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57話

 美咲のことは何とかいった。なら残るのは紗耶香さん。


 私は紗耶香さんのことも好き。でもそれが恋愛的な好きなのか、家族的な好きなのか分からない。


 でも少なくとも私は紗耶香さんに対して「好き」という感情は持ってる。


 なぜか心の片隅で「美咲と何かあったら多分私は紗耶香さんと一緒になるんだろうなぁ」っていう確信を持っていた。


 ほんとになんとなくで、根拠とか何もない。ただ漠然とそう思っていただけ。


 でも、多分それは紗耶香さんを数年見てたら分かることだと思う。


 沙那ねぇがいなくなって2人で暮らし始めた頃からどこか私は違和感を持っていた。


 私を見ているようで見ていないような目、紗耶香さんが家に帰ってくるといつも沙那ねぇの「おかえり」って言葉を待って何もなかったと分かると落胆したような顔。そして私にくれる物がほとんど沙那ねぇの好みの物しかなかったこと。


 ここから多分私は沙那ねぇの代用品でしかない気がした。それでも私は良かった。


 むしろ私だって紗耶香さんを沙那ねぇに見立てて暮らしてた時もあったからね。


 お互いがお互いを利用して自分の心の安定を取りに来ようとするのが私達。


 だから逆にここまで問題なくやってこれたんだと思う。


 私が勝手に絶望して死のうとしたせいで、美咲に対して淡い恋心を抱いてしまったせいで今までの関係が崩れてしまっただけ。


 でも今となっては良かったって思ってる。


 私は大切な人を私という重りから解放できたと思ってるし、紗耶香さんは私を沙那ねぇの代わりにすることをやめた。


 多分本当の「私」と「紗耶香さん」、「義妹」と「義姉」の関係がこれから結ばれるんだと思う。


 長い長い道のりで、寄り道ばっかりしてたけどやっとたどり着いたんだから大切にしないといけない。


 まぁこれは全部私の想像でしかないからほんとは分かんないけどね。


 でも分かんないからこそ今週中には決着をつけようと思う。


 これからの私はどんな風に生きていくのか。これから美咲の家にずっとお世話になるか、1人暮らしをするか、このまま紗耶香さんとここで暮らしていくか分からない。


 けどどれを選択しても私から「紗耶香さん」という存在を切り離せない気がする。


 どの道を歩んでも結局私は紗耶香さんといる未来を取りそう。


 それが沙那ねぇの分まで紗耶香さんと暮らそうと思ってる気持ちなのか、独り取り残された紗耶香さんの側にいたいと思った思いやりの感情なのか、それとも.................。


 あの日からいろんな気持ちがゴチャ混ぜになって分かんないことだらけでも、それでも私の中で「紗耶香さん」という人は色あせないほど輝いている。


 私に依存しながらも生きていく姿が私の心にささった。初めて私と同じ体験をした人が身近にできた。


 これが私にとってはものすごい癒しとなった。


 あぁ..............こうやって生きていけば私は機械的に生きれるのかなってね。


 ほんとに私達は沙那ねぇがいなくなって色々なことが狂い始めた。


 性格も性癖もなにこかも。


 でもお互いがお互いに沙那ねぇを当てはめることでなぜか私達は普通の生活を送れるようになった。


 どう感じているのかも分からない。どう考えているのかも分からない。


 私と同じことを感じ、考えているのか、それとも全く違うのか。


 でももうどうでも良い。私は私にとっての最適解にたどり着くから。


 そのために美咲とはもう話し合ったんだから。だから次は紗耶香さんの番。


 何回もいうけど私は自分勝手でワガママな最低野郎。


 それが紗耶香さんに受け入れられるか分からない。受け入れられなかったらどうしよう.............。


 ..............そんなこと考えてたらフラグ立ちそうだからもうやめとく。


 私は私。それでいいじゃないか。クヨクヨ考えてたって仕方ない。前に進むべき。


 ゆっくりと丁寧に前に進む。


 これが私、工藤陽凪の新しい生き方。






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