おもちゃで死にたいのか
2014/09/29 投稿
魔法使い殺しの武器。優秀な青少年が作った傑作なのだろう。形は使いやすい大きさで、実際にこのタイプの小銃を手にとったことがないので比較はしたわけではないが、非常にちょうど良い重さだ。一発撃ってみようかと思ったのだが。
「あれ、これよく考えたら火薬入ってないから、まず前に飛ばなくないか?」
試しにトリガーを人差し指で引いた音が、静寂に包まれた部室に無情に響いた。
「これ俺にくれないか、関本」
「だから、それは展示品で」
小銃を下から首に突きつけてやる。銃身を下げてしまうと、加速の魔法で弾が発射されてしまうからだ。
「自分の作ったおもちゃで死にたいのか?」
あからさまに脅した。こんなに面白いものを返すのは勿体無い。
「ねぇ祐希、それって犯罪だよ?」
「誘拐犯のお前が言うな」
その後、この事を口外せずまた魔法武器についても忘れるように強く言い聞かせて、被害者を開放した。
「それ。見せて。私にも」
また中町さんを除いたメンバーは、新時代の魔法を確立するという目的の元に活動を始めている。
「中町さんも興味ある?」
「興味深い」
観察してると、意外にも彼女が気に入ったのは魔法武器でなく、その小銃の姿らしい。
この銃を持ち帰ったその日に、俺がこの基礎技術を完成させてしまったことは、神のみぞ知るのだろう。
「作ってどうすんだよ、俺……」
できてしまったのは仕方がない。吸収機構に起動式を刻み、ハンマーが叩かれると、銃身の先に複数の魔法を起動して、魔法で強化された魔法弾丸を放つことができる。これを応用して、学校帰りに買いに行ったエアガンで実験をしたところ、見事に大人が二人ほど座れそうな公園のベンチを破壊するに至ったわけだ。
「人も簡単に殺せるんだよな、これって」
ベンチを粉々に吹っ飛ばす威力があるのだ。余裕で人も吹き飛ばせるし、魔法を掻き消すこともできるだろう。そして定価は約二千円である。
別に殺したい奴が居るわけでもなく、金儲けがしたいという願望はない。自衛のために持つくらいはやるだろうが、明確な殺意を持った何者かに命を狙われているわけでもない。
「あ、これってオーダーメイドできるんだ」
危険性はどんな技術にもあるものである。つまりそんなに気にしていても、仕方ないということで、左手用と右手用のエアガンを特別注文していおいた。如何にも簡単に思えるが、モデルとなるものを探し、銃身など細部に改造を加えて欲しいという意を文面で送るのは、結構時間が掛かっているということを察して欲しい。
その品が届いたのは、たった三日後であった。
早速作っちゃったと思ったアナタ。まだですよ|д゜)




