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異世界村長【書籍発売中】  作者: 七城
第1部 『異世界村長編』
118/252

第118話:勇者と聖女と剣聖と

 久しぶりに再会した勇人との会話は、話題が尽きることもなくずっと続いていた。


 下世話な内容が多かったのは、お互い、気を許している証拠だと思っていただきたい。



 そんなこんなでいつの間にか時間も経ち、女性陣が大荷物を抱えて戻ってきた。まだ夕食までには結構な時間がある。


「村長ただいまー。あ、ウルガンさん荷物はこっちへお願いしますっ」

「おいおい、またとんでもない量を買い込んできたな……」


 ご満悦の表情を見せる夏希。と、その後ろにいるウルガンとウルークは、抱えきれないほどの荷物を持たされていた。


「ウルガンたちも悪いな。荷物持ちなんてさせちゃってさ」

「お言葉ですが村長、廊下にある量を見たら驚きますよ……こんなもんじゃありませんので……」

「マジかよ。一体なにをそんなに買ってきたんだ?」

「そりゃもう色々だよ、い・ろ・い・ろっ」


 夏希はともかくとして、立花や葉月の表情がとても柔らかい。ふたりとも、上機嫌な様子で勇人のそばに詰め寄っていた。これ見てあれ見てと、買ってきた服の品評会を始めており、勇人も嬉しそうに話を聞いている。


 椿に聞いてわかったんだが、入店禁止の店を回って、ふたりの代わりに購入していたらしい。まあ、自分たちの分もしっかり確保してるあたりは流石だなと思った。


「啓介さん、私も買ってきたんですよ」

「どれどれ。街で売ってる服か、気になるな」

「あっ、これなんてどうです? とっても可愛いと思いません?」

「……」

 

(いや椿さん、それ服じゃないでしょ……。そういうの見せられるとおっさんは反応に困るわけだが……)


 何がとは言わないけれど、ずいぶんと魅惑的なものを買ってきたらしい。肝心なところに穴が空いてるんだが……。椿はそういうのが好みなんだろうか。



 品評会もひと段落して、立花や葉月にも勧誘の話を――と思ったら、逆に向こうからお願いされてしまった。


 椿と夏希からすべて聞いていたようで、私が勇人を誘っていたことも知っているらしい。話が早いのはありがたいけど、念のため私からも確認をとっておく。


「一応だけど、立花と葉月が村人になる理由を教えてくれ。直接本人の口から聞いておきたいんだ」

「ではまずは私からいいか?」


 お互い向かい合って座り、居住まいを正した立花が語りだした。


「私の理由は2つ、いや3つある。一番の理由は勇人と共にいたいからだ。もう聞いてるとは思うが、私たち3人は結婚している。一生勇人と離れるつもりはない」

「ふむ。それで残りの2つは?」

「剣とダンジョンだ」

「うん、それで?」

「だから剣とダンジョンだ。難易度の高いダンジョンで、夏希たちが作ったという伝説の剣を振るいたい」

「伝説の剣? ……それって、コレのことか?」


 自分の持っていた魔鉄の剣をテーブルにそっと置いた。


「っ、これがそうなのか夏希! たしかに見事な装飾……ごくりっ。啓介さん、手に持ってもいいだろうか?」

「いいけど、ここで振り回さないでくれよ。ってもう聞いてないし……」


 奪い取るように剣を掴んだ立花は、客間の広いスペースでさっそく剣を振るっている。


 まあそれはいいとしても……彼女の顔がヤバい。魔剣に取り憑かれたかのような表情をしていた。私は一抹の不安を覚えつつも、今度は葉月に問いかける。


「あそこのヤバい顔のヤツは放っといて……葉月はどう?」

「ヤバい顔って……プフッ。あ、ごめんなさい。私も勇人といたいのは同じ。あとは、理不尽な悪意に晒されない場所で生活したいの」

「なるほど……だが村に行けば、当然ダンジョンにも行ってもらうし、何かのときには人を傷つけることになるが……その覚悟は?」

「それは絶対大丈夫。こっちのダンジョンでも何回か経験してるし……殺そうとしてきた人を殺めたこともあるわ」

「わかった。それならなんの問題もない」


 語っているときの表情に変化もないし、実戦を経験してるとなれば大丈夫だろう。いまだ剣に魅入られている立花を呼び戻し、順番に居住の許可を出してから鑑定をおこなっていく。



===============


勇人 Lv60

村人:忠誠90

職業:勇者

ユニークスキル

全状態異常無効Lv-:あらゆる状態異常を無効にする

勇者の威光Lv-:ユニークスキルの効果が近くにいる仲間にも伝播

勇者の一撃Lv-:全MPを使用して山をも消し去る一撃を放つ<NEW>


スキル

剣術  Lv5<NEW>

盾術  Lv3<NEW>

投射術 Lv2<NEW>

身体強化Lv4<NEW>

光魔法 Lv3<NEW>

治癒魔法Lv3<NEW>

超回復 Lv4<NEW>

直感  Lv5<NEW>

幸運  Lv5<NEW>

解体  Lv2

料理  Lv2

空間収納Lv4<NEW>

限界突破Lv2<NEW>

消費MP減少Lv2<NEW>

取得経験値増加Lv2<NEW>

===============


立花 Lv51

村人:忠誠79

職業:剣聖

ユニークスキル:聖剣術Lv5<NEW>

斬撃を飛ばす攻撃が可能となる※斬撃数4

聖なる衣を纏い、物理と魔法被害を激減する

あらゆる武器の扱いに長け、威力が上昇する

※レベルにより効果が向上する


スキル

身体強化Lv4<NEW>

縮地  Lv1<NEW>

===============


葉月 Lv50

村人:忠誠75

職業:聖女

ユニークスキル:聖なる祈りLv5<NEW>

あらゆる傷や部位欠損を瞬時に回復する

あらゆる状態異常、病気を瞬時に回復する

体力と魔力を常時回復する魔法陣を展開可能

※レベルにより効果と範囲、回復速度が向上


スキル:消費MP減少Lv3<NEW>

魔法使用時のMPが30%減少する

===============



 相変わらずおびただしいスキルの数だ。前回よりもさらに増え、スキルレベルも軒並み上昇しているようだ。


 三人に共通してるのは、いくつかのスキルレベルが5になっていること。村のみんなのスキルは4で止まっていたが、さらに上がっていくみたいだった。


 忠誠度も問題ないし、村に移り住めばもっと高まっていくと思う。とくに、勇人の忠誠が90を超えているってのがうれしい。

 



◇◇◇


 勇人たちも含め、今日は全員、メリー商会に泊めてもらうことになった。


 夕食後に倉庫へ行き、結界の中に入ったところでアナウンスが連続で聞こえてきた。これで能力の強化が3回もできる。


 もちろん、今すぐ使うつもりはない。『女神の恩恵』の特典にあった<村スキル強化の秘密:10,000pt>を取得するまでは大事にとっておく予定だ。


 それと、信仰ポイントについてだが――村人が1人増えると10pt上昇した。三人分確認したので間違いないはずだ。



「明日は午前中に買い出しをして、昼一番で街を出るぞ。勇人たちも荷物を纏めて集合してくれ。なるべく目立たないようにな」

「わかりました。朝一番で準備して戻ってきます」

「ウルガンとウルークも出発まで警戒を頼む。勇人たちに監視がついてる可能性もあるからな。出来ればこっそり出ていきたい」

「「お任せください」」



 こうして無事に勇人たちが村人になり、やがて夜も更けていく。


 今日は夏希もいるので私は一人部屋だ。


「早くポイントが貯まらないかなぁ」なんてことを思いながら、いつの間にか眠りについていた。




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