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32話 一方シズはその頃……


 「其処の忍!見ない顔よな……何処の闇忍だ!」


 そう言ってきた名も知らぬ忍と思われるNPCに声をかけられ、何故か戦闘になったシズはどう戦うか考えを巡らせる。


 「これはとにかく勝てば説得しやすいかな?」


 そう考え街に被害が出なさそうな戦闘方法を模索するが当然相手は待ってくれることもなく訳で攻撃を仕掛けてくる。


 「忍術―――【鎌鼬(カマイタチ)】!」


 そう唱えられその名の通り風の刃がシズに迫る。


 だがシズは冷静に【属性剣:地】を纏わせた『如月』で相殺した。


 話し合いが通じないと悟ったシズは駆け出した。


 「問答無用って事ね。じゃあこっちからも行かせてもらうね」


 そう言って【炎剣技】スキルの炎を纏った『如月』で斬りかかる。


 「なんのっ!」


 相手も素早く抜刀し応戦してくる。だが、直接戦闘を苦手とする忍者には刀の打ち合いには弱く5分も経てばシズによって組み伏せられた。


 「さて、私は旅の忍者だけど何処にも所属してないし、ここに来るのは初めてだから闇忍なんかじゃないと思うよ?」


 実力差に気付きあっさりと降伏した忍は出せる限りの情報を語ってくれた。


 分かったことは4つ。


 ・この国の名前は『ヒノクニ』

 ・極東の島国

 ・将軍が国を治めていて、この男は将軍抱えの隠密部隊の二番隊隊長らしい

 ・交流のある国は2つ3つほど。


 「ありがとう、よく分かったよ。じゃあまたね」


 「待たれよ!」


 礼を言ってさらっと逃げようとしたシズを呼び止め、忍―――半蔵と言うらしい―――が回り込んだ。


 (逃げようしてるのバレたかな?)


 「なんですか?」


 とりあえずボロを出さないようにきょとんとした風を装って聞き返す。


 これでバレて厄介なことになるなら確実にお尋ね者になるだろう、内心冷や汗をかきながら返事を待つ。


 「なんだではないだろう。ここで戦ったことは他の者にも見られておる。堂々と去ろうとするな。術でも用いて急いで去れ」


 危惧していた答えでは無かったから安堵したシズは頷き【朧霞】を使い姿を消し路地裏に入って行った。


           ※


 「ふう……危なかった。」


 人気が完全になくなった所で路地裏の壁に身を預けたシズは、これからの方針を立てる。


 「あいつ(忍者)が阿呆で良かったけどこの国が『出身地』になるから何とか違和感は無いように馴染まないと」


 少し画策したシズだが、装備の見た目と相まってこの国では違和感なく馴染めるだろう。


 その上見た目を偽ることのできる【幻影シリーズ】だから少し形や色を変えるだけで問題はないだろう。


 「そうと決まれば……っと」


 セットボーナススキル【変装者】を発動させ見た目を年頃の街娘の様な格好になる。


 しかしそれは第三者からの見た目で本人的には全く変わらない装備なのに、馴染めているという微妙な違和感を持つのだが。


 「これでよしっ……!あとは……【炎剣技】とかの詳細を見とかないとね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 炎剣技:プレイヤー『シズ』が編み出した戦技スキル。あらゆる可能性を秘める。


 効果:【属性剣:火】が使用不可能になる。

    使用時、武器が炎を纏う。


 ※一定の条件を満たすと称号:『炎剣技の開祖』を得る。


 技/型一覧

 技:鳳仙火

   【剣技】を使用した際、纏う炎が【爆炎】属性になり、攻撃部位を焼却する。


 型:炎舞

   自身の火系統スキルを武器に纏う。この際武器への負担は一切掛からない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「うわぁ……かなりエグいね……しかも見た感じ更に増えるわけ……?少しやってみようかな」


 新たな目標を見つけたシズは偶然近くに廃墟らしい建物の広場を見つけ修行を始めたのだった。

結城 蓮です。

かなり面倒くさい位忙しくなってるので頻度クッッソ落ちます。

ごめんなさいm(_ _)m


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また次回合いましょう。

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