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32話

誤字報告、感想等ありがとうございます!!

 side美咲


 陽凪がもとに戻った。昨日までのそっけない陽凪じゃなくていつもの陽凪だった。.........いや、ちがうな。悩んでたものが解決したような、纏わりついていたものが全部落ちたかのような感じがする。


 でも、よく笑ってよく怒ってそして時々泣くのを我慢するような笑い方をするのはいつもの陽凪。


 ..............嫌な予感がする。こう、胸がモヤモヤして陽凪を放っておくと何か取り返しのつかないことが起きそうな気がする。


 陽凪に限って変なことを考えてないってわけじゃない。あいつには前科があるから油断はできない。


 多分近いうちに何かするはず。それが何かは分からないけど絶対に止めてやる。


 寂しいなら近くにいてやる。悲しいなら慰めてやる。傷つけたいなら殴られてやる。理不尽なこと言いたいなら受け止めてやる。褒めてほしいなら褒めてやる。楽しいなら私も混ざって一緒に楽しんでやる。嬉しいなら何が嬉しいか聞いてやる。


 だからさ、いなくならないでよ。私の目の前から消えないで。私の世界から飛び出さないで。


 私にできることなら何でもするからさ。お願いだよ。私は陽凪と一緒にいたいんだよ。


 ――――――


「美咲いきなりどうしたん?こんなところに呼びだしてさ?.......屋上ってことは..........もしかして.......告白?私告白されんの!?彼女いない歴=年齢の私に!?」


「...........そんなんで陽凪を止めれるならそれでもいいな」


 告白しても止まる陽凪じゃないだろ?それにそんな無理して笑うなよ。泣きたくなるだろうがよ。


「何よそれ~?私が何かやらかしたっていうの?ていうか私のボケをスルーしないでよ」


「悪い悪い。意図的に無視したわけじゃねえよ。後あんた今からやらかすんだろ?」


「なんでいつも私がやらかすって決めてるの!?まだ決めつけるのは早いでしょ!?」


「..................決めつけだったらどれだけ良かったんだろうな」


 ほんとそうだよ。私のこの嫌な予感が外れればいいけどたぶん外れない。皮肉なことにこういう時の私の勘はけっこうあたるからな。


「陽凪先に謝っとくわ。ごめん」


「え?なになに!?いまから私殴られる!?なんかやった!?」


「時と場合には殴るから」


「えええぇぇぇぇぇ!?そこは殴らないようにしないで!!」


 殴るのは最終手段だから安心しろ。その前に私が泣く確率の方が高い。


「.............陽凪お前何か隠してるだろ?私や未空に」


「別にこれといって隠してはないよ?」


「嘘つけ。だったらなんで最近私達を避けてた」


「それは........えっとね、クール系美少女を目指してみよっかなってね?」


「バレバレな嘘つくなよ。まぁいいや、それで」


「嘘って否定しないでよー。それで?」


「今からの私は陽凪の友達の美咲として言うんじゃないってことを言っとく」


「ん?美咲は私の友達だよ?」


「そうだな。私にとっても陽凪は大切な友達だよ。でもな今からはあんたの『家族』になるはずだった、義姉か義妹になるはずだった藤森(ふじもり)美咲として話す」


「どういう、こと?」


「陽凪、何かあったら頼れって前に言ったよな。陽凪のお母さんや沙那さんが亡くなった時に」


「...............そうだ、ね」


「だったらさ遠慮なく頼れよ!こっちは陽凪に頼られて嫌な気持ちになんねえからさ!!母さんだって同じだよ!あんたを本当の娘のように思ってるからあんたに頼られたって、甘えられたって嬉しいだけなんだよ!私だって同じ気持ちなんだよ!!陽凪に頼られるのは嬉しいさ!だからさ1人で抱えこむなよ!!私がずっと隣にいてやるからいつまでも自分から1人になるなよ!!」


「...........。」


「私はあんたを放っておけない。友達として家族になるはずだった人として、あんたが独りになるなんて耐えれない。だったら私は、私だけはずっと隣にいてやる。どこに行っても何をしても、何をされても私は意地でもあんたについて行ってやる。絶対に独りにはさせない。陽凪がこれから家出をするつもりなのか、転校するつもりなのか、今度は本当に私達と縁を切るつもりなのかは私には分からない。でもな絶対許さない。私が許さない。あんたが自分から離れていくなら追いかけるだけ、私達を遠ざけようとしても遠ざかった分だけ近づけばいいだけ。それが私の覚悟。あんたを独りにさせない私の覚悟」


「だからさ陽凪が何に悩んでるかなんて分からなくても私は私にできることをする。陽凪が嫌がっても、逃げても関係ない。私は私が思うようにする」


「..........何よそれ。美咲あんたバカじゃない?」


「そうだよ、私はバカだよ。でもそれでいいんだよ」


「はぁ............ありがとう美咲。大切な友達って、家族だって言ってくれて嬉しい。独りにさせないって言ってくれて嬉しい」


 止めろよ。そんな顔すんなよ。なんでそんな吹っ切れた顔してるんだよ!!


 満足そうな顔すんなよ.........。こんなことで嬉しそうにすんなよ。


 こんなことでいいなら何度で言ってやるからさ、頼むから私の前から消えないでくれ。いなくならないでくれ。


「今日の用件はこれだけ?」


「........................ああ」


「そっか。美咲部活あるでしょ?私が邪魔しちゃダメだからもう帰るね」


 待ってくれ。帰らないでくれ。もう2度と会えない気がするから帰らないで。


 思わず陽凪の手を取って離さないようにする。両手を使って握り込む。


「美咲どうしたの?私の手なんか握って美咲らしくないよ?」


 私らしくなくていい。私のちっぽけなプライドを捨てて陽凪を止めれるならドブにでも捨ててやる。


「そんなんじゃ私帰れないじゃんか?」


「...........私も一緒に帰る。家まで送る」


「そこまでしなくていいよ。美咲は女バスの主力なんだからちゃんと行かなきゃいけないよ?」


 そう言ってスルリと手を抜け出される。


「美咲、ちゃんと部活に行くだよー?それじゃまた明日ねー」


 ヒラヒラと手を振りながら屋上から去って行く。


 止められなかった。私じゃ陽凪を止めることができなかった。


 ..............私じゃ陽凪の隣にいることさえできないってことかよ。追いかけても追いかけても追いつくことがないってことかよ。


 視界が滲んでいく。涙があふれていく。コンクリートでできた屋上の地面が零れ落ちた涙によって少しずつ黒くなっていく。私の足元だけが黒くなっていく。


 自分の無力さを感じた。親友を家族を止められないのが私だって思えた。しょせん私なんてその程度の人間なんだって思えた。


 だからもう耐えきれなかった。


「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」









なんかもうそろそろ終わる雰囲気出ていそうですがまだ終わりませんよ!!

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