お待たせルカ、ソニアおばさん。下に行きましょう」


 僕と母さんはナチュラルにスルーされたロジェさんに同情しながらレナエルちゃんに返事をした。


 四人で食堂に戻るととテーブルに父さんが突っ伏してるのが見える。トシュテンさんはいないってことは惚気は終わったね。


「エドさん、どうしたんだよ」

「ああ、余計な藪突っついたせいだよ」

「なんだそりゃ」

「トシュテンさんにカロリーナさんの惚気のきっかけ」

「あー」


 ロジェさんはまたかと言わんばかりに目頭を押さえていた。


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