60話 生産職だって戦えますっ!
とある日。私はいつも通りゆったりとしたプレイを気ままにしていた。素材もちょいちょい買ってさあこれから作っていくぞーって時に。
「でもさー、生産職の作る武具なんてダンジョン武具と同じくらいの性能で馬鹿高い癖にクエスト同行では足手まといだよなー」
「本当、精々囮にでもなってくれれば少しの役にも立つのによぉー」
「そう言うなよ。引き籠ってる職業なんだからよ」
「そりゃそっか」
「「ははははっ!!」」
この二人組の生産職に対する評価をついうっかり拾ってしまった時までは。
※
「フフフフフッ……!この術式だったら上手く作動するかな……?これも付けて……目にものを見せてやる……!」
「ね、ねぇレン……サナどうしたの?」
「う、うん、実は生産職が役立たずって言葉を聞いたらしくて見返すために闘えるような物を作るみたいだよ」
サナのあまりの雰囲気で作業する様子にかなり引いていたシズだが、レンの説明に大まかな事情を察した。
「…………」
そして、その雰囲気の中黙々、淡々、といった様子で素材を積み上げていくガリル。見ての通りサナにモンスター素材を集めるお使いにされているのだ。
だが、その素材は洒落にならないほどのモンスターがほとんどで、本来ならパーティで挑むようなレイドモンスターまで含まれていた。
だが、そのモンスター達には全く共通性が無かった。生息域も、種族も、討伐難度も魔力の性質や色も全て。しかしサナには完成形はある程度見えているらしく、素材が届く度に試行錯誤を繰り返している。
「できた、私だけの魔術―――【魔術変色】」
その試行錯誤の内に魔術作成も含まれているのかサナは専用の魔術を創り上げていた。
「後は……うん、ちゃんとバラバラだね。【解体】」
モンスターの死骸に目を移したサナは手早く解体していく。その精度は高くかなりの熟練度を貯めていることがひと目で見て取れる。そして、【ストレージ】で素材を確認した。
「よしっ……!バッチリ……!最後にコレを加工してはめ込んで……よし、完成っ!」
最後に多種多様のモンスターの魔石をすべて加工して目的のアイテムと合成した。
その瞬間虹色に輝きサナにとっての二つ目になる最高傑作が完成していた。
※
できた……これでどうだ……性能は文句なしのはず……。
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名称:虹宝晶の指輪
分類:指輪、アクセサリー
装備者:サナ【帰属】
魔力の色:無色10
魔力の性質:ウツロイ、リセット
Lv1
MP+5000、INT+200
スキル
魔喰獣:ハク7、千変万化、性質保存、
魔力吸収10、生命吸収100、
【魔喰獣:ハク】:ハクが封じられている。ハクを召喚できる。
魔力吸収:魔術などの魔素を介したものを吸収する。
性質保存:吸収した魔素の性質を全て記録し、保存する。
千変万化:性質保存の情報を元に魔力の色と性質を変化させる。
(製作者:サナ)
(素材:火炎獅子の魔石、風冷狼の魔石、
裂水竜の魔石、城壁蟹の魔石、聖光蛇の魔石、
闇邪鬼の魔石、時空亀の魔石、樹王木の魔石、
雷光虎の魔石、氷病凰の魔石、砂塵蝶の魔石、
爆裂龍の魔石、溶岩蝦蟇の魔石、調和の結晶、)
(封印:魔喰獣ハク、ユニークスキル【千変万化】)
説明:多種多様な魔石を錬成して作られる虹宝晶を使用した指輪。封印されている魔喰獣のスキルによって使用者がウツロイの魔力性質であった場合のみ使用者の魔力性質と色を変更できる。
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これを使えばいつでも私の魔力の色と性質を変化させることができる。原理としては、ハク入りの指輪に性質変化をしてもらって、それを私がコピーする。
そして、この指輪のために用意した魔術もお披露目だーっ!
いや、待って。どうせこんなにも素材があるんだから、ガリルにもお礼を作っちゃおう!
※
できたーっ!え?どうやって作ったかって?それはもちろんパーツ一つ一つ手作りだよ。何で構造知ってるか?それは当然グー○ル先生のお陰だよ〜。
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名称:魔弾装填式SAA『琥珀』 Lv1
魔力の色:暗蒼6、暗黒4
魔力の性質:魔力攻撃、暗幕
耐久値:10000/10000
攻撃力:2000
スキル
鮫弾:魔素を消費し弾丸サイズの弾丸鮫を射出するスキル。水中で使用した際【自動追尾】、【速度上昇】の効果が追加される。
(製作者:サナ)
(素材:弾丸鮫の魔石、弾丸鮫の重骨×2、
水の魔鉱、防雷皮×3、弾丸鮫の重皮×3)
説明:SAAをモデルに作られた銃。銃器の弱点である水を克服した為水中でも使用可能。
対応弾丸:水中用特殊弾丸、.コルト45モデル通常弾(以降【通常弾】)、
火炎の魔弾、大海の魔弾、暴風の魔弾、
大地の魔弾、雷光の魔弾、溶岩の魔弾、
樹木の魔弾、砂塵の魔弾、爆裂の魔弾、
氷雪の魔弾、闇邪の魔弾、聖光の魔弾、
時空の魔弾、
装填数:6発
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今はこの一つ位しか作れなかった。それぐらいの時間が掛かってしまった。制作時間約六時間。分かるでしょ?
ちなみに失敗回数は5回。これはただのSAAの試作段階で暴発からの銃身爆発した回数だ。その度に私はポーション飲んでたよ……。
さて、今度こそお披露目だっ!
………
……
…
一時間後。私はみんなと一緒に『ゴブリン1000体の討伐』クエストに来ていた。今回は私が一人でクエストをするから皆は見守って貰うように頼んでる。
さーて、私の強さをみせてやるっ!……っとその前に。
「ガリル、はいっこれ」
魔弾装填式SAA『琥珀』を手渡す。
「…………っ!!これは……」
すると、あまり表情を動かさないガリルが目に見えてわかるほど目を剥いた。よし、ドッキリ大成功っ!
ガリルは喜んでくれてるみたい。だってしきりに動作を確認したり、指で回したりしてるんだから。指で銃を回すこの癖は大体調子のいいときや機嫌が特に良いときに出るから、凄く喜んでくれてると思う。
でも、驚くのはまだ早いよ。次は私のお披露目会なんだからっ!
私は目の前に迫ってきたゴブリンの大群に対して魔術を起動した。
うん、次くらいから新キャラ来るかも。
もうそろそろ間話がストーリーに入ってくる……かも。進度によるけど。




